評 価
File No.
1808
製作年 / 公開日
2013年 / 2013年05月31日
製 作 国
アメリカ
監 督
パク・チャヌク
上 映 時 間
99分
公開時コピー
18歳になった私に届いたのは、
秘密の扉を開く鍵。
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最初に観たメディア
Theater
Television
Video
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キ ャ ス ト
ミア・ワシコウスカ
[as インディア・ストーカー]
ニコール・キッドマン
[as イヴリン・ストーカー(エヴィ)]
マシュー・グード
[as チャールズ・ストーカー(チャーリー)]
ダーモット・マローニー
[as リチャード・ストーカー]
ジャッキー・ウィーヴァー
[as ジン・ストーカー]
フィリス・サマーヴィル
[as マクガーリック夫人]
オールデン・エアエンライク
[as ホイップ]
ルーカス・ティル
[as ビッツ]
ラルフ・ブラウン
[as 保安官]
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あ ら す じ
インディア・ストーカー
は、丘の上の邸の広大な庭で探し物をしていた。その日は彼女の18歳の誕生日で、毎年どこかにプレゼントの靴が隠されているのだが、樹の上で見つけた今年の箱には、謎めいた鍵だけが入っていた。そして突然、贈り主のはずの父
リチャード・ストーカー
が、不審な死を遂げる。
「あの事故、絶対に変よね」「車で橋から落ちる?」「何をしに2州先まで行ったの?」父の死について、ひそひそと交わされる会話が鮮明に聞こえるインディア。繊細で五感が鋭すぎる彼女は、家でも学校でも孤立していた。母の
イヴリン・ストーカー
とも心は通わず、ただ一人の理解者だった父を失ってしまったのだ。
葬儀の日、長年行方不明だった叔父の
チャールズ・ストーカー
が現れ、インディアと参列者を驚かせる。そのまま彼は、しばらくストーカー家に泊まることになる。翌日、家政婦の
マクガーリック夫人
が、チャーリーを責める場面を目撃するインディア。夫人はその日のうちに姿を消した。
夫との仲が冷えていたエヴィは、悲しみにくれることもなく、チャーリーと楽しげに買い物へ出かける。その間にインディアがチャーリーのバッグを探ると、なぜかプレゼントと同じ箱が入っていた。ガーデニングや料理もこなし、ワイン通でフランス語に堪能、テニスも得意──何もかも完璧なチャーリーに「何が望みなの?」と問うインディアインディア。彼の答えは「友達になりたい」だった。
ある日、遠方から訪ねてきた大叔母の
ジン・ストーカー
が、チャーリーを見て動揺する。エヴィに何かを話そうとするが相手にされず、ホテルへ向かった後に姿を消す。自分と同じように鋭敏な感性を持つチャーリーに次第に共鳴していくインディア。だが、それと同時に彼の過去に疑問も抱き始める。父の死の真相は? プレゼントの贈り主は? 姿を消した人たちは何を知っていたのか? そしてチャーリーの本当の目的は?すべての謎を、あの鍵が開こうとしていた・・・・・。
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たぴおか的コメント
それにしても意味不明な邦題には参る。『イノセント・ガーデン』だって?「無邪気な庭?」それとも「潔白な庭?」これじゃさっぱり何の映画なんだか、わかったもんじゃない。原題は“STOKER”で、「え?あの人をつけ回すストーカー??」と一瞬思ったが、よく考えてみればそのストーカーはスペルが“STALKER”で、この作品の“STOKER”は、ミア・ワシコウスカ扮するインディアのファミリーネームだった。
この作品のメガホンを執ったのは、意外にもあの韓流作品『親切なクムジャさん』の監督パク・チャヌク監督で、これがハリウッド・デビュー作となるわけだ。作品の中身もさることながら、最も驚かされたのはエンド・クレジットで、スクリーンの上から下へとロールするクレジットを観たのは、間違いなくこれが初めてだ。どうでもいいけど、正直言うならば観にくくてイライラする(笑)。
どうも主演のミア・ワシコウスカに違和感を感じると思っていたが、その理由が髪を黒く染めブルネットにしているからだと気付いたのは、彼女の過去の作品の画像をWebで観てからだった。
この作品の製作はあの『ブラック・スワン』のスタッフで、なるほど同じ空気が感じられる。が、ちょっと他に類を見ない一種独特の世界観を持つ作品で、それが受け入れられるか否かによって、評価も大きく分かれるように思える。ちなみに、私にとっては、素直に受け入れることはできない、けれども拒絶するほどでもない、非常に微妙な立ち位置にある作品だ。
叔父のチャーリー役にマシュー・グードを抜擢したのが、この作品を成功させる最大の要因のひとつであることは間違いない。あの偏執狂にも通じる目力の強さは、チャーリーの異常性を表すに充分だ。と同時に、そんな見るからに危険な男に引かれていく、ミア演じるインディアの心理状態が信じられない。もしかして、インディアはチャーリーの中に自分と相通じるものを感じ取ったのか?そう考えると、インディアの父・リチャードが、娘に狩猟をさせたのには、恐るべき意図があったのではないかと思えてくる。
インディアは「父親が自分に悪いことをさせないように狩りに連れ出した」と言っているが、それはインディアのある特質が人間に向かないよう、動物に向けさせのではないか?と。だからこそ、そんなインディアの内に潜んだ資質を触発させないためにも、チャーリーが家族に近づくことを恐れたのではないか。
だとすると、残念ながら父の危惧は現実になったわけで、チャーリーはインディアの目の前で次々と恐るべき行動を見せつけていく。そして、ついにインディアも・・・・・。インディアが最後にチャーリーに対してとった行動は、確かに情状酌量の余地もあり、理解できないこともない。だが、それがニコール・キッドマン扮する母・エヴィを助けたい一心でとった行動かというと、甚だ疑問だ。その証拠に、次にインディアは保安官に対して驚くべき行動に出ている。その際の彼女の表情といい、その執拗さといい、明らかに常軌を逸していて、もはや正気の沙汰とは思えない。 一種のファンタジーのような空気が流れる中、残虐な描写が少なくないこの作品、「R15+」の視聴制限がないことが不思議に思える、そんな作品だった。