評     価  

 
       
File No. 1758  
       
製作年 / 公開日   2012年 / 2013年03月16日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   大友 啓史  
       
上 映 時 間   134分  
       
公開時コピー   この愛さえも、DNA決まるのか。  

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   二宮 和也 [as 神楽龍平/リュウ]
豊川 悦司 [as 浅間玲司]
鈴木 保奈美 [as 水上利江子]
生瀬 勝久 [as 志賀孝志]
[as 白鳥里沙]
水原 希子 [as 蓼科早樹]
遠藤 要
和田 聰宏
中村 育二
萩原 聖人 [as 神楽の父]
 
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あ ら す じ    近未来の日本。国策として、極秘裏に収集した全国民のDNAデータ“プラチナデータ”を利用した高度なDNA捜査が導入され、検挙率100%、冤罪率0%の社会が完成していた。皮肉屋で自信家の天才科学者神楽龍平は、警察庁に新設された特殊捜査機関“特殊解析研究所”に所属する犯罪捜査の専門家だった。所長志賀孝志指揮の下で数々の難事件を解決してきた彼は、DNA捜査が通用しない殺人事件“NF13(Not Found13)”を担当することになる。だが、同一犯人と思われる手口によって、DNA捜査システムを開発した天才数学者の蓼科早樹とその兄耕作も殺されてしまう。遺伝子学教授の水上江利子が勤める新世紀大学病院から一歩も外に出なかった早樹。密室ともいえる状態で、犯行はどのように行われたのか?
 現場に残されていたわずかな皮膚片からDNA データの抽出に成功した神楽は分析を開始するが、適合率99.99%で容疑者として特定されたのは自分自身だった。一切身に覚えのない神楽は逃亡を決意する。“追う者”だった神楽は、自ら手がけたDNA捜査によって“追われる者”となる。この事件の捜査担当となったのは、現場叩き上げで豊富な経験を持つ警視庁捜査一課の敏腕刑事浅間玲司だった。DNA捜査システムを掻い潜って逃走する神楽を追い詰めた浅間は、神楽の中に、もう1つの人格“リュウ”が存在していることに気付く。一方、特殊解析研究所の同僚白鳥理沙のサポートを得て逃走を続ける神楽は、事件の裏に何かが存在していることを知る。神楽は白か黒か?真相は何なのか?全ての鍵を握るのは“プラチナデータ”。神楽が信じられるのは科学か、それとも自分自身か・・・・・?
 
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たぴおか的コメント    いわゆる貴金属のプラチナのスペルは“PLATINUM”なのに、この作品では“PLATINA DATA”となっている。原作者の東野圭吾が間違えるとも思えず調べてみたら、“PLATINA”という綴りも決して間違いじゃないらしい。ただ、“PLATINA”にはもう一つ「銀ににたもの」という意味があり、もしかしたらプラチナデータとは決して“PLATINUM”のような価値のあるものじゃなく、あくまでも“銀に似たもの”に過ぎないというDNA至上主義を否定する暗喩が込められているのか、などと深読みしてしまった。
 トヨエツ扮する浅間の「DNAですべて決まるわけじゃない」という言葉は、いかにも様々な人間を見てきたたたき上げの刑事らしい信念に基づいた言葉で、それに対する二宮演じる神楽は「決まるんだよ」と応える。こちらもまたDNAを研究する科学者らしい言葉で、この時点で浅間と神楽は水と油、全く相容れない存在だと印象づけられる。と同時に、このやり取りこそがこの作品のテーマであり、神楽が警察から逃げながら身をもって知った真理なのだ。
 NF13の真犯人は消去法で簡単に想像着いてしまう。そして、ラストで真犯人と神楽とのやり取りの一部始終が描かれているが、これがどうも蛇足に思えて仕方ない。せっかくラストまでは緊迫感を維持しながら、最後の最後にあの描写は一気に観る者を弛緩状態に陥れてしまうような気がするのだ。
 やはり何度観ても二宮和也が騒がれるほど演技が上手いとは思えず、この作品もトヨエツや杏、鈴木保奈美らが周囲を固めてこその盛り上がりだったんじゃないだろうか。