評     価  

 
       
File No. 1925  
       
製作年 / 公開日   2013年 / 2013年12月13日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   アルフォンソ・キュアロン  
       
上 映 時 間   91分  
       
公開時コピー   宇宙の
暗闇を
生き抜け
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   サンドラ・ブロック [as ライアン・ストーン]
ジョージ・クルーニー [as マット・コワルスキー]
 
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あ ら す じ    地表から600kmの上空。すべてが完璧な世界で、誰もが予想しなかった突発事故が発生する。ロシアが不要になった衛星を爆破したことにより、その破片が猛烈なスピードで接近してくるという通信を受けたのだ。スペースシャトルの大破によって、船外でミッション遂行中のメディカル・エンジニアのライアン・ストーン博士と、ベテラン宇宙飛行士マット・コワルスキーの2人は、無重力空間に放り出されてしまう。
 漆黒の宇宙で2人を繋ぐのはたった1本のロープのみ。残された酸素はわずか2時間分。地球との通信手段も断たれた絶望的な状況の下、果たして2人は無事に生還できるのか・・・・・?
 
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たぴおか的コメント    予告編を見せられるたびに、これはどうあってもDOLBY ATMOSTCXで観るしかないと思い、『パシフィック・リム』で3度もお世話になったTOHOシネマズららぽーと船橋で、仕事を終えて帰宅してから余裕をもって臨める21:45という上映回に赴いた。ちなみに、今月の20日にオープンするイオンシネマ幕張新都心では、DOLBY ATMOSに加えて、映画のシーンにシンクロして座席が動くというD-BOXを採用しているとのことで、もう一度観ることになりそうだ。
 このところ『47RONIN』のように、3Dは日本語吹替版のみという設定の作品が多く、2D版で我慢せざるを得なかった作品が多かったが、この作品はありがたいことに3D字幕版がメインだから、そのおかげでおかげで、TCXの大スクリーンとDOLBY ATMOSの臨場感抜群な音響 を満喫することができた。考えてみれば、台詞が異様に少なく、しかもそのほとんどがサンドラ扮するライアンの独り言。吹替版に慣れた観客にとっても、字幕がそれほど苦にはならないだろうから、字幕版メインという設定になったのかもしれない。
 宇宙から見た地球の映像が非常に美しく、舞台は何も存在しない宇宙空間が背景のえうに、宇宙ステーションが白なので、3D映像がさらに際立って見えて非常に効果的だ。特に、ロシアのステーションの破片が猛スピードでアメリカのステーションに降り注ぎ、ステーションが破壊されていく映像は3Dならではだ。また、途中でサンドラ・ブロック演じるライアンが涙を流すシーンがあるが、当然無重力の宇宙空間では涙の粒が落ちずに漂うのだが、その涙の粒にちゃんとライアンの天地逆になった姿が映っていて、その芸の細かさにはまさに3Dならではと感嘆せざるを得なかった。
 登場人物がサンドラ・ブロック扮するライアン・ストーン博士と、ジョージ・クルーニー扮する宇宙飛行士マット・コワルスキーの2人だけとは知っていたが、そのジョージ・クルーニーも途中退場となってしまうのは予想外だった。だから、後半の40分はもっぱらサンドラ・ブロックの一人舞台で、この作品の出来も彼女の演技次第だと言っていい。そんな中、無重力という状況での演技は苦労が多かったことだろうが、観る者を退屈させることなく演じたのはさすがだ。
【2014年1月1日追記】
 先に書いた通り、イオンシネマ幕張新都心のD-BOXを体験してみた。偶然にも映画の日に行ったからよかったようなものの、D-BOXには追加料金1,000円がかかることを初めて知った。まともに観ていたら、基本料金1,800円+3D料金(眼鏡あり300円、眼鏡なし400円)+D-BOX料金1,000円で最大3,200円!これは決して気楽に観られる金額じゃない。
 ULTRAと名付けられたスクリーンは、TCXと同様のコンセプトでほぼ全面の大スクリーンだが、 本当に余白がないTCXと違って、こちらは特に左右の余白が目立つ。しかも、 その余白の壁面色が淡色系のために、上映中にもはっきりと余白が認識できてしまう。対するTOHOシネマズ は、壁面の色がすべて黒で統一されていて、しかも余白なしのために、3Dだとスクリーンが浮き出して見えて、登場人物の方に手が研いどくのではないかと錯覚するほどだった。そして、お目当てのD-BOXが設定された座席は、この『ゼロ・グラビティ』を上映していたイオンシネマ幕張新都心最大の8番スクリーンでは、全部で353席のうちわずか8席だけだった。
 お目当てのD-BOXは、原理はスターツアーズと同じだが、当然のことながらあれほどまでに座席が激しく動くことはない。ただ、スターツアーズの場合は、実際に自分が宇宙船に乗っているという臨場感を出すためなのに対し、このD-BOXの場合は、映画の当事者じゃなく傍観者である自分の椅子がシーンとシンクロして動くというのは不思議な感覚に思える。 最初こそ物珍しさにD-BOX席は埋まるだろうが、そのうち1,000円という高額な追加料金が災いして、稼働率がどんどん低下していくんじゃないだろうか。350席を超える大スクリーンでわずか8席という設定数の低さも、そう考えると納得できる。
 そんなわけで、結論を言ってしまうと、D-BOXのはあって邪魔になるものじゃないし、 それなりに臨場感を増してくれるとは思うが、1,000円の追加料金を払ってまで観たいとは思えない。もし観るとしても、今回のように映画の日限定になるだろう。そして、TOHOシネマズのTCX+DOLBY ATMOS VS イオンシネマのDOLBY ATMOS+D-BOX の対決は、私的には壁の色にという細部にまでこだわったTOHOシネマズに軍配を上げたい。