評     価  

 
       
File No. 1837  
       
製作年 / 公開日   2012年 / 2013年07月27日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   リー・ダニエルズ  
       
上 映 時 間   107分  
       
公開時コピー   覗いてはいけない、禁断の闇  

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   ザック・エフロン [as ジャック・ジャンセン]
マシュー・マコノヒー [as ウォード・ジャンセン]
ニコール・キッドマン [as シャーロット・ブレス]
ジョン・キューザック [as ヒラリー・ヴァン・ウェッター]
デヴィッド・オイェロウォ [as ヤードリー・エイクマン]
メイシー・グレイ [as アニタ・チェスター]
スコット・グレン [as WW]
ネッド・ベラミー [as タイリー]
ニーラ・ゴードン [as エレン]
 
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あ ら す じ    1969年、フロリダ州モート郡の小さな町。大学を中退し、父親WWの会社で新聞配達をしているジャック・ジャンセンは、取りたててやりたいこともなく、鬱屈した日々を過ごしていた。母親は幼い頃に家を出てしまい、父親の現在の恋人エレンとはまったく馴染めない。極度にオクテでガールフレンドもいないジャックが心を許せる話し相手は、黒人メイドのアニタだけだった。
 そんなある日、大手新聞社マイアミ・タイムズに勤める兄ウォード・ジャンセンが、同僚の黒人記者ヤードリー・エイクマンを伴い、4年前にモート郡で起きたある殺人事件の死刑囚の冤罪疑惑を再調査するために帰省する。人種差別主義者の保安官が刃物でめった刺しにされたこの事件では、ヒラリー・ヴァン・ウェッターという貧しい白人男性が逮捕され、既に死刑判決が確定していたが、ウォードは裁判が極めて不公正な状況で行われたため冤罪の可能性があると睨んでいた。
 運転手として彼らの取材を手伝うことになったジャックは、オフィス代わりのガレージに突然訪ねてきたシャーロット・ブレスに目を奪われる。今回の取材の依頼主であるシャーロットは、獄中の死刑囚ヒラリーと手紙を交換しただけで意気投合し、婚約まで交わした女性だった。出会った瞬間に恋に落ちたジャックは、刑務所でのヒラリーとの面会に同行するが、ヒラリーは初めて対面した婚約者シャーロットへの欲望を剥き出しにする。
 そんな中、ウォードは殺人事件当日の夜、ヒラリーが伯父のタイリーとともにゴルフ場に忍び込んで芝生を盗んだという話を聞き出す。タイリーはヒラリーのアリバイをそっくり裏付ける証言をしたが、ウォードとジャックは彼らが口裏を合わせたのではないかと疑念を抱く。やがて殺人事件の深い闇に分け入り、叶わぬ恋に身を焦がすジャックは、想像を絶する悪夢のような現実を目の当たりにすることになるのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    久し振りに観るザック・エフロンの主演作は、共演にマシュー・マコノヒー、ニコール・キッドマン、そしてジョン・キューザックと、思いの外豪華な顔ぶれで紡ぎ上げられたサスペンス作品だ。季節は夏、スクリーンを通しても真夏の暑さ、そして気だるさが如実に伝わってくる。そう、この作品を一言で言い表すならば、まさに「気だるさ」以上にふさわしい言葉はないだろう。
 ザックが演じるのは、大学を中退したものの、人生の目標も見つからずに、ただ無為に時間を過ごすという青年ジャック。そんな彼の前に、マシュー・マコノヒー扮する新聞記者の兄ウォード、そしてニコール・キッドマン扮する謎の女性シャーロットが現れて、彼の人生は一変する。さすがニコール・キッドマン、44歳で一児の母とは思えない妖艶な魅力で、私に言わせれば善なのか悪なのかも判別がつかない女性で、こういう女性に深入りするとロクなことがないのだが、そんなことは若いジャックには無関係で、彼女に夢中になってしまうのも仕方ないことだろう。
 シャーロットがさらにやっかいなのは、何と殺人罪で獄中にいるジョン・キューザック扮するヒラリー・ヴァン・ウェッターの無実を信じるばかりか、婚約までしていることだ。ジョン・キューザックといえば、今まで典型的な善人キャラの俳優で、どちらかと言えば気が弱いタイプの人物を演じることが多かったように思うが、この作品のヒラリーは今までに観たことがないJ・キューザックの新たな一面を見せてくれた。何を考えているのか、シャーロット以上に本心を悟らせない不気味なキャラクターで、その本領はウォードを殺すシーンで発揮されるのだ。
 ウォードが殺されるシーンには、本当に度肝を抜かれた。まさか、あんな展開になるとはおそらく劇場にいた誰も予想していなかったんじゃないだろうか。その殺し方がまた結構ショッキングで、劇場内のあちこちから息を飲む気配が感じられた。
 今まで明るいイメージで押し通してきたザック・エフロンにとっては、この作品は大きな転機になるかもしれない。見事アイドルからの脱皮できるのか、答えは今後の彼の作品で明らかになるだろう。