評     価  

 
       
File No. 1949  
       
製作年 / 公開日   2013年 / 2014年01月25日  
       
製  作  国   デンマーク / フランス  
       
監      督   ニコラス・ウィンディング・レフン  
       
上 映 時 間   90分  
       
公開時コピー   その復讐は 神への挑戦  

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   ライアン・ゴズリング [as ジュリアン]
クリスティン・スコット・トーマス [as クリスタル]
ヴィタヤ・パンスリンガム [as チャン]
ラータ・ポーガム [as マイ]
ゴードン・ブラウン [as ゴードン]
トム・バーク [as ビリー]
 
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あ ら す じ    アメリカを追われたジュリアンは、今はタイのバンコクでボクシング・クラブを経営しているが、実は裏で麻薬の密売に関わっていた。そんなある日、兄のビリーが、若き売春婦を殺した罪で惨殺される。巨大な犯罪組織を取り仕切る母のクリスタルは、溺愛する息子の死を聞きアメリカから駆け付けると、怒りのあまりジュリアンに復讐を命じるのだった。
 しかし、復讐を果たそうとするジュリアンたちの前に、元警官で今は裏社会を取り仕切っている謎の男チャンが立ちはだかる。こうして、血で血を洗うような壮絶な日々が始まるのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    『ドライヴ』のニコラス・ウィンディング・レフン監督×主演ライアン・ゴズリングが再びタッグを組んだ作品。個人的には『ドライヴ』もあまり好みとは言い難い作品だったのだが、この作品はまったく受け入れ難い。タイを舞台にしたためか、異国情緒が漂う国籍不明の作品といった感があるが、それは問題じゃなくて、私が言いたいのは、この作品がストーリーの肉付けとして“残酷さ”を添えているのではなく、“残酷さ”自体を作品のテーマにしてしまったように思える点で、レフン監督はハッキリ言って、『ドライヴ』の成功で自分がメガホンを執れば必ずも面白い作品になる、だなんて勘違いしているんじゃないかとすら思えるのだ。
 極端に台詞が少なく、主役のライアンですら、ほとんど言葉を発することがない。そして、どこか観念的な映像が多く、しばし理解不能に陥る。そして、目を覆いたくなるようなバイオレンス・シーン。これを観て「面白い」と感じる方がいるならば、私は絶対にその人とはお近づきになりたくない。まさにバイオレンスのためのバイオレンス映画で、そのシーンの詳細を説明する気などまったく起こらない。
 タイトルは“ONLY GOD FORGIVES”、つまり「神のみ許し給う」ということだが、こんなのは神も許さざる残虐行為以外の何物でもない。前作『ドライヴ』では、恩人を殺された復讐と、愛する女性を守るという大義名分があった。しかし、この作品ではライアン・ゴズリング演じるジュリアンには強いモチベーションがなく、敵対するチャンに至っては、何がしたくてあんな残虐な殺しを重ねているのか、まったく理解不能だ。
 ジュリアンの母を演じるクリスティン・スコット・トーマスは、今までは「美しく年齢を重ねてきた」というイメージが強かった。ところがこの作品では、マフィアの女ボスという役柄のせいもあるだろうが、メイクがコテコテにケバくて、最初は誰が演じてるのか気づかなかったくらいだ。おかげで、今まで培ってきた彼女に対する良いイメージがすべて消し飛んでしまいそうだ(笑)。