評     価  

 
       
File No. 2017  
       
製作年 / 公開日   2014年 / 2014年05月24日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   劇団ひとり  
       
上 映 時 間   96分  
       
公開時コピー   笑いと、
たぶん一粒の涙の物語。
 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
キ ャ ス ト   大泉 洋 [as 轟晴夫]
柴咲 コウ [as 花村悦子]
劇団ひとり [as 轟正太郎]
笹野 高史 [as 医師]
風間 杜夫
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
あ ら す じ    薄汚れたマジックバーで日々働く39歳の売れないマジシャン轟晴夫は、幼い頃、母に捨てられ、父とは10年以上絶縁状態が続いていた。そんなある日、晴夫のもとに警察から電話が入り、父の死を知らされる。遺骨を抱え、ホームレス生活だった父の住み家のダンボールハウスに来た晴夫は自らの未来を重ね、「なんで俺、生まれてきたんだろう」と絶望に暮れるのだった。そこに青天の霹靂――青空に一閃の雷が光り、晴夫を直撃する。
 気付けば晴夫は、40年前の浅草にタイムスリップしていた。浅草ホールを訪ねた晴夫は、スプーン曲げを披露して一躍人気マジシャンとなっていく。そんな中、同じくマジシャンをやっていた若き日の父・轟正太郎と、彼のアシスタントである母・花村悦子と出会った晴夫は、ひょんなことから正太郎とコンビを組むことになる。やがて、悦子の妊娠が発覚、晴夫の出生の秘密が次第に明らかになっていく・・・・・。
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
たぴおか的コメント    劇団ひとりの初監督作品、というのが意外。前にも彼の監督作があったように記憶していたが、彼の小説が原作になった映画はあったものの、監督はこれが初めてだったようだ。メインキャストが大泉洋に柴咲コウだと、おそらくは仕事がやりやすかったんじゃないだろうか。
 大泉演じる主人公の晴夫は、自分が周囲とは違う特別な存在だと思っていたのだが、それが自分にも当てはまることに気づいて、まずは痛いところを突かれたような感覚に陥る。と同時に、「これは劇団ひとり監督もこの作品もあなどれないぞ」と。
 過去にタイムスリップして、若き日の両親に出会うとは、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』をモチーフにしてるのかな?さすがに『ALWAYS 三丁目の夕日』の時代はまだ生まれていなかったが、この作品の舞台になる時代は覚えている。ユリ・ゲラーや巨人のV9、懐かしいねぇ。それにしても、原作と脚本・監督を務めた劇団ひとりの才人ぶりには素直に頭が下がる思いだ。しかも驕っていない謙虚な姿勢には、好感が持てるね。
 主役の晴夫を演じた大泉洋がいい!今まではどの作品を観ても彼の演じる役柄は“大泉洋”以外の何者でもなかったが、この作品で脱・大泉洋を果たしたと言っても過言じゃない。それにあのマジック、プロデューサーに「CGだろ」と言われて猛烈に反論していたように、なかなか見事な腕前だった。ちなみに、どのシーンかはわからないが、テイク80までかけたシーンもあるようだ。
 柴咲コウもまた、今までの彼女の出演作の中で、最も彼女が魅力的に映る役柄だったような気がする。 彼女が自分の母親であることを知らずに出会った晴夫が、彼女にアプローチしようとした気持ちがよくわかる(笑)。彼女が実は自分の母親だと知った時には、晴夫はさぞかしショックを受けたことだろう。それはともかく、悦子が自分が思ってきた母親像とあまりにもかけ離れていて、「自分を捨てた駄目な母親のせいで、今の駄目な自分がある」と思い続けてきた晴夫は、それが自己防衛のための言い訳でしかなかったことを知るのだ。実はそのことが真の意味で晴夫にとっの“青天の霹靂”だったんじゃないかな。