『チョコレート・ファイター』『チョコレート・ソルジャー』『チョコレート・バトラー THE KICK』に続く、ジージャーことヤーニン・ウィサミタナン主演のアクション・コメディで、日本で劇場公開されるのはデビュー作の『チョコレート・ファイター』以来2作目となる。1作目の『ファイター』が孤高のブルース・リーだとすれば、この4作目の『バッド・アス!!』はジャッキー・チェンのコミカル・カンフー、例えて言うならそんなところだろうか。
ジージャーのアクションを充分に堪能できた1作目と比べると、明らかにこの作品は物足りない。ジージャーの最大の魅力と言えば、あの華麗とも言うべき見事な脚技にある。もちろん、この作品であの脚技が完全に封印されているわけではないが、体を使ったアクションよりも自転車等の小道具を使ったアクションに重点が置かれているのは確かだ。しかも、今回は銃まで使用しているのはよろしくない。相手が武器を持っていても素手で立ち向かう、そこがジージャー演じるキャラクターの凄さなのに。
タイの人と日本人の笑いのツボが異なるわけではないと思うが、無理矢理コメディにしようとしているように感じられるのもマイナスだ。とにかく、変な小ネタにこだわりすぎているのだ。例えば、ジージャー扮するジャッカレンのボスの髪型と髭みたいに。それと、これは邦題に関してだが、ジージャーが主演する作品にことごとく馬鹿のひとつ覚えのように“チョコレート”を付けるのはいい加減やめにして欲しいものだ。1作目は確かにジージャー扮する主人公ゼンの好物がマーブル・チョコレートだったが、DVDで観た2作目もこの作品も、チョコレートにな何の関係もないのだから。