評     価  

 
       
File No. 1745  
       
製作年 / 公開日   2011年 / 2013年02月23日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ショーン・ダーキン  
       
上 映 時 間   102分  
       
公開時コピー   心の闇に葬った
もう一人のワタシが、
私を狂わせてゆく
 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
キ ャ ス ト   エリザベス・オルセン [as マーサ]
サラ・ポールソン [as ルーシー]
ジョン・ホークス [as パトリック]
ヒュー・ダンシー [as テッド]
ブラディ・コーベット [as ワッツ]
ルイーザ・クラウゼ [as ゾーイ]
ジュリア・ガーナー [as サラ]
マリア・ディッツィア [as ケイティ]
クリストファー・アボット [as マックス]
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
あ ら す じ    孤独だったマーサは、山の上にあるカルト集団に家族の愛情を求め入信し、マーシー・メイという新しい名で共同生活を送っていた。しかし2年後の20歳の夏、彼女はひとりでコミューンから脱走し、今は唯一の家族である姉ルーシーとその夫テッドの湖畔の別荘に身を寄せている。
 安全な場所で暮らしていても、カルト集団の記憶がよみがえり、何かに脅えているマーサ。自給自足の日々、リーダーのパトリックから捧げられた歌、そして“浄め”の儀式。マーシー・メイの妄想がやがてマーサの現実の世界を少しずつ侵していく・・・・・。
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
たぴおか的コメント    カルト集団から脱走した女性のその後2週間を描いた作品で、サンダンス、カンヌを皮切りに世界の映画賞13部門で受賞している。この作品には特段の扇情的な描写や過激なシーンもなく、観客を驚かすような作為もない。カルト教団でマーサが経験した異様な体験を、いかにも異様だと見ようと演出したならば、観ている者は「なるほど、そういう作品なのか」と納得して逆に安心できる。ところがこの作品は、その異様さを強調などせずにシンプルに観る者に突きつけてくるから、観ている者はどう反応していいか戸惑い不安に襲われるのだ。未知な物を恐れるという人間の心理を巧みに突いた演出だと言えるだろう。
 ストーリーは、現在の映像とマーサがカルト集団にいた時の映像が交互に配されていて、しかも「場面が切り替わりましたよ」といった明らかな区切りもなく、カット繋ぎをも意識させないほどに滑らかに時制が切り替わるものだから、最初はワケがわからず戸惑った。それが現在と過去が交錯した不安定なマーサの意識を象徴していることに気づくのには、かなりの時間を要してしまった。
 主人公のマーサを演じたエリザベス・オルセンは、この作品が世界各国の映画賞を合計13部門で受賞したことで一躍注目を浴びることとなり、先頃の『レッド・ライト』でもキリアン・マーフィの恋人で彼を助ける女学生のサリーという重要なキャラクターを演じており、次の週末(3月2日)には主演作『サイレント・ハウス』も控えている。年齢も1つしか違わないジェニファー・ローレンス同様、今後が非常に楽しみな女優だ。