評     価  

 
       
File No. 1876  
       
製作年 / 公開日   2013年 / 2013年09月28日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   水田 伸生  
       
上 映 時 間   128分  
       
公開時コピー   謝るとき、人は誰でも主人公。  

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   阿部 サダヲ [as 黒島譲]
井上 真央 [as 倉持典子]
竹野内 豊 [as 箕輪正臣]
岡田 将生 [as 沼田卓也]
尾野 真千子 [as 宇部美咲]
荒川 良々 [as 和田耕作]
濱田 岳 [as ワクバル]
松本 利夫 [as 船木]
川口 春奈
鈴木 伸之
小松 和重
笠原 秀幸
美波
真飛 聖
柄本 時生
野間口 徹
六角 精児
中野 英雄
白井 晃
濱田 マリ
嶋田 久作 [as 内閣総理大臣]
中村 靖日
松尾 諭
深水 三章
井上琳水
大川 ヒロキ
岩松 了
小野 武彦
津嘉山 正種
高橋 克実 [as 南部哲郎]
松雪 泰子 [as 壇乃はる香]
 
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あ ら す じ    東京謝罪センター所長、“謝罪師”を生業とする黒島譲は、ケンカのような小さなトラブルから国家存亡の危機まで、ひと癖もふた癖もある依頼人から舞い込む様々な事件に遭遇。降りかかる難問を次から次へと謝罪のテクニックを駆使して解決していくのだった。
 CASE1司法書士を目指す帰国子女の倉持典子は、車の運転中に追突事故を起こしてしまい、車から現れたヤクザ風の男たちに対しうまく謝罪ができず、気が付くと組事務所で内容を読まないまま誓約書に判を押してしまう。それは「示談金400万円、毎月12万円の返済、利子が10日で3割、来週から大阪のデリヘルに就職」という最悪のものだった。
 CASE2下着メーカーの中堅社員・沼田卓也は、開けっ広げな性格が災いし、飲み会で酔った勢いで共同プロジェクトの担当者・宇部美咲にセクハラ三昧。さらには軽いノリで謝る沼田に対し、美咲は怒り心頭。結局、沼田はプロジェクトをはずされ、セクハラで訴えられてしまう。
 CASE3大物俳優・南部哲郎の息子が傷害事件を起こし、南部が謝罪会見を行うことになった。そんな中、黒島が謝罪の指南をするが、芝居じみた謝罪で糾弾され結果は裏目に。仕方なく元妻の大物女優・壇乃はる香を引っ張り出すと、自身の出演舞台の十二単の衣装で登壇、宣伝までしてしまう始末。そして拘置所から出所した息子のTシャツには「Kill You Next Time」の文字が。
 CASE4一流国際弁護士・箕輪正臣は、沼田の訴訟の弁護士であり、典子の大学時代の講師でもある。コロンビア大学卒、27カ国で弁護士資格を取得した完璧なエリート弁護士の彼だが、離婚して離れ離れになってしまった当時3歳だった娘に手を挙げてしまったことを今でも謝りたいと思っている。法律に携わる人間として自分が許せないと言うが。
 CASE5映画プロデューサー・和田耕作がプロデュースした作品に、たまたまお忍びで来日していたマンタン王国・皇太子がエキストラ出演していたことが発覚。マンタン王国皇族の肖像権侵害は懲役20年の重罪であることが判明し、黒島を介し謝罪に行くものの国の習慣や国民性の違いから誤解が生じ謝罪は失敗に終わる。正式に日本政府に謝罪を求めるという国際問題へと発展していく中、マンタン王国は日本との貿易停止を発表。打開策の見えない黒島は絶体絶命の窮地に追い込まれる。
 CASE6謝罪師・黒島譲はなぜ、謝罪を生業とするのだろうか。なぜ謝罪にこだわるのだろうか。それは、ほんの些細な出来事が発端であった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    劇場の予告編だけじゃなく、TVでも散々宣伝を見せられたこの作品だが、どうも今まで宮藤官九郎の脚本とは相性が悪く、この作品も本当に面白いのか半信半疑で臨んだ。確かに笑えるシーンも多いのだが、全編を通してみるとパッチワークのようにまとまりを欠いていて、せっかくの井上真央や竹野内豊らの持ち味が生かし切れていないように思う。そもそも、“『舞妓Haaaan!!!』のスタッフが贈る”なんて売り文句が私には逆効果で、なぜなら『舞妓Haaaan!!!』も大して面白いとは思えなかったから。
 唯一面白いと思えたのは高橋克実と松雪泰子が登場する【CASE3】くらいだろうか。それにしたって、脚本の力というよりは、高橋克実と松雪泰子というキャラクターのなせる技だろう。竹野内豊扮する弁護士の箕輪とその娘とのエピソードが最後にあんな形で結びつくとは、その布石の敷き方は上手いと思う。また、典子と箕輪のカレーの食べ方といった小ネタも悪くないし、岡田将生演じる沼田のマスクには笑った。けれども、それらはあくまで単発で、全体を通して観てみると退屈さの中に埋没してしまっているように感じるのだ。
 そもそも【CASE5】のマンタン王国のエピソードに時間を割きすぎじゃないだろうか。あまりに間延びしてしまい、眠気を催してしまった。確かに、すべての伏線がそこに集約されているのだが、そうなると【CASE5】に全く絡んでこない岡田将生のエピソード【CASE2】だけが浮いていると言うか、なぜそんなエピソードを挿入したのかがわからなくなる。クドカンが売れっ子なのはわかるが、あまりに量産し過ぎて個々の脚本の質が落ちてしまっているんじゃないか、なんて勘ぐるりたくもなるというものだ。