評     価  

 
       
File No. 1923  
       
製作年 / 公開日   2013年 / 2013年12月06日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   カール・リンシュ  
       
上 映 時 間   121分  
       
公開時コピー   参戦せよ。  

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
キ ャ ス ト   キアヌ・リーヴス [as カイ(魁)]
真田 広之 [as 大石内蔵助]
浅野 忠信 [as 吉良上野介]
菊地 凛子 [as ミヅキ]
柴咲 コウ [as ミカ]
赤西 仁 [as 大石主税]
田中 泯 [as 浅野内匠頭]
ケイリー=ヒロユキ・タガワ [as 徳川綱吉]
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
あ ら す じ    徳川綱吉が将軍職にあり、鎖国で海外と断絶していたころの日本。魑魅魍魎の跋扈していた諸国も、武家の支配によって安寧を保っていた。そんな諸国の一つに、名君浅野内匠頭を領主とする播州赤穂があった。秘かに赤穂を併呑する野望を持つ吉良上野介は、妖術を使う側室のミヅキと共に、ゆくゆくは徳川家も滅ぼして天下を取ろうと目論んでいた。
 カイは子供のころ、どこからとも知れず赤穂に流れてきた異端児で、領主浅野に助けられ、浅野の娘ミカと心を通わせながら、郊外の小屋で暮らしてきた。以来、カイは、浅野父娘のためなら、命に替えてもその恩と愛に報いたいと思っていた。綱吉が赤穂を訪れていたある夜、浅野は城内でミヅキの妖術により我を失い、寝所の吉良に切りかかって傷を負わせる。それを目撃した綱吉は浅野に切腹を命じ、浅野家は取り潰される。
 一連の出来事を吉良の謀略と訝っていた家老・大石内蔵助ら家臣たちは浪人へ身を落とす。吉良は赤穂を領地とし、ミカは1年の喪明けに吉良と婚儀を挙げることに。大石は吉良によって地下牢に押し込められ、家臣たちは四散、カイは奴隷としてオランダ人に売られる。1年後、牢から出された大石は、百姓家に身を寄せていた妻りくや息子の主税と再会し、家臣たちと共に仇討ちを決意する。
 大石は出島に乗り込み、死闘の末にカイを救出し、婚儀が迫るミカの救出に協力を乞う。圧倒的な戦力と妖術を持つ吉良に、固い決意と仲間の絆で挑む大石たち四十七士の壮絶な闘いが始まるのだった・・・・・。
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
たぴおか的コメント    ご存じ日本の忠臣蔵をハリウッドが大胆にデフォルメした、アクション・ファンタジー大作。残念ながら3Dは日本語吹替版のみの設定。3Dで観てみたい、でも何が嬉しくて日本語を喋るキアヌを観にゃならんのか、ってなわけでしぶしぶ2D版で観ることに。『パシフィック・リム』といいこの作品といい、「字幕版愛好者には3Dは見せないぞ」とでも言わんばかりの最近の傾向には大いに不満を感じる。
 決して忠臣蔵を忠実に再現したものではなく、あくまで忠臣蔵を骨組みにハリウッドなりの肉付けをした作品だから、ここがおかしい、ここが違っているという批判は無意味だ。例えば、日本人の衣装や武家屋敷がまるで韓国や中国みたいだとか、将軍綱吉があれじゃ武家の統領じゃなく院政時代の上皇みたいだとか、将軍の前で披露された芸がまるで中国雑伎団みたいだとか(笑)。
 そんなわけで、異国情緒たっぷりの日本を舞台にしたハリウッド版忠臣蔵だが、浅野内匠頭が浅野忠信演じる吉良上野介に対して刃傷に及んで死罪となり浅野家は断絶、浪人となった藩士たちが吉良に仇討ちを企てるという具合に、意外に史実に忠実だ。登場人物も将軍・綱吉に浅野家家老・大石内蔵助に息子の主税と妻りく、堀部安兵衛と実在の人物が登場する。キアヌ・リーヴスが演じるのは、混血の異端児カイという、もちろん架空の人物だ。
 誰もが感じることだろうが、主役であるはずのキアヌが、真田広之演じる大石内蔵助に圧倒されっ放しで影が薄い気がする。まぁ、忠臣蔵といえばどうしても内蔵助中心に展開するのは仕方ないし、さすがに忠臣蔵の基本ラインまでをアレンジしてしまうまでには、制作側も踏み込めなかったのだろう。
 事前のインタビューでしきりに「浅野が吉良を演る」ことを強調していた浅野忠信の吉良は、彼の言うとおり本当に嫌な奴で、それに輪をかけるのが菊地凛子演じるミヅキだ。せっかく『パシフィック・リム』で好転した彼女の印象が、また元に戻っちゃいそうだ。内蔵助の息子・主税を演じた赤西仁は、製作会見の場にいなかったところを見ると、後から急遽キャスティングされたのだろうか。彼の演技は初めて観たが、少なくとも亀梨和也よりは好感が持てる。そして、どうでもいいけど将軍綱吉役のケイリー=ヒロユキ・タガワは、どう観ても田山涼成に見えてしまって、おかげで貫禄が全く感じられなかった(笑)。
 ラストでは、内蔵助の武士道精神を買って、その血筋を絶やすまいと主税だけを助けるというのは、いかにもハリウッドらしい脚色だと感じた。ついでに浅野家の家臣じゃないカイも助かるのかと思ったりしたんだけど・・・・・さすがにそこまで都合良くはいかないようだ。