評     価  

 
       
File No. 1778  
       
製作年 / 公開日   2011年 / 2013年04月20日  
       
製  作  国   イギリス / フランス / ド イ ツ / ルクセンブルク  
       
監      督   ターニャ・ウェクスラー  
       
上 映 時 間   100分  
       
公開時コピー   英国ヴィクトリア朝の仰天実話に基づく、
世界初!女性のための“大人のおもちゃ”誕生秘話!!
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   ヒュー・ダンシー [as モーティマー・グランビル医師]
マギー・ギレンホール [as シャーロット・ダリンプル]
ジョナサン・プライス [as ロバート・ダリンプル医師]
フェリシティ・ジョーンズ [as エミリー・ダリンプル]
ルパート・エヴェレット [as エドモント・セント・ジョン=スミス]
シェリダン・スミス [as モリー]
アシュレー・ジェンセン [as ファニー]
ジェマ・ジョーンズ
マルコム・レニー
キム・クリスウェル
ジョージ・グレン
 
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あ ら す じ    1890年、イギリス。第二次産業革命が起こりヴィクトリア王朝は最盛期を迎えていた。その頃巷では女性たちに、すぐに泣く、異常な性欲、不感症、うつ病など様々な症状を引き起こすヒステリーが広まっていた。婦人科医の権威であるロバート・ダリンプル医師は、女性特有のヒステリーに対処する“マッサージ療法”を考案する。この“マッサージ療法”は大変効果的で、ダリンプルの診療所に多くの女性患者が詰めかけるようになる。
 そんなダリンプル医師の診療所に訪れたのは、その生真面目さのために勤務先の病院をクビになったモーティマー・グランビル医師だった。ダリンプル医師の眼鏡にかなったモーティマーは、ダリンプル医師の娘エミリー・ダリンプルにも興味を惹かれ、早速住み込みで診療所に勤務することになる。若いモーティマーがダリンプルの助手として“マッサージ療法”を始めたことから、診療所には前にも増して女性患者が押しかけるようになる。ところが、エミリーとは正反対の先進的な考え方の姉シャーロット・ダリンプルは、女性の本質を理解しようとせずに、上辺だけの治療法でヒステリーを解消した気になっている父とモーティマーを嫌っていた。そんな娘に対し、ダリンプル医師もまたシャーロットが携わる福祉事業に反感を抱いていた。
 そんなある日、“マッサージ療法”をしすぎたためにモーティマーの利き手は腱鞘炎になって使えなくなり、やむなく左手を使って“マッサージ療法”を行ったところ、患者を満足させることができずに、これを見たダリンプル医師はモーティマーを解雇してしまう。再び無職となったモーティマーは友人であるエドモント・セント・ジョン=スミス宅に転がり込むが、そこでエドモントが作った電動の羽根箒を見て、“マッサージ療法”に使えるのではないかと思いつく・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    先週と同様に、ヒューマントラストシネマ有楽町からヒューマントラストシネマ渋谷へ行くというルートをたどったこの週末、最も楽しみにしていたのがこの作品。理由は単純、ポスターに大写しになっているマギー・ギレンホールが主演だということ。ところが、オープニングのキャストでトップは意外にもヒュー・ダンシーで、このとき彼女が主演ではないことを初めて知った。
 私はてっきり“ヒステリー”は英語だと思っていたのだが、英語ではこの作品のタイトルの“ヒステリア(=Histeria)”が正しく、実は“ヒステリー(=Histerie)”はドイツ語だったようだ。そして、この作品の舞台となる19世紀には、ヒステリーとは女性特有の疾患と誤解されており、しかもその原因が子宮にあるという、さらにトンデモない誤った理解がなされていたらしい。だから、この作品でダリンプル医師のようなマッサージ療法がまかり通っていたのだ。
 コピーにもある通り、「女性のための大人のおもちゃ誕生秘話」がテーマであることから、かなりキワドいシーンのオンパレードになるのかと思ったら、思ったよりも描写は控えめ。キワドいことをしていることを思わせるシーンはあるものの、ストレートな描写は一切なし。その辺りのソフトさは、監督が女性であるためだろうか。そもそも題材が女性にとっては非常にデリケートなだけに、男性監督がこれを撮ったなら「セクハラ」だのと騒がれかねない。ただ、エンド・クレジットでは歴代の女性用おもちゃの画像が紹介されて、単なるマッサージ器にしか見えない昔のおもちゃはともかく、アノ形をした現代の大人のおもちゃ(平たく言えばバイブですな)までが写されたのには、ちょっと驚き。男性と一緒に観に来た女性にとっては、さぞかし赤面モノだったにことだろう(笑)。
 キワモノさが売りの映画だと思われたこの作品、実は本筋はヒュー・ダンシー演じるモーティマーと、マギー・ギレンホール演じるシャーロットの恋物語なのだ。ただ、そのことがわかるのは、ストーリーも大詰めに差し掛かってからのこと。それまではシャーロットの立場が微妙で、単に父親のマッサージ療法やモーティマーが考案した大人のおもちゃに反発する女性の代表なのか、それとも反発しながらもモーティマーとシャーロットが互いに惹かれていくのか判別がつきかねるのは確か。とは言え、単に興味本位に大人のおもちゃができるまでを描いた扇情的な作品じゃないことだけは、誰が観ても一目瞭然なはずだ。