評     価  

 
       
File No. 1922  
       
製作年 / 公開日   2012年 / 2013年12月06日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ベン・リューイン  
       
上 映 時 間   95分  
       
公開時コピー   僕の水平な人生に、
まっすぐな幸せがやってきた。
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   ジョン・ホークス [as マーク・オブライエン]
ヘレン・ハント [as シェリル]
ウィリアム・H・メイシー [as ブレンダン神父]
ムーン・ブラッドグッド [as ヴェラ]
アニカ・マークス [as アマンダ]
アダム・アーキン [as ジョシュ]
ロビン・ワイガート [as スーザン]
リー・パールマン
ラスティ・シュウィマー [as ジョアン]
トビアス・フォレスト [as グレッグ]
 
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あ ら す じ    カリフォルニア州バークレー。マーク・オブライエンは、6歳で患ったポリオが原因で首から下が全く動かず、さらに重度の呼吸障害によって、カプセル型の呼吸器の中で横になったまま人生の大半を過ごしていた。そんな彼の楽しみは、派遣ヘルパーに付き添われて、ストレッチャーベッドで移動する1日3〜4時間の散歩だ。それでも、自分の境遇を全く悲観せず、誰よりもポジティブな人生を送っていた。
 1988年に大学を卒業したマークは、詩人、ジャーナリストとして自活する。教会通いを習慣にしていた彼は、新任のブレンダン神父と相談の上、横暴なヘルパーのジョアンをクビにして、若くて美しいアマンダを雇う。その優しさに心を奪われたマークは、思い切って結婚を申し込むが、願い叶わずに彼女は去って行ってしまう。そこへちょうど、障害者のセックスについての原稿依頼が舞い込む。新しいヘルパーのヴェラとともに進めた取材で耳にした様々な体験談に衝撃を受けたマークは、勇気を出してセックス・セラピストに連絡するのだった。
 女性と深い関係を持てるように心身を導いてくれるセックス・サロゲート(=代理人)として現れたのは、成熟した女性の美しさに満ちたシェリルだった。セッション初日に彼女は、料金は受け取るが売春婦とは違う事、セッションの回数は6回までということなどを説明。3回目のセッションで遂に初体験を成し遂げる。さらに、マークからお茶に誘われたシェリルは、仕事以外では会わないという主義を曲げて誘いを受ける。2人の間には温かい感情が流れ始めるが、マークから妻へ宛てた手紙を見たシェリルの夫ジョシュが取り乱す。その手紙は、魂に直接触れるような美しい愛の詩だった。
 4回目のセッションで身も心も深く繋がったことを実感した2人だったが、マークが未来で出会うであろう愛のため、シェリルはある提案をするのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    詩人でジャーナリストのマーク・オブライエンの実話を基に、障害者の性をユーモラスな筆致で描いた人間ドラマ。ネット上では、この作品の視聴制限が「R18+」指定であることについて物議を醸しているようだが、ただヘアヌードシーンがあり、セックスシーンも少なくないというだけで、セックスを過剰に卑猥に描くようなこともなく、扇情的な描写もなく、真面目に障害者の性を描いたこの作品を「R18+」指定とするのはいかがなものかと思う。
 作品の製作当時49歳のヘレン・ハントが、惜しげもなく全裸を披露するばかりか、大胆なセックスシーンにまで取り組んでいるのには正直驚いた。年齢の割には綺麗な裸身で、少なくとも『ブラインドネス』で観たくもないのに見せられたジュリアン・ムーアのトドのような体型のヌードよりは遙かに美しい。そして、変にエロティックさを感じさせないのが、逆にこの作品の趣旨に沿っているように思える。
 首から上しか動かせない主人公マークを演じたジョン・ホークスは、おそらく演じる上で苦労も多かったことだろう。ついつい無意識にだったり、あるいは反射的に体が動いてしまうことは、動かせる人間にとっては往々にしてあるわけで、この役柄はいわば本能との戦いと言っていい。また、劇中で顔が痒くなってマークが難儀するシーンがあるが、本当に顔が痒くなることもあったことだろう。
 ブレンダン神父を演じたウィリアム・H・メイシーが良い味を出してる。神への信仰とマークの希望との板挟みになることもあっただろうが、彼がマークにする助言は神に盲従するものではなく、本当に心からマークを思って発せられているのが感じられて、こういう神父ならマークのようにすべてを打ち明けて相談もできるというものだ。