評     価  

 
       
File No. 1877  
       
製作年 / 公開日   2012年 / 2013年09月28日  
       
製  作  国   イギリス  
       
監      督   ベン・ウィートリー  
       
上 映 時 間   88分  
       
公開時コピー   人生変えちゃう旅かもね。  

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   アリス・ロウ [as ティナ]
スティーヴ・オーラム [as クリス]
アイリーン・デイヴィーズ [as キャロル]
リチャード・グローヴァー [as マーティン]
ジョナサン・アリス [as イアン]
モニカ・ドラン [as ジャニス]
 
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あ ら す じ    年老いたおせっかいな母親キャロルと2人暮らしのティナには、付き合い始めたばかりのクリスという恋人がいた。ライター志望のクリスは、取材を兼ねてティナとキャンピングカーでイギリスのヨークシャー州を回る1週間程度の旅行を計画する。キャロルは彼を毛嫌いしていたが、その反対を振り切って旅はスタートする。
 恋人との初めての旅行に胸をときめかせるティナ。ところが、トラム博物館を見学したクリスは、ゴミをポイ捨てするマナーの悪い男とトラブルを起こし、自分のお気に入りの場所を汚されることに我慢がならず、彼を轢き殺してしまう。しかし、これは不慮の事故として処理され、2人は旅を継続する。クリスの行為に茫然とするティナだったが、旅の解放感も手伝って、徐々に罪悪感は薄れていく。
 続いて訪れたオートキャンプ場では、理想的な夫婦、イアンジャニスに出会う。ところが、最新のキャンピングカーを持ち、可愛いテリア犬の“バンジョー”を飼っている売れっ子ライターのイアンに嫉妬したクリスは、ここでも彼を殺害してしまう。ティナもバンジョーを死んでしまった愛犬のポピーに重ね合わせ、誘拐してしまう。
 次第にティナもクリスに同調し、タガが外れたように2人は行く先々で殺人を繰り返すようになる。ところが、キャンプ場に着いた2人は、些細なことから険悪な雰囲気になってしまう。その不満をぶつけるように、理由なく人を殺したティナを“理由がなければただの殺人だ!”と責め立てるクリス。彼の殺人には、自分なりの美学があったのだ。さらに悪いことに、彼らの所業は警察の知るところとなり、“キャンピングカー殺人者”として指名手配されてしまう。
 2人の旅は終わりに近づいていた。自らの愛を正当化するため、悲劇的でロマンチックな心中を決意するクリスとティナ。自分たちのトレーラーを燃やすと、最後の目的地へ向かうが・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    キャンピングカーで英国の観光名所を巡り、行く先々で凶行を重ねていく殺人カップルの狂気の旅路を描いた過激なブラック・コメディ。主人公のティナを演じるアリス・ロウとその恋人クリススを演じるティーヴ・オーラムが、共同で脚本を手がけていて、そのせいか2人ともノリノリで演技していたように思える。
 決してスプラッタ・ホラー作品じゃないから、結構エグイ殺害シーンもあるものの、全体的にコミカルな味付けがしてあって、それが救いになっている。クリスに言わせれば、殺人をするには彼なりの美学があるとのことだが、んなもんがどこにあるのか教えてもらいたい、それほどクリスの行為は単なる快楽殺人にしか思えず、ティナを非難する資格などないんじゃないだろうか。
 この作品を観て不快に感じたことがあって、それは作品の内容ではなく、劇場に居合わせた他の観客の反応だった。確かにコメディではある。が、あくまでブラック・コメディで、私にとっては苦笑いを浮かべるのがせいぜいなのに、若干数名の観客が随所で爆笑している。例えば、クリスがマナーの悪い観光客を轢き殺した後、血まみれになった車の後輪がアップになって爆笑。ティナが自転車に乗車した見ず知らずの男性を轢き殺してはまた爆笑。いくらコメディとは言え、人が死ぬというのは一種の荘厳さを伴うもので、そんなシーンで笑うとは神経が異常なんじゃないかと疑いたくもなる。そして、そういう輩が得てして実際に殺人を行うんじゃないか、なんて不安になったりもするのだ。
 上映中に平気で携帯を見る奴、上映中に喋る奴、マナー違反で不愉快な思いをしたことは多々あったが、笑い声で不快に感じたのはこれが初めての経験だった。通常のコメディで笑い声が上がると場内の雰囲気が盛り上がる気がするが、この作品の笑い声は妙にしらけて感じられたのも、洞然と言えば当然か。