評     価  

 
       
File No. 2037  
       
製作年 / 公開日   2014年 / 2014年06月21日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   行定 勲  
       
上 映 時 間   113分  
       
公開時コピー   小学三年生を経験した
すべての大人たちへ
  
こっこは、“普通”が大っ嫌い。
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   芦田 愛菜 [as 渦原琴子(こっこ)]
伊藤 秀優 [as ぽっさん]
青山 美郷 [as 理子/眞子/朋美(三役)]
入江 甚儀 [as 森山]
丸山 隆平 [as ジビキ]
八嶋 智人 [as 渦原寛太]
羽野 晶紀 [as 渦原詩織]
いしだ あゆみ [as 渦原紙子]
平 幹二朗 [as 渦原石太]
森山 開次 [as 鼠人間]
浜村 淳 [as 野次馬]
川藤 幸三 [as みどりのおじさん]
タージン [as リポーター]
三浦 誠己 [as 石田先生]
谷村 美月 [as 竹田富美枝]
中村 ゆり [as 朴くんのお母さん]
吉田 晴登 [as ぽっさんのお兄さん]
草野 瑞季 [as 香田めぐみ]
野澤 柊 [as ゴックん]
内田 彩花 [as 幹成海]
古谷 聖太 [as 朴圭史]
 
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あ ら す じ    小学3年生の渦原琴子=通称“こっこ”は、大阪の狭い団地に家族と8人暮らし。父親の寛太、母の詩織、祖父の石太、祖母の紙子、そして三つ子の姉・理子、眞子、朋美と毎日、食事時に大きな円卓をみんなで囲んでいた。好奇心旺盛な彼女は、気になった言葉や初めて知ることなどを、“じゃぽにか(=ジャポニカ自由帳)”に書き留めて大事にしていたが、ある時、そのノートを紛失してしまう。実は姉の朋美が祖母への誕生日プレゼントとして、“じゃぽにか”の表紙にあるグロテスクな蟻を刺繍するために、こっそり拝借していたのだった。
 こっこの一番の仲良しは、隣に暮らす吃音のクラスメイト、ぽっさん。“普通”が嫌いで、他人と違うことが“かっこええ!”と考えるこっこは、ぽっさんだけでなく、様々なクラスメイトを憧れの眼差しで見つめる。ものもらいで眼帯を着用した香田めぐみから親がベトナムの“ボートピープル”だったゴックん、突然の不整脈で倒れた在日韓国人の朴くんまで・・・・・。そんなこっこを、担任教師のジビキは優しく見守っていた。
 ある日こっこは、母が新しい子どもを身籠ったことを知るが、喜びに沸く家族の中、1人だけ全く喜べない。悩むこっこにぽっさんは告げる。“う、嬉しなかったら、よ、喜ばんでも、ええ。”そんな2人に、祖父・石太は英語の“イマジン(=IMAGINE)”という言葉を教える。想像すること、相手がどう思うか、友達がどう思うか。それが“いまじん”。2人はこの言葉を深く胸に刻むのだった。
 そして、待ちに待った夏休み。こっこはぽっさんと一緒に、学校のウサギの散歩をしたり、夏休みの自由研究で蚊に血を吸わせたりと忙しい日々。だが、お墓参りに行くことになったぽっさんと別れたこっこに、この夏最大のピンチが訪れる・・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    「小学三年生を経験したすべての大人たちへ」とのコピーにまんまと乗せられ、芦田愛菜チャンの主演作ということもあり、劇場で観てみた。結論、なんとも掴み所がないある意味難解な映画だった。作品中にもある通り、子供が何を考えているか大人には理解できない、それは確かだと思う。にもかかわらず、そんな子供の世界を大人が描いたせいで、大人が観てもわからないし、では子供が観たら?やっぱり意味不明だったりするんじゃないだろうか。
 主役のこっこを演じた芦田愛菜チャン、さすがに演技達者なのはいいけど、いささか度が過ぎてちょっと不自然に思えるようなシーンもあるように思う。そして、演技慣れしているがゆえに、こっこから小学三年生らしい可愛らしさが感じにくいのもツラいところだ。まぁ、下手よりは上手い方がいいことは確かなんだけどね。それよりも驚いたのは、愛菜チャンの関西弁で、全く違和感がない。演技にしても出来過ぎじゃない?と思って調べてみたら、彼女は実は兵庫県の明石出身らしく、だったら関西弁はむしろ標準語より上手くても納得がいくというものだ。
 そんな愛菜チャンに引けをとらないのが、仲良しのぽっさんを演じた伊藤秀優くん。吃音という難しい役柄を、何ら不自然さを感じさせることなくこなしているのは凄い。それと、一人でこっこの姉の三人を演じた青山美郷。CGを巧く使っていることもあるが、てっきり本物の三つ子だと思ってしまった。
 コピーには「こっこは、“普通”が大っ嫌い」とあるが、作品中ではそうは受け取れない。普通が嫌いなんじゃなくて、他の人と違っているのを“カッコイイ”と思うのだ。ただ、それが自分に弟か妹ができることに対する、どちらかと言えば本能に近い嬉しさまでを消し去ってしまうかどうかは大いに疑問だ。そして、これは自分の経験則から感じるのだが、子供は周囲の友達と違うことを嫌うんじゃないかな?近所で竹馬が流行った時、竹馬を持っていない私は仲間はずれにされ、親にせがんで竹馬を買ってもらったことは、今でもハッキリと覚えている。だから、こっこのように皆と“違う”ことに憧れるのは、どうしても違うと思う。大人であればともかく、子供の頃には下手をすれば村八分に遭いかねない、そんな行動を進んでできるような図太さはないんじゃないかな?