評     価  

 
       
File No. 1945  
       
製作年 / 公開日   2013年 / 2014年01月18日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   安里 麻里  
       
上 映 時 間   119分  
       
公開時コピー   バイロケは
もう一人の自分。
必ず、本物を、殺す。
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   水川 あさみ [as 桐村忍]
千賀 健永 [as 御手洗巧]
高田 翔 [as 加賀美榮]
滝藤 賢一 [as 加納隆]
浅利 陽介 [as 高村勝]
酒井 若菜 [as 門倉真由美]
豊原 功補 [as 飯塚誠]
 
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あ ら す じ    画家を目指す桐村忍はある日、スーパーでニセ札の使用容疑をかけられてしまう。身に覚えのないことだったが、10分前の防犯カメラ映像には、いるはずのない自分が確かに映し出されていた。現場に到着した刑事の加納隆に対して、ニセ札を使ったのは自分ではないと主張する忍。加納から返ってきた答えは、“あれがあんたじゃないのはわかっている。あれはニセモノだ”という意外なものだった。状況が飲み込めないまま、忍はとある場所へと連れて行かれる。そこでは、ある集まりが開かれていた。
 飯塚誠が主催するその会のメンバーは、大学生の御手洗巧、主婦の門倉真由美)、謎の少年・加賀美榮、そして加納だった。そして彼らから、忍は思いもよらない話を聞かされる。それは、自分と同じ容姿を持ちながら、全く別の人格を持つもう1人の自分、“バイロケーション”が存在するという事実だった。通称“バイロケ”と呼ばれるその人物はオリジナルよりも凶暴な性格を持ち、必ずオリジナルを殺しにくるという。
 飯塚は忍に告げる。「私はあなたを守りたい。ただそれだけだ」。半信半疑の忍は、怪しげな勧誘と思ってその場をすぐに離れるが、部屋を出た途端に見覚えのある人物が目の前に立っていた。目に飛び込んできたのは、忍そっくりの姿。まさに今、忍のバイロケが本人を睨みつけていたのだ・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    この作品のジャンルはホラーに属するのだが、スプラッタ的な怖さの作品ではなく、心理的な恐怖感を煽るサスペンス色の濃い作品。自分と全く同じ姿形の別の自分が存在するという“バイロケーション”という現象をモチーフにしているのだが、信じ難いことにこの“バイロケーション”は、世界中で実際に報告されている実存する怪奇現象のようだ。ホンマかいな?
 120分もの長さだとは観終えてから知ったことで、てっきり100分程度の尺の作品だと思っていたほど、全編を通じて緊張感が保たれているのには好感が持てる。ただ、“バイロケはもう一人の自分。必ず、本物を、殺す。”というコピーをまんまと真に受けると、まんまと騙されてしまうから要注意だ。そう、当たり前のことなのだが、この作品は観ている者に誤った認識をさせるように仕組まれているのだ。そして、ラストでの大どんでん返し。私のような人間はついつい粗探しをしたくなり、もう一度結末を知った上で確かめてみたくなる衝動に駆られるという、“ずるい”作り方をした作品なのだ。“バイロケーション”にちなんで、映画も「表」編と「裏」編という、結末の違う2作品が連続公開されとなると、ますます“ずるい”作品と言いたくなってしまう。
 そしてまんまと乗せられて二度目を観てきたのだが、結末を知った上で観てもなお、非常にわかりにくい作りになっている。キーポイントはタバコで、水川あさみ演じる主人公の忍が、喫煙する忍と禁煙したのになぜかタバコの味が残って口をゆすぐ忍という2人登場がする。そして、忍の夫である浅利陽介演じる勝が視覚障害者であるというのも、実はこの作品では大きな意味を持っていて、視覚に障害を持っていることが実は必須条件であることも、見終えてから気付くはず。
 出演する俳優陣は、本物のキャラクターとそのバイロケに加え、「表」編と「裏」編の、合計4つものキャラクターを演じるのは、さぞかし苦労したことだろうと思う。下手をすれば、4つのキャラクターがごちゃ混ぜになってしまい、何が何だかわからなくなってしまいそうだから・・・・・なんて思うのは、演技に関しては素人私だからなのかな。