評     価  

 
       
File No. 1787  
       
製作年 / 公開日   2013年 / 2013年04月27日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   佐藤 信介  
       
上 映 時 間   128分  
       
公開時コピー   本のために、あの人のために。  

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   岡田 准一 [as 堂上篤]
榮倉 奈々 [as 笠原郁]
田中 圭 [as 小牧幹久]
福士 蒼汰 [as 手塚光]
西田 尚美 [as 折口マキ]
橋本 じゅん [as 玄田竜助]
鈴木 一真 [as 武山健次]
相島 一之
嶋田 久作 [as 平賀]
波岡 一喜 [as 進藤]
栗山 千明 [as 柴崎麻子]
児玉 清 [as 稲嶺和市]
石坂 浩二 [as 仁科巌]
 
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あ ら す じ    近未来の日本。各メディアにおける風紀を乱す表現を武力の行使をも厭わず取り締まる「メディア良化法」が施行された。それから30年後の正化31年、「メディア良化法」による検閲に対抗し読書の自由を守るために結成された図書館の自衛組織・図書隊に笠原郁が入隊する。郁は高校生のときに図書隊隊員に読みたい本と彼女自身を助けられたことがあり、その隊員に憧れての入隊だった。
 ところが、郁の担当教官となった二等図書正・堂上篤は非常に厳しく、郁を助けた隊員のことも愚かだと非難する。堂上の厳しい指導を経て、郁は女性としては初めて図書特殊部隊ライブラリータスクフォースに配属される。堂上や小牧幹久の下、エリート・手塚光や業務部・柴崎麻子といった同期の仲間に囲まれ、過酷な訓練と図書館業務をこなしていく郁。そんな中、郁はなぜか優しく助けてくれた憧れの隊員とは真逆であるはずの堂上のことを意識し始める。
 ある日、小田原にある情報歴史図書館の館長稲嶺和市が亡くなり、図書館が閉館されることになる。情報歴史図書館が有するすべての資料は関東図書隊に移管されることになったが、その中には「メディア良化法」成立の裏側に触れていると言わる文書が含まれていた。メディア良化委員会はその報道資料を狙っているため、移管の日には図書隊とメディア良化委員会との衝突が避けられないことが決定的だった。
 本来タスクフォースは危険な前線に立つべきであるものの、郁は図書基地司令・仁科巌の護衛にまわることになり、戦闘配備から外されたことにショックを隠せずにいた。小田原での全面対決が始まり、図書隊は劣勢に追い込まれながらも、図書の移送を遂行していく。これに対して良化委隊は、仁科の誘拐という非常手段に訴え、郁も仁科と一緒に良化隊に拉致されてしまう・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    先だって公開されたアニメ版は観る気が起きなかったが、それというのも子供向けのファンタジックな内容だと勝手に思っていたからで、劇場で予告編を観るとそれがトンデモない勘違いであることを知らされた。岡田准一が主演だからそうそう下手な演技を魅せられることもないし、ダメ元で軽い気持ちで観てみたが、悪くない出来だったと思う。
 そもそも有害図書を排除する「メディア良化法」の施行だなんていう荒唐無稽な設定だから、今ひとつ現実感に乏しいのは仕方ない。ただ言わせてもらうならば、「メディア良化法」を施行するには、その前に憲法改正(いや、正確には「改正」じゃなく「改悪」と言うべきだ)が大前提だ。ちなみに、現行憲法には
  第21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを
        保障する。
      2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはな
        らない。

と規定されていて、「メディア良化法」なんて法律は現実には憲法に真っ向から楯つくような悪法でしかないのだ。
 さらに言えば、「メディア良化法」は国による国民の言論統制以外の何物でもなく、この法律が一体何の目的で制定されたのかは、映画の中ではうかがい知ることはできない。この法律によって、誰がどのような利益を得ることができるのか、その元凶を叩き潰さない限り、所詮図書隊は焼け石に水でしかない、それが悲しい現実だろう。この作品を観るならば、私のような理屈を忘れて楽しむことをお勧めしたい。
 図書隊が図書館内に限定されて武力の行使が許されるというのはわかる。だが、良化隊と比べると武力装備が圧倒的に貧弱過ぎる。銃火器がどう見ても良化隊に劣るのは仕方ないとしても、攻める側の良化隊が強固な楯を使うのに対し、専ら守る側の図書隊は土嚢を積むだけというのは理解に苦しむ。予算がないのか?なんて現実的な理由を考えてはみたものの、廃業に追い込まれたブックセンターを相手の言い値で買い取るなんて言うところをみると、予算がないわけではないらしい。
 それにしても、榮倉奈々扮する笠原郁が「チビ」なんてけなす通り、岡田准一があれほど背が低いとは知らなかった。もっとも、榮倉奈々が身長170cmとデカイから、余計に目立つのだろうけど。