評     価  

 
       
File No. 1806  
       
製作年 / 公開日   2013年 / 2013年06月01日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   黒沢 清  
       
上 映 時 間   127分  
       
公開時コピー   君を救うため、
ぼくは何度でもきみの<頭の中>へ入っていく。
 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
キ ャ ス ト   佐藤 健 [as 藤田浩市]
綾瀬 はるか [as 和淳美]
中谷 美紀 [as 相原栄子]
オダギリ ジョー [as 沢野]
染谷 将太 [as 高木真吾]
堀部 圭亮 [as 米村]
松重 豊 [as 晴彦(淳美の父)]
小泉 今日子 [as 真紀子(浩市の母)]
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
あ ら す じ    幼なじみで恋人同士の藤田浩市和淳美。だが今は、淳美が1年前に自殺未遂を図ったために昏睡状態に陥ってしまっており、意識が戻らないままだった。そんな淳美に対して、浩市は“センシング”という最新医療措置を使い、淳美の意識に直接コンタクトを試みる。
 意識の中では、漫画家の淳美はいつもデスクに向かって彼女の連載作『ROOMI』を描き続けていた。そして淳美は浩市に、「昔描いて浩市にプレゼントした首長竜の絵を探して欲しい」と頼むのだった。浩市は首長竜の絵を探しながらも、何度も彼女の意識にコンタクトして対話を続ける。
 センシングを繰り返すうち、浩市の脳と淳美の意識が混濁するようになり、浩市の前に見覚えのない少年の幻覚が現れるようになる。そんな折り浩市は、かつて子供の頃に暮らした飛古根島を訪ねてみようと思い立つ。飛古根島で淳美の父・晴彦に出会った浩市は、リゾート開発のなれの果てとなった、無残な島の姿を目の当たりにする。そして、島の警察を訪ねた浩市は、15年前に起きた1件の失踪事件にたどり着く・・・・・。
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
たぴおか的コメント    予定では6月1日(土)の『監禁探偵』の後に観るはずだったのだが、時間の計算違いで上映開始に間に合わず、翌日送りとなってしまった。TOHOシネマズの1ヶ月フリーパスがある私にとっては、昼間もレイトショーも関係なく、結果的には映画の日に当たる初日を避けて政界だったかも知れない。
 目の前にある光景が実は現実ではなく、本当の現実は別にある・・・・・なんていう設定の作品は、先日の『オブリビオン』もうそうだったように、最近は頻繁に見かける気がする。センシングという特殊な方法で、恋人の意識の中へコンタクトする、それがこの作品の最大の売りだと思っていたが、実はその裏にはもう一つ大きな秘密が隠されているのだ。これ以上言うと“完全なる首長竜の日”じゃなくて“完全なるネタバレの日”になってしまいそうなので、この話題はこの辺りで終わりにして、と。
 さすがに昨年の『ひみつのアッコちゃん』は、共演が岡田将生ということもあって観る気がしなかったが、綾瀬はるかファンの私としては、この作品に対してはどうしても期待を抑えきれないのは仕方ない。そして、その期待に応えてくれるレベルの作品だったのは有り難かった。佐藤健扮する浩市が暮らす現実の世界と、1年もの間昏睡状態から醒めることのない綾瀬はるか扮する淳美の意識の中の仮想現実。仮想現実の世界は、淳美の意識によって作られているのだから、何でも彼女の思う通りになる。そしてそこで問題の首長竜が登場するのだが、淳美がナゼ昔自分が描いた首長竜の絵にこだわるのかが解らない。彼女の説明では、かつて自分が完璧に描いた絵を見れば今のスランプから脱出できるというのだが、観ている者にとっては今ひとつその説明がしっくりこないのだ。
 結局首長竜の絵は見つからず、失望した淳美は浩市の前から消えてしまう。これは淳美が死んだということなのか?と思わせておいて、現実に戻ったはずの浩市の前で、信じられない光景が展開する。ここでやっと観ている者は、本当の現実を思い知らされることになるのだ。そこまでは、一体この先どうなるのかという不安を感じながら観ていたが、そこからは先が読めてしまうために、それが良いのか悪いのかは別にして、安心して観ていてられる。
 それにしても、この作品を観ると日本映画のCG技術も捨てたもんじゃないと思える。首長竜にも不自然さはないし、浩市の目の前で都市が蒸発するように崩れていく描写も悪くない。まぁ、ハリウッドと比べてしまうと、映画製作にかける費用が限られている邦画に、どうしても限界があるのは仕方ないとは思うけど。