評     価  
 
   
File No.   1864  
   
製作年 / 公開日   2013年 / 2013年09月07日  
   
製  作  国   日  本  
   
監     督   吉田 浩太  
   
上  映  時  間   83分  
   
鑑  賞  日   2013年09月07日  
   
劇     場   ヒューマントラストシネマ渋谷  
 
公開時コピー   私(僕)はうそつきです。  
キ ャ ス ト   本山 なみ [as 栖佑日菜子]
真山 明大 [as 八日堂俊介]
戸田 れい [as 丸悦実生]
青野 未来 [as 大栄知代]
ジェントル [as 松矢大樹]
階戸 瑠李 [as 大和田若芽]
 
あ ら す じ    草食系男子の八日堂俊介は、少しぼんやりした癒し系の同期栖佑日菜子に入社当時から想いを寄せているが、栖佑には名古屋に遠距離恋愛中の彼氏がいた。ある日、名古屋にいる彼氏の愚痴をこぼす栖佑に八日堂は「ホントの彼氏の替わりに、うそでいいので代用品の恋人にしてくれないか」と提案をする。突然の申し入れに戸惑う栖佑だったが、二人はお互いの寂しさを埋める代用品として“うそ”の関係をスタートさせる。
 微妙な距離感から始まった“うそ”の恋人関係だったが、二人の関係も気づけば3ヶ月。食事やキスを繰り返すうち、その衝動と矛盾は徐々にエスカレートし、いつでも終われると思いながらも八日堂は週末のデートに胸を膨らませていた。そんな中、栖佑のもとに今週末会いたいと名古屋の彼氏から突然の連絡が入り、葛藤の末、名古屋へと向かった栖佑。だが名古屋から帰ってきた栖佑は以前とどこか様子が違っていた。不穏な空気を感じとった八日堂は同僚の丸悦実生に相談するが、丸悦もまた言葉にできない思いを心に秘めていた・・・・・。
 
たぴおか的コメント    当初は全く観るつもりはなかった作品だったが、同じヒューマントラストシネマ渋谷で『アップサイドダウン』を観るし、舞台挨拶もあるからついでに観ちゃおうか、なんて思って軽い気持ちで臨んだのが失敗だった。まぁ、「失敗だった」なんて思うのは実際に観たから言えることで、もし映画を観ていなかったら、あのポスターが気になって仕方なかっただろうとは思う(笑)。舞台挨拶で主演の本山なみが見せてくれた特技“セクシーウグイス嬢”は面白かったけど、あとはねぇ。とにかく、西友(栖佑)、ヨーカドー(八日堂)、マルエツ(丸悦)、ダイエー(大栄)、そして松屋(松矢)といった、奇をてらっただけとしか思えない登場人物の名前が耳について仕方ない。
 これが映画初出演にして初主演という本山なみは、観れば観るほど元AKBの前田敦子にイメージがダブる。もっとも、演技力の方は残念ながら前田敦子の足下にも及ばないけど。とにかく台詞が危なっかしくて、いつ噛んで詰まるのかハラハラし通しだった。真山明大演じる八日堂のレンズなしフレームだけのメガネも意味不明だ。また、舞台挨拶では本山なみを含め6名も登壇したが、観終えてから「えっ?一体どこに登場したんだ?」なんてキャラクターもいた始末だ。
 栖佑と八日堂の“うその恋人”という関係がどうも不自然で、現実味が感じられない。もっとも、リアリティを追求するような作品じゃないから、そういったツッコミをすべきじゃないんだろうけど、それならそれでもっと盛り上がるような設定にしてくれればいいものを、どうも付かず離れずという距離感がもどかしくて、いまひとつ盛り上がりに欠ける。プロポーズまでされた彼氏がいるのなら、八日堂とあんな関係になるとは思えないし、逆に八日堂とあんな関係にまでなったら、彼氏を乗り換えるという選択もあったはずなのに、それもなし。結局は最後までどっち付かずでスッキリとした結末とは言いがたいのも不満が残る。  パラドクス( = パラドックス)とは「矛盾」「逆説」あるいは「ジレンマ」を意味する言葉で、この作品のコピー“私(僕)はうそつきです”が非常にわかりやすいパラドックスの例になっている。つまり、もしも嘘つきだったら「私は嘘つきではない」と答えるだろうし、正直者だったらやはり「私は嘘つきではない」と言うはずで、「私はうそつき」という言葉は矛盾をはらんでいるのだ。と、おそらくそんな理屈は、この作品を観に来た大半の観客にとってはどうでもいいことだったはず(笑)。周囲から見れば私も同類に映っただろうけど、本山なみの全裸シーンが目当てで訪れたスケベオヤジは少なくなかったと思う。いや、絶対に少なくなかったに違いない(力説するな>自分)。