評     価  

 
       
File No. 1886  
       
製作年 / 公開日   2012年 / 2013年10月12日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   トッド・ロビンソン  
       
上 映 時 間   99分  
       
公開時コピー   それは世界を壊滅させる、悪魔の最終兵器。  

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   エド・ハリス [as デミトリー・ズボフ]
デヴィッド・ドゥカヴニー [as ブルニー]
ウィリアム・フィクトナー [as アレックス]
ランス・ヘンリクセン [as マルコフ]
ショーン・パトリック・フラナリー [as ティルトフ]
ジョナサン・シェック [as パヴロフ]
ジェイソン・ベギー [as Dr.セマク]
ダグマーラ・ドミンスク [as ソフィ]
デレク・マジャール [as ガーリン]
ジェイソン・グレイ=スタンフォード [as サーシャ]
キップ・パルデュー [as ヤニス]
ジョーダン・ブリッジス [as ソナーオペレーター]
 
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あ ら す じ    米ソ冷戦時代の1968年。ソビエト連邦の海軍に所属するデミトリー・ズボフは、長い航海からカムチャッカのリバチー海軍基地に戻ったばかりにも関わらず、中国海軍に払い下げられる予定の潜水艦B-67最後の偵察航海を行うよう司令官マルコフから命じられる。無茶な指令に反発する部下たちを抑えて、デミトリーはやむなく任務を引き受ける。いつものメンバーに加えて、補充兵やB-67に取り付けられた試作装置『ファントム』の実験のために技術者ブルニーガーリンも同乗する。さらにデミトリーには、外洋に出るまで開封を禁じられた指令書が渡され、異様な空気の中B-67は出港する。
 マルコフはそれを見届けると、ひっそりと自殺を図った。航行が進む中、『ファントム』の調整を続けるブルニーとガーリンは、艦長であるデミトリーにも『ファントム』の使い道について説明しないどころか、近づくことすら許さなかった。一方、副長のアレックスは、ブルニーら今回の任務にあたり補充された者たちの身元が判然としないことに気付く。唯一名前のわかった兵士も死亡者名簿に載っているという事態に、ブルニーたちが情報機関KGBの特殊部隊『オズナ』のメンバーではないかと疑うアレックス。デミトリーが指令書を開封すると、アメリカ海軍の動きの監視および新兵器『ファントム』の実験を行うよう書かれていた。
 パナマ籍のタンカーと接近すると、ブルニーは『ファントム』の起動実験をしたいと主張。しかしデミトリーは何もせずにタンカーをやり過ごす。自室に戻り海軍政治担当官パヴロフと話しあっているうちに、デミトリーは激しい発作を起こす。それは、過去の事故で追った怪我の後遺症だった。B-67とアメリカの原潜が遭遇し、ブルニーはついに『ファントム』を起動させる。するとアメリカ原潜はB-67に気づかずに去っていく。『ファントム』は別の船の音波を模倣して敵のソナーを欺く偽装装置で、アメリカ原潜はB-67をただのタンカーと誤認したのだった。
 実験の成功に艦内は沸き立つが、デミトリーとアレックスは『ファントム』があればB-67が搭載する核ミサイルを探知されることなく使えることに気付き、ブルニーらはそれらを奪いにきたテロリストではないかとの疑いを強める。そしてB-67が海軍に報告をする通信点に到達したとき、ブルニーとガーリンはデミトリーらに銃をつきつけ、デミトリーが過去B-67で起こした事故を暴露し、艦を乗っ取る。ブルニーらはKGB特殊部隊『オズナ』のメンバーで、『ファントム』を用いて中国艦に偽装しアメリカ軍へ攻撃、アメリカと中国との戦争を誘発させソ連が覇権を握るという計画を立てていた。デミトリーたちは艦を奪還し核ミサイルの発射を阻止すべく立ち上がる・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    特に大がかりなCGが使われているでもなく、私が知る俳優はエド・ハリスに『X-FILE』のデヴィッド・ドゥカヴニー、そしてつい先日『エリジウム』でお目にかかったばかりのウィリアム・フィクトナーの3名だけ。どう見ても低予算のB級作品だが、中身は馬鹿にすることができないなかなかの仕上がりだった。
 アメリカが制作した映画にもかかわらず、舞台となるのはソ連の海軍で、登場人物は当然のことながら全員英語を話す。だから、彼らがソ連軍なのだと納得するまでに時間がかかるのも難点。ただ、国籍がソ連であろうがアメリカだろうが本筋にはあまり関係ないから、今思えばそんなことを気にする必要もなかったようだ。
 これが実話に基づいているとは、さすがソ連恐るべし。アメリカとの冷戦中で、おそらくは一触即発の状況にあったのだろう。そこへ火種を投げ込めば、たちどころに核戦争勃発は火を見るよりも明らかで、両国共に核戦争だけは絶対に回避しなければならない最後の砦なのだ。そんな状況下で、中国籍船を装って、アメリカ軍の艦に核ミサイルを撃ち込もうとするのだから、万が一これが成功していたら、おそらくは世界地図も現在の物とは大きく異なっていたことだろう。
 実は最初は配役が配役だけに、ウィリアム・フィクトナー扮するアレックスが内乱を起こすのではないかと見守っていたら、事態は全く私の見当とは違う方向へ進んでいく。まさか、デヴィッド・ドゥカヴニーが悪役だなんて、予想もしなかったから。そんなデヴィッド・ドゥカヴニー扮するブルニーに対する、エド・ハリス演じるデミトリーは貫禄充分で、副長のアレックスじゃああはいかないだろうと思わせるのはさすがだ。
 デミトリーらソ連軍人がアメリカ軍を賞賛するような台詞が何度かあるのには、所詮冷戦なんて国のトップ同士の諍いであって、直接戦いに臨む軍人同士にはある意味無関係で、互いに尊重し合っていたのか・・・・・なんてうっかり思ってしまったが、考えてみればアメリカが制作した映画なのだから、米軍を賛美するような台詞があったとしてもむしろ当然だと気づいた。もしこの映画をロシアが制作したら、アメリカ軍を評価する言葉はどう変わるのだろうか?観てみたい気がする。