評 価
File No.
1774
製作年 / 公開日
2012年 / 2013年04月13日
製 作 国
スペイン
監 督
アントニオ・チャバリアス
上 映 時 間
96分
公開時コピー
お前はいったい、
誰なんだ?
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最初に観たメディア
Theater
Television
Video
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キ ャ ス ト
ファン・ディエゴ・ボト
[as ダニエル]
バルバラ・レニー
[as ラウラ]
マヒカ・ペレス
[as フリア]
マルク・ロドリゲス
[as マリオ]
アガタ・ロカ
[as ルイーザ]
ノラ・ナバス
[as ベアトリス]
クリスティーナ・アゾフラ
[as クララ]
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あ ら す じ
38歳の
ダニエル
と34歳の
ラウラ
のおしどり夫婦は、ともに同じ小学校に勤める教師で、なかなか子供を授かることができず悩んでいた。ある日、ラウラとダニエルが小学校に出勤すると、ダニエルを呼びとめる中年男性がいた。彼はダニエルが子供の頃に兄弟のように仲の良かった友人
マリオ
だった。だが、ダニエルは、マリオとの突然の再会を喜ぶことができず、逆に拒否してしまう。それは子供の頃の、あの夏の日の忌わしい事件がよみがえるからだ。しかもマリオはダニエルに、自分の7歳の娘
フリア
に会って、あの夏の事件のことを話して欲しいと懇願するのだ。意味のわからないマリオの願いを、ダニエルは突っぱねるように断った。
翌日の新聞に、マリオの自殺記事が掲載される。昨日訪ねてきたマリオの死に動揺を隠そうとするダニエルの脳裏に、あの夏の忌わしい事件が断片的によみがえってきた。ダニエルの父親が、再婚を考えていた
ルイーザ
と彼女の2人の子供と一緒に過ごすことになった、あのひと夏の出来事。ルイーザの子供の名は、マリオと
クララ
。クララは、母親に怪物から身を守ってくれる“赤い魔法のリボン”をつけてもらい、怪物から守ってくれるという“ディクタド(書き取り歌)”を教えてもらっていた。その数日後、墓地で半ば土に埋められた状態でクララの死体が見つかり、再婚は白紙になったのだった。
ラウラは、ダニエルはラウラに勧められて友人マリオの葬式に行き、そこでマリオの娘フリアに会う。ラウラは監護権を持つ人間が見つかるまで、一時預かろうと言い出し、ダニエルがあとで別れがつらくなるからやめようと説得するが、自分たちの子供が授からないラウラは引き下がらない。ダニエルは、しぶしぶ承知してフリアを引き取るが、それによって、今まで封印していた忌わしい記憶とその悪夢に苦しみ始める。
ラウラとフリアは、一緒に暮らす内に仲良しになってきたが、ダニエルは違っていた。ダニエルがフリアと2人だけでいた時、フリアが嫌悪するような目つきで、こう言い放ったのだ。「あなたを知っている。前から知っている」と。なぜかフリアが、クララと同じ“赤い魔法のリボン”をしていたり、クララと同じ“ディクタド”を口ずさむ時があった。マリオを死に至らしめたのと同様の脅迫観念と恐怖が、次第にダニエルを支配し始め、やがて彼は発狂寸前に追い込まれていくのだった・・・・・。
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たぴおか的コメント
これは正確には“よみがえり少女”じゃなくて、“生まれ変わり少女”と言うべきだろう。どうやらこの作品のメガホンを執ったアントニオ・チャバリアス監督の発想の原点には、やはり「輪廻転生は存在するのか」という疑問があったようだ。
身寄りのない少女フリアを引き取る夫婦、そんなシチュエーションからふと2009年の『エスター』を思い出した。もっとも、エスターの本性が怪物であったのに対し、この作品のフリアはおそらくクララの生まれ変わりで、ダニエルが無理矢理記憶の片隅へと追いやった忌まわしい事件の記憶を持っているものの、それを元にダニエルを脅したりはしない。ただ、クララのリボンを着けたり、クララと同じ“ディクタド”を口ずさんだりするだけだ。けれども、ダニエルは心にやましさを感じているだけに、そんなフリアの言動ひとつひとつが否が応でも過去の事件を思い起こさせるのだ。
ダニエルはいわば自縄自縛の状態に陥って、次第に正気を失っていくのだが、妻のラウラには自分がなぜそんな状況に追い込まれていくのか、その理由を教えるわけにはいかない。そんなジレンマが、さらにダニエルを狂気へと走らせるのだ。平穏な日常が、突如投じられたフリアという一石によって波紋を生じ、やがてそれがダニエルを蝕んでいく様、それがまさにこの作品の主題であり、これはフリアを演じたマヒカ・ペレスの無邪気な可愛さと、ダニエルに扮するファン・ディエゴ・ボトの鬼気迫る演技が相俟って紡ぎ上げられた絶妙なアンサンブルだと言っていいだろう。
惜しまれるのは、作品中では人間関係が説明不足で、ダニエルとマリオが兄弟なのか、そして、クララはダニエルの妹なのか、その辺りが最後まで引っかかっていた。3人の関係を知ったのは、帰宅してオフィシャルサイトを閲覧してからのことで、ようやく奥歯に挟まったモノが取れたような気がした。