評     価  

 
       
File No. 1874  
       
製作年 / 公開日   2012年 / 2013年09月27日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ジョシュ・トランク  
       
上 映 時 間   84分  
       
公開時コピー       

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   デイン・デハーン [as アンドリュー・デトマー]
アレックス・ラッセル [as マット・ギャレティ]
マイケル・B・ジョーダン [as スティーブ・モンゴメリー]
マイケル・ケリー [as リチャード・デトマー]
アシュリー・ヒンショウ [as ケイシー・レター]
ボー・ペターセン [as カレン・デトマー]
アンナ・ウッド [as モニカ]
ルディ・マルコム [as ウェイン]
ルーク・タイラー [as ショーン]
クリスタル=ドナ・ロバーツ [as サマンサ]
エイドリアン・コリンズ [as コストリー]
グラント・パウェル [as ハワード]
アルマンド・オーキャンプ [as オースティン]
 
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あ ら す じ    高校生のアンドリュー・デトマーは、大酒飲みで暴力的な父親リチャード、病気で寝たきりの母親カレンのもと、学校でも一人ぼっちで過ごしていた。アンドリューはそんな生活のすべてを、唯一の話し相手である中古のビデオカメラに語りかけながら記録していく。
 ある日、同じ高校に通ういとこのマット・ギャレティが、アンドリューをパーティーに誘う。インテリで社交的なマットは早速お気に入りの女の子ケイシー・レターを見つけて話し込むが、ビデオカメラを回していたアンドリューはいちゃもんをつけられて殴られてしまう。マットとアメフト部のスター選手スティーヴスティーブ・モンゴメリーは、外で泣いていたアンドリューを見かねて、近くの洞窟探検に誘う。そしてそこで3人は、不思議な物体に触れるが、それがきっかけで3人は自分たちが不思議な力を身につけたことを知る。
 彼らが身につけた力、それは手を触れずに者を動かすことができるテレキネシスで、3人は女の子のスカートをめくったり、駐車してある車を移動させたりと、軽いイタズラを楽しむようになる。しかしある日、後ろから激しく煽ってきた車を、アンドリューが力で横転させて池に沈めてしまう。マットとスティーヴは運転手をなんとか救い出し、チカラを使う際のルールを決めるが、アンドリューは不満を抱く。
 やがて空を飛べるようになった3人は、学校のタレントショーで手品を披露し、アンドリューも人気者の仲間入りを果たす。しかし、急接近した女の子とのファーストキスで大失敗し、学校でからかわれてしまう。さらにビデオカメラを内緒で買ったことが父親にばれて殴られ、母親のために薬を買いに行っても払うお金がない。人生が思い通りにいかないことにフラストレーションを募らせたアンドリューは、やがて暴走を始めるのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    新人監督による低予算の映画にもかかわらず、全米初登場1位で話題となった作品。低予算がキャスティングに露骨に表れていて、登場する俳優たちは誰一人として知る者がいなかった。作品はいわゆるフェイク・ドキュメンタリーの形式をとっていて、主に主人公アンドリューのカメラによる映像で構成されているがそれだけにとどまらず、店の中や病院内の防犯カメラ、あるいは街頭のカメラや果てはテレビのニュース映像など、すべて間接的な映像で作られた新感覚の作品だ。
 余計な説明は一切省きBGMも使われない、そんな贅肉を削ぎ落としたような映像が、いかにも素人っぽくて逆に現実味が感じられる。とは言っても、そこに映されている情景は素人技などではない。3人が空を飛ぶシーンなどを筆頭に、優れたCG技術があってこそで、この辺りの技術に関しては、残念ながら邦画は未だにハリウッドには及ばないところだろう。
 どちらかと言えば内向的で虐げられてきた、そんな人生を送ってきた者ほど、他人には無い力を得るとその力に依存し、やがては逆に力に支配されてしまうもので、この作品の主人公アンドリューはまさにその典型だと言える。しかも、3人の中で最も強い力を身につけてしまうから始末に悪い。他の2人、マットとスティーブは冷静で、人に危害を加えないというルールを自分たちに課していたのだが、それをアンドリューは破って暴走してしまうのだ。おそらくはこれまでの人生で溜まりに溜まった鬱憤が一気に爆発してしまったのだろう。そんなアンドリューを演じたデイン・デハーンはまさにハマリ役で、彼のキャスティングがこの作品が成功した一因であることは間違いない。
 抑制の利かない暴走を始めてしまったアンドリュー、その行き着く先は言わずもがなで、もちろんハッピーエンドでなど終わるはずがない。虐げられてきた者が突然他人を蹂躙するような思わぬ力を得た、その末路に待っていたものは・・・・・?