評     価  

 
       
File No. 1819  
       
製作年 / 公開日   2013年 / 2013年06月15日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   猪崎 宣昭  
       
上 映 時 間   115分  
       
公開時コピー   全米を欺いた衝撃のラストを見逃すな!  

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   上川 隆也 [as 赤羽一兵]
片瀬 那奈 [as 長谷川千夏]
平山 あや [as 鳥谷恵美]
小池 里奈 [as 小林亜衣]
黒谷 友香 [as 今野純子]
賀来 千香子 [as 小林郁子]
でんでん [as 後藤猛]
高橋 恵子 [as 前田礼子]
長嶋 一茂 [as レポーター]
戸田 恵子 [as 鏑木裕子]
中村 嘉葎雄 [as 太田聖道]
佐々木 すみ江 [as 工藤三重子]
本田 博太郎 [as 三島忠志]
伊武 雅刀 [as 町田邦夫]
武田 真治 [as 呉井大悟]
 
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あ ら す じ    売れない小説家の赤羽一兵。ある日、彼のもとに連続殺人犯で死刑囚の呉井大悟から「告白本を書いて欲しい」という執筆依頼が舞い込む。告白本を書けば一流の小説家になれるかもしれない、そんな欲望に駆られた赤羽は呉井に面会を申し込む。素直に呉井の依頼を受ける気になれない赤羽に呉井は、「あなたは必ずこの依頼を受けることになる」と断言するのだった。
 告白本の出版には、呉井を主人公にした小説を書くという条件が付けられ、さらには呉井を担当するやり手の女性弁護士・前田礼子からは、呉井が生きているうちは出版しないという、さらなる条件を課せられる。条件を承諾した赤羽に対し、12年前の事件の犠牲者の遺族たちが執筆をさせまいと抗議してくる。ところが、その中のひとりで、呉井に姉を殺された長谷川千夏だけは、赤羽に小説を書いて欲しいと懇願し、彼の取材に協力を申し出るのだった。
 小説を執筆するために、獄中の呉井を神のごとく崇める3人の女性に対して取材を始めるが、その先々で取材対象だった女性が次々と殺されてしまう。しかも、その手口は12年前に呉井が犯した事件と全く同じものだった。刑務所にいる呉井に今回の事件の犯行は不可能で、ということは、12年前も呉井以外の何者かの犯行だったのか?謎は深まる一方で、やがて赤羽はその果てに待つ驚くべき結末にたどり着くのだが・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    2012年の「このミステリーがすごい!海外編第1位」、2011年「週刊文春ミステリーベスト10 海外部門第1位」、2012年「ミステリが読みたい!海外篇第1位」という三冠に初めて輝いた、デヴィッド・ゴードンの小説「二流小説家」を映画化した作品。原作は読んでいないが、これがダン・ブラウンの『ダ・ヴィンチ・コード』を超える傑作なのかどうかは正直疑問を感じる。もっとも、それは原作の小説のせいじゃなく、映画の出来の性なのかもしれないが。
 何と言っても、この作品で特筆すべきは、死刑囚の呉井大悟を演じた武田真治の演技だ。残虐な殺人犯ほど、得てしてある面では常人を凌駕する才能を見せたりするもので、赤羽の深層心理をえぐり出すような呉井の鋭さと、それを裏付ける豊富な知識。さらには、神懸かりなまでのカリスマ性。テレビドラマ『Night Head』の武田真治が、これほどまでの凄みを持つ俳優になろうとは、当時は夢にも思っていなかった。
 一方の上川隆也演じる赤羽だが、呉井との心理戦の直接対決では完全に圧倒されている。ただ、それも彼の演技なのだろうから、それはすなわち彼が実力派である証左でもあるのだろう。ストーリーが進むにつれ、面目躍如とばかりに存在感をアピールしているかのようにも思える。でも、やっぱりこの作品の感想を一言でと尋ねられれば、「武田真治が凄い!」と答えるだろうな。
 赤羽の取材に協力する、姉を呉井に殺された千夏を演じた片瀬那奈もいい演技を見せてくれている。12年前と同じ手口で新たなあ殺人が起きた時、「味方だと思っていた人物が実は犯人だった」というのはよくあるパターンで、もしかして千夏が犯人じゃ?と思わせるために、ますます謎が深まっていく。そして、忘れちゃいけないのが、ベテラン・高橋恵子演じる弁護士・前田礼子の存在で、大女優が演じる役柄には、必ずそれなりの意味があるということだろう。
 事件はこれですべて解決、と思わせておいて、もう一つ小さな仕掛けがしてあるのはニクイ設定だ。