評     価  

 
       
File No. 1894  
       
製作年 / 公開日   2012年 / 2013年10月26日  
       
製  作  国   イ ン ド  
       
監      督   S・S・ラージャマウリ  
       
上 映 時 間   125分  
       
公開時コピー   ハエになっても
キミを守る!
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   ナーニ [as ジャニ]
サマンサ・プラブー [as ビンドゥ]
スディープ [as スディープ]
 
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あ ら す じ    ジャニは民族衣装のサリーにつける装飾品など小さなものを作るマイクロ・アーティストのビンドゥに好意を寄せていた。ある日、ビンドゥは参加しているNGOの慈善活動への寄付を募りにまわっていたところ、裏の世界にも通じる建設会社社長のスディープが彼女の美貌に目を留める。落とせない女はいないと自負するスディープは、多額の寄付をしてビンドゥを手中に収めたと勝手に思い込んでしまう。
 ところが、一向に自分に気持ちが向かないビンドゥが、実はジャニを思っていることを知ったスディープは激怒し、怒りにまかせてジャニを事故に見せかけてなぶり殺しにしてしまう。そしてスディープは、ジャニを失ったビンドゥの心の隙につけ込もうとあの手この手を駆使するのだった。
 ところが、死んだジャニはなんとハエに転生する。死ぬ間際にスディープに言った言葉「彼女に手を出せばお前を殺す」を実行すべく、ハエになったジャニはスディープに立ち向かっていく・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    恥ずかしながらチラシを観て初めてこの作品を知った時、てっきりジェームズ・マカヴォイが主演だと思い込んでしまった(笑)。でも、よく見てみるとインド映画だということが、共演者らしき女性を見て初めて気づいた次第だ。そして、インド映画の例に漏れずこの作品も3時間に及ぶトンデモ長尺作品かと思ったら、意外にも125分という短さ(125分だって決して短いとは言えないけど)。半ばで「ちょっと休憩」みたいなカットが入るところをみると、どうやらディレクターズ・カットはやはり3時間を超えるんじゃないかと思われる。
 タイトルの“マッキー(MAKKHI)”とは、ヒンディー語で“ハエ”を意味するようで、まさにそのまんまのタイトルだ。ちなみに、もうひとつの原題“EEGA”の意味がわからなくて気になって仕方ない。それはともかく、昨年公開された『ロボット』同様に、この作品でもヒロインを演じる女優(サマンサ・プラブー)の美しさは特筆すべきだ。韓流女優は美人が多いというが、人口5,000万の韓国に対し12億という世界第2位の人口を誇るインドだから、メディアに登場する女性に美女が多いのも当然かもしれない。
 ハエに転生した主人公・ジャニが、一体どうやって人間に立ち向かうのか?という疑問が当然ながらに浮かんでくるが、観てみると「よくもまぁ考えたもんだ」と感心。まずジャニのマッキーは、人間の頭脳をちゃんと持っていて、しかも身振り手振りで意思を伝えることができるのだ。ただ、いくらお利口さんのハエでも、殺虫剤を使えばひとたまりもないのに、という次の疑問が湧いてくる。そして、その疑問に対する回答には笑った。ビンドゥがマイクロ・アーティストというのは、実はその伏線だったのだ。なんと、彼女がハエになったジャニ用に、防虫剤防御のためのゴーグルとマスクを作るのだ。しかも、ハエ用の鉄の爪までも。
 インド映画では恒例の歌と踊りも健在で(それがなければもっと尺を短くできるのに・・・)、CGで描かれたハエのマッキーもが手脚を振り尻を振りダンスを疲労してくれる。そんなマッキーを観ていると、『ロボット』の蚊が連想され、もしかしたらあれがヒントになってマッキーが生まれたのかもしれない、なんて思ったりする。筋トレをするハエなんて前代未聞だが、マッキーがビンドゥの涙で“I AM JANI”と字を書いて、彼女に自分がジャニであることを告げるシーンはちょっと感動ものだ。そして、ラストで身を賭してスディープにトドメを刺すシーンは、そこまでの経緯があまりに痛々し過ぎる。最後に残されたマッキーの1枚の羽根をお守りにするビンドゥが痛ましい。