評     価  

 
       
File No. 1997  
       
製作年 / 公開日   2013年 / 2014年04月19日  
       
製  作  国   オーストラリア / イギリス  
       
監      督   ジョナサン・テプリツキー  
       
上 映 時 間   116分  
       
公開時コピー   人は、憎しみを
断ち切れる。
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   コリン・ファース [as エリック・ローマクス]
ニコール・キッドマン [as パトリシア・ローマクス]
真田 広之 [as 永瀬驕n
ジェレミー・アーヴィン [as 若き日のエリック]
ステラン・スカルスガルド [as フィンレイ]
サム・リード [as 若き日のフィンレイ]
石田 淡朗 [as 若き日の永瀬]
マイケル・マッケンジー [as サットン]
ジェフリー・ドーントン [as バートン]
 
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あ ら す じ    鉄道好きなエリック・ローマクスは、列車の旅で相席となった女性パトリシアを一目見て恋に落ちる。後日、偶然を装ってパトリシアと再会したエリックは、パトリシアへの愛を貫き結婚へとこぎつけるのだった。しかし、参列者のひとりでエリックの退役軍人会のメンバーの一人、フィンレイは、幸せそうなエリックを複雑な表情で見つめていた。
 エリックとパトリシアは深く愛し合っていたが、幸せな日々は長くは続かなかった。エリックは若い頃に第二次世界大戦に従軍していた際の、過酷な戦争体験で負った心の傷に苛まれていたのだ。日増しに気難しくなり、自分の殻に閉じこもるようになるエリック。そんな夫をパトリシアは何とか救いたいという一心で、フィンレイを訪ねて救いを求める。だが、フィンレイもまた戦争のトラウマから立ち直っておらず、同じ苦しみを抱えていた。
 そんな中、エリックやフィンレイの悪夢のような体験に深く関わる、日本人通訳だった永瀬が、今も生きていることを新聞記事で知る。その記事によれば、彼は戦争体験を伝えようと寺院を建て、タイで暮らしているとのことだった。永瀬の生存に動揺を隠せないエリックの脳裏に、まるで昨日のことのようにはっきりと当時の記憶がよみがえる。
 全てを忘れたいと思いながらも、深い心の傷を呼び覚まされ、正気を失いそうになるエリック。だが、エリックの背を押すためにフィンレイが自殺するというショッキングな事件が起こり、エリックは本当の意味で過去と決別してパトリシアと人生を歩んでいくためにも、永瀬と直接向き合うことを決意する。心配しながらも夫の再生を信じる妻に見送られて、単身でタイへと向かうエリック。何十年もの時を経て、かの地で永瀬と対峙する瞬間は刻々と近づいていた・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    英国とオーストラリアの合作ということで、おそらくは両国を代表するような俳優・女優をキャスティングした結果が、コリン・ファースとニコール・キッドマンの共演となったのだろう。タイとビルマを結ぶ泰緬鉄道とは、名前だけは知っていた。けれども、それが実は日本軍の物資輸送のために建設されたもので、その建設のための労働力として捕虜となった英国兵に過酷な労働を課していたこと、その結果多くの死者を出したために、“死の鉄道”と呼ばれていたことについては、全くの無知だった。そもそも、太平洋戦争においては、日独伊の連盟国側は、連合国側に全面的に圧倒されていたと思っていたから、東南アジアで日本が英国を降伏させて優位に立っていたことなど、夢にも思っていなかったから。
 こういう作品を観ると、太平洋戦争中の日本軍が、いかに敵国に対して非人道的な扱いをしたかを痛感させられて、自分が日本人であることが恥ずかしくさえ思える。古くは蒙古襲来に始まり、日露戦争、日清戦争、そして第一次世界大戦と常に戦勝国となった日本は思い上がっていて、太平洋戦争でも勝利を信じて疑わなかったのだろう。そしてその思い上がりから、降伏した英国兵の捕虜に対してあのような酷い仕打ちができたのだろう。身の程を知らないとは、まさにこのことだ。
 もちろん私は戦後生まれだから、戦争の悲惨さを直接身をもって経験したことはないが、それでも戦争が残した酷い傷跡は、世界唯一の被爆国の国民として知っているつもりだった。だが、あくまでもそれは日本が被った被害についてであって、日本が敵国である連合国の人々に行った酷い仕打ちについては、まだまだ知らない事が多々あることを痛感した。人と人が殺し合う以上、戦勝国であれ敗戦国であれ、いずれも無傷でいられるはずはないのだが、それにしても日本軍の残虐さは目に余る。某国の女性大統領が未だにしつこく日本を目の敵にするのも、わからなくはない(とは言っても、しつこさにも限度があって、あれは完全に限度を超えてるけどね)。
 御年46歳になるニコール・キッドマンが相変わらず年齢を全く感じさせない美しさで目を惹く。ラブコメの女王と称されたメグ・ライアンが、今は見る影もないほど老けて別人のようになってしまったのを見ると、ニコール・キッドマンの可愛らしさを兼ね備えた美貌は奇跡だね。