評     価  

 
       
File No. 1978  
       
製作年 / 公開日   2013年 / 2014年03月08日  
       
製  作  国   スペイン / アメリカ  
       
監      督   エウヘニオ・ミラ  
       
上 映 時 間   91分  
       
公開時コピー   一音でも間違えると殺される・・・。
天才ピアニストの運命は
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   イライジャ・ウッド [as トム・セルズニック]
ジョン・キューザック [as スナイパー]
ケリー・ビシェ [as エマ・セルズニック]
タムシン・エガートン [as アシュリー]
アレン・リーチ [as ウェイン]
ドン・マクマナス [as ノーマン]
アレックス・ウィンター [as スナイパーの手下]
ディー・ウォーレス [as マージョリー・グリーン]
 
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あ ら す じ    若き天才ピアニスト、トム・セルズニックは、極度のステージ恐怖症に陥っていた。音楽界の奇才と呼ばれたパトリック・ゴーダルーが作った演奏不可能の曲「ラ・シンケッテ」は、世界中で彼自身とトム以外は弾けない難曲といわれたが、5年前、トムはその演奏に失敗してしまったのだ。世界的な人気女優である妻エマ・セルズニックに背中を押され、今は亡き恩師パトリックの追悼コンサートに復帰することを決めたものの、すっかり自信を喪失したトムの頭の中はネガティブになっていた。
 大勢のファンが詰めかけたホールは4000人の観客で埋め尽くされ、その中にはセルズニック夫妻の友人のカップル、アシュリーウェインの姿もあった。楽屋で恐怖にも似たプレッシャーと孤独を噛み締めたトムは、意を決して指揮者ノーマンとオーケストラが待つステージへ。用意されていたグランドピアノは、恩師が遺した世界最高級ブランド、ベーゼンドルファーの“インペリアル”だった。
 演奏の滑り出しは順調だったが、奇妙な矢印が描かれた楽譜をめくると「一音でも間違えたらお前を殺す」「助けを呼んだら眉間を撃ち抜く」という赤い文字を発見。ライフルの照準器から発せられる赤いレーザー光線を目の当たりにしたトムは、激しく動揺しながらも演奏を続けるのだった。脅迫文の指示に従い、ピアノパートのブレイク中に楽屋へと駆け込んだトムは、カバンの中に隠されていた無線受信機を耳に装着、すると正体不明のスナイパーの不気味な声が聞こえてきた。
 客席の最上部のどこかに身を潜めているスナイパーは、もしもトムがおかしな行動を取れば、2階のVIP席に座っているエマを射殺すると警告する。だがトムは第2楽章の演奏中、スナイパーの目を盗んでスマートフォンを操作し、客席のウェインに助けを求める。ところが、スナイパーの手下に妨害され、一縷の希望は打ち砕かれてしまう。スナイパーの次なる要求はプログラムを変更し、あの因縁の曲「ラ・シンケッテ」を演奏しろというものだった。
 スナイパーと手下の会話を無線で傍受したトムは、彼らの犯行目的が「ラ・シンケッテ」の最後の4小節と、恩師の遺品であるグランドピアノの黒鍵に関係していることを知るが・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    なんだか、非常にもったいないという思いが後味として残った。前半の展開はスリル満点で、点数も満点をつけてもいいくらいだっただけに、三流のサスペンス・アクション映画のような結末がとても残念だ。
 『恋するリベラーチェ』を観た時に、マイケル・ダグラスのピアノ演奏について「とても吹き替えには見えない。だとしたら、彼のピアノの技術は半端じゃない」なんて思ったが、この作品を観てやっぱり吹き替えなんだと思うことにした(笑)。いくら練習を積んだとしても、イライジャ・ウッドがあれほどまでにピアノを弾けるようになるとは絶対に思えないから。それにしても、改めて見ると、マイケル・J・フォックスもそうだけど、イライジャ・ウッドも背が低いことを痛感。妻のエマを演じたケリー・ビシェと並ぶシーンでは、その慎重さは歴然だ。
 今回もまたまた悪役で登場のジョン・キューザックは、以前はその柔和な表情から器の穏やかな善人の役柄しか観たことがなかったが、今や完全に悪役が板についてしまっている。『ペーパーボーイ 真夏の引力』では、アカデミー主演男優賞のマシュー・マコノヒーを、あっという間に惨殺しちゃったし(笑)。確かに、見るからに悪そうなルックスの俳優よりも、見た目穏やかなルックスのジョンのような俳優の方が、悪役を演じると恐く感じるけど、それ一辺倒ってのもどうなんだろうね。それに、これだけ悪役が続くと、今後善人の役を演じても、何か裏がありそうだと勘ぐってしまいそうだ。
 若き天才ピアニストと美人女優の夫婦、となると、得てして夫婦仲が微妙な状態だったりなどという枝葉がつきものだが、そんな余分な要素はすべてそぎ落とされているために、イライジャ VS ジョン・Q(ちなみに John Cusack だから正しくはジョン・Cです)の対決に集中できるのがいい。無線マイクを使ってのトムとスナイパーのやりとりは、トムがピアノを演奏しながらという状況だけに、いやでも緊迫感が増すというものだ。それにしても、ピアノを弾きながらスマホで電話をかけるのはまだしも、メールまで打って送信するとは驚きだ。