評     価  

 
       
File No. 1985  
       
製作年 / 公開日   2013年 / 2014年03月21日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ライアン・クーグラー  
       
上 映 時 間   85分  
       
公開時コピー   その日は母の誕生日。
娘と遊び、
家族と少しケンカをし、
友人と笑いあった。
僕の人生、最後の日だった。
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   マイケル・B・ジョーダン [as オスカー・グラント]
メロニー・ディアス [as ソフィーナ]
オクタヴィア・スペンサー [as ワンダ]
ケヴィン・デュランド [as カルーソ巡査]
チャド・カイケル・マーレイ [as イングラム巡査]
アナ・オライリー [as ケイティ]
アリアナ・ニール [as タチアナ]
キーナン・クーグラー [as カトー]
トレスティン・ジョージ [as ブランドン]
ジョーイ・オグレスビー [as ケール]
マイケル・ジェームズ [as カルロス]
 
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あ ら す じ    サンフランシスコのベイエリアに住む22歳のオスカー・グラントは、前科はあるものの心優しい青年だった。2008年12月31日。彼は恋人のソフィーナと、2人の間に生まれた愛娘タチアナと共に目覚める。いつもと同じようにタチアナを保育園へ連れて行き、ソフィーナを仕事場へ送り届ける。車での帰り道、今日が誕生日の母親ワンダに電話をかけて“おめでとう”と伝える。母と会話をしながら、新年を迎えるに当たって彼は、良い息子、良い夫、良い父親として、前向きに人生をやり直そうと考えていた。
 その夜。家族や親戚一同が揃って母の誕生日を祝うと、サンフランシスコへ新年の花火を見に行くことにしたオスカーとソフィーナは、タチアナをソフィーナの姉に預けに行く。オスカーとの別れ際、タチアナは不安を口にする。「恐いの。鉄砲の音がする。」そして、仲間とカウントダウンを祝って花火を見た帰り道、オスカーは電車内でケンカを売られる。仲間を巻き込んで乱闘になったところへ鉄道警察が出動してくる。オスカーたちは、フルートベール駅のホームに引きずり出されてしまう。何もしていないと必死に弁明するオスカーだったが、警官たちは聞く耳を持たず、ついに事件が起きる・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    こういう事件が実際に起きるから、銃社会であるアメリカという国は恐ろしい。電車の中での乱闘騒ぎくらいは、日本でもよくある話。死傷者が出た訳じゃないから、せいぜい署に連れ帰って一晩拘置程度で済まされそうなものだと、個人的には思う。ところが、この事件はそうじゃない。警官が事の詳細を確かめもせずに、一方的にオスカーらを電車から引きずり出して手錠をかけている。そしてさらには、オスカーを腹ばいにさせてホームに抑え付けているのだ。それも手ではなく足を使って。これだけでも人権蹂躙も甚だしい。
 ところが、事態はそれだけでは治まらず、後ろ手に手錠をかけられてホームに腹ばいに抑え付けられている、無抵抗のオスカーの背中に向けて、警官が発砲したのだ!
 撃った警官は当然殺人罪で起訴されたのだが、裁判では「テイザー銃と間違えて」という信じられない主張が認められて、わずか懲役2年の刑となったと、エンド・クレジットの字幕で説明があった。そもそも無抵抗の人間に向かって発砲することなど、たとえそれがテイザー銃だとしてもあってはならない。そして、テイザー銃と拳銃を間違えるなど言語道断で、そんな輩が法の番人たるべき警官になれるとは・・・・・もう絶句するほかない。
 この作品を観て、内容は全く異なるが、2007年公開の『明日、君がいない』を思い出した。感情を絡めることなく、淡々と前日の情景が描写される。感情を込めないからこそ、唐突に訪れる「死」というクライマックスの衝撃は嫌でも増すというものだ。
 それにしても、運命は皮肉なもので、同じ電車の同じ車両にオスカーと同じく刑務所に服役し、オスカーを目の敵のようにしていた男が乗り合わせるとは。そして、オスカーがスーパーマーケットで親切にしてあげた女性が、これまた偶然にも同じ車両に乗り合わせ、オスカーの名を叫ぶとは。神の配剤というにはあまりにオスカーにとって残酷な偶然だった。