評     価  

 
       
File No. 1921  
       
製作年 / 公開日   2013年 / 2013年11月29日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   やまさき 十三  
       
上 映 時 間   110分  
       
公開時コピー   あのコは、
俺の娘だっつーの
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   國村 隼 [as 浅本有也(あさ)]
板尾 創路 [as 日留川三郎(ひる)]
山寺 宏一 [as 板東欽三(ばん)]
桐谷 美玲 [as 阪元有三子]
斉藤 慶子 [as 阪元幸子]
温水 洋一 [as 安永医師]
雛形 あきこ [as 長友寿美]
間 寛平 [as 北山俊夫]
上島 竜平 [as 松尾]
國本 鍾建 [as 尾松]
松平 健 [as 野沢七郎]
西田 敏行 [as 阪元雷蔵]
 
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あ ら す じ    高校時代野球部にいた浅本有也日留川三郎板東欽三の3人組は、名字をもじって『あさひるばん』と呼ばれていた。甲子園出場を目指していたが、決勝戦であとワンナウというところでライバル校の4番・野沢にランニングホーマーを打たれて夢を断たれてしまった。
 それから30年。それぞれの道を歩む3人のもとに、野球部マネージャーだった阪元幸子の娘有三子から手紙が届く。その手紙は、入院中の母に会いに来てほしいという内容だった。彼らにとってマドンナだった幸子が病気であること、いつの間にか子供をもうけていることに驚いた浅本・日留川・板東の3人は、久しぶりに故郷・宮崎に集結する。
 3人は有三子から、幸子が有三子を身籠もったことで実家を飛び出し、以来野球部の元監督で彼女の父の阪元雷蔵と疎遠になっていることや、そのために幸子が女手ひとつで有三子を育ててきたこと、有三子が自分の本当の父親が誰なのかを知らないことなどを聞かされる。そして、その有三子が近々結婚することになっていることを知った3人は、結婚式を機に雷蔵と幸子の関係を修復すべく奔走するのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    12月1日が映画の日だったからこそ観た作品で、『釣りバカ日誌』を1作も観ていないような私が、本来ならば迷わずスルーしていたはず。その理由はキャスティングで、主演が國村隼、板尾創路、山寺宏一というオッサントリオでは、あまりに華がなさ過ぎるから(笑)。案の定、観客の年齢層は高めで、10代や20代の観客は私の見た限りでは一人もいなかった。おまけに、配給が松竹とあっては期待感もしぼみがちなのは仕方ないだろう。
 ところが、食わず嫌いとはこのことで、観てみるとこれが笑いあり感動ありで面白い。久しぶりに私の涙腺を大いに刺激してくれた作品だった。考えてみれば、洋画、ことにハリウッド作品では、笑いと感動が同居した作品はあるが、この作品のようにじ〜んと心に染みこむような味わいの深さを感じることができる作品を観た記憶がない。おそらくは日本人と西欧人の気質の違いだろうが、こういう味わいを体験したければ邦画に限るということだろう。
 オッサントリオが主人公となるとヒロインの存在は非情に重要で、斉藤慶子では物足りない(斉藤慶子サン、ゴメンナサイ)からか、桐谷美玲をキャスティングしているのは少なくとも私のような人間には大いに効果があった。そして、ストーリーも斉藤慶子中心ではなく桐谷美玲を中心に、自分こそが彼女の父親だと信じる、いや、信じ込みたい3人のオッサンが、あの手この手で他の2人を出し抜こうとするのは、気持ちが良くわかるだけに大いに共感できる。
 見た目は華がないものの、さすがに芸達者な3人のこと、あさ・ひる・ばんの掛け合いが実に絶妙で、西田敏行扮する雷蔵が二度も「チームワーク良過ぎだろう」と言ったのももっともだ。そして、そんな3人に対して大御所・マツケンを起用したのがいい。見た目、社会的地位、どれをとっても3人はマツケン演じる野沢には敵う術がない。でも、だからこそ恥をかくことを恐れずに体当たりで幸子や有三子のためにしてあげたいことを堂々とできる。そして、そんな彼らだからこそ幸子も勇気づけられたのだろう。
 帰宅して“ゆみこ”が“有三子”と書くことを初めて知り、それが浅本也の“有”、日留川郎と板東欽の“三”から付けられた名前であることに気づいた。細かいところに粋な細工がされてるんだね。