評     価  

 
       
File No. 1863  
       
製作年 / 公開日   2012年 / 2013年09月07日  
       
製  作  国   カ ナ ダ / フランス  
       
監      督   フアン・ソラナス  
       
上 映 時 間   109分  
       
公開時コピー   真逆のふたり、引かれ合う。
  
「二重引力」が存在する世界。
上には富裕層、下には貧困層が暮らしていた
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   キルステン・ダンスト [as エデン・ムーア]
ジム・スタージェス [as アダム・カーク]
ティモシー・スポール [as ボブ・ボルショヴィッツ]
ジェームズ・キドニー [as ラガヴラン]
ジェイン・ハイトメイヤー
ブル・マンクマ [as アルバート]
ケイト・トロッター [as ベッキー]
ヴラスタ・ヴラナ [as Mr.ハント]
 
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あ ら す じ    正反対の方向に重力が作用する不思議な双子惑星。互いの惑星はそれぞれの頭上に向き合うように存在し、一方の重力はもう一方の物質に対しては決して作用を及ぼさなかった。そんな2つの世界は、富裕層が暮らす“上の世界”と、貧困層が住む“下の世界”という関係にあり、双方の交流は厳しく禁じられていた。そんな二重引力にはいくつかの法則があった。あらゆる物質は、それが誕生した星の重力に引きつけられ、“上の世界”での重りは“下の世界”では浮き上がる。そんな反対側の星の物質“逆物質”に長時間接していると、逆物質は燃え上がってしまうのだった。
 “下の世界”に住むアダム・カークは、ふとしたきっかけから上の世界の女性エデン・ムーアと恋に落ち、荒れた丘で人知れず逢瀬を重ねていた。しかしある時警備隊に見つかり、アダムは銃で撃たれ、“上の世界”へ転落したエデンは頭を強打して大怪我を負ってしまう。そして捕まったアダムは、上の世界と通じた罰として唯一の肉親である叔母ベッキーから引き離されたうえに、家を焼き払われてしまう。
 それから10年後、テレビでトランスワールド社のCMにエデンが登場したのを観て、アダムは彼女が生きていることを知る。エデンに会うために、2つの世界を唯一繋ぐトランスワールド社へ入社したアダムは、“上の世界”のベテラン社員ボブ・ボルショヴィッツと知り合う。そして、“上の世界”の重りを身につけたアダムは、ついにエデンと再会するが、10年前に頭に負った怪我が原因で、エデンはアダムに関する記憶をすべて失っていた・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    二重引力に支配された富裕層と貧困層の世界という世界感が斬新なうえに、主演がキルステン・ダンストとあれば、見逃すわけにはいかない。というわけで、この週末の一押し作品だったが、あっという間に二重引力という不思議なファンタジーの世界に取り込まれてしまった。同じ建物の同じフロアで働きながらも、“上の世界”の住人と“下の世界”の住人は互いに天井と床に引きつけられ(どちらが天井でどちらが床なのかは主観の問題なのだ)、決して交わることがない。逆物質である“上の世界”の重りを身につけることで、アダムは初めてエデンと同じ床の上に立つことができるのだが、「逆物質に触れていると燃え上がる」という奇妙なルールの意味が、「なるほど、こういう場面でこんな障害になるんだな」と理解できた。その反面、逆物質に触れると炎上するのなら、上と下とを繋ぐトランスワールド社のタワーは一体どんな物質でできているのか?とか、逆物質でも人間同士なら燃えることはないのか(違う意味で燃え上がることはあるけど)?、等といった疑問がなくもないが、こういったファンタジー作品ではそんな野暮なツッコミはするべきじゃないだろう。
 てっきりキルステン・ダンストの方がジム・スタージェスよりも年上だと思っていたのだが、それは彼女を『ヴァージン・スサイズ』で観て10代の頃から知っていたためだったようで、実はジムの方がわずか1歳ではあるが年上だったのは意外。それはともかく、アダムとエデンという美男美女の2人恋の行方は大いに期待を持たせてくれる。結末は意外に呆気なく、そこまでが凝りに凝った設定だっただけに拍子抜けした感もあった。
 2人に絡んでくるのが、ティモシー・スポール扮するボブ・ボルショヴィッツなのだが、そう言えばジムとティモシーの2人、『ハートレス』でも父子役で共演していたのが、鮮明に記憶に残っている。その彼が、この作品ではコミカルな持ち味を生かしつつも、重要な役柄を演じている。『魔法にかけられて』のナサニエルや『ハリー・ポッター』シリーズのペティグリューのようなクセのある悪役のイメージが強かった彼だが、このところ悪いイメージを払拭するかのような役柄が続いていて、名脇役なんて呼ばれる日が来るのも夢じゃない?