評     価  

 
       
File No. 2097 / 2111  
       
製作年 / 公開日   2013年 / (Vol.1)2014年10月11日
2013年 / (Vol.2)2014年11月01日
 
       
製  作  国   デンマーク / ド イ ツ / フランス /
ベルギー / イギリス
 
       
監      督   ラース・フォン・トリアー  
       
上 映 時 間   (Vol.1)117分  
    (Vol.2)123分  
       
公開時コピー   愛なんて、教わっていない。  

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   シャルロット・ゲンズブール [as ジョー]
ステラン・スカルスガルド [as セリグマン]
ステイシー・マーティン [as 若き日のジョー]
シャイア・ラブーフ [as ジェローム]
ジェイミー・ベル [as K]
クリスチャン・スレイター [as ジョーの父]
ユマ・サーマン [as H夫人]
ウィレム・デフォー [as L]
ソフィ・ケネディ・クラーク [as B]
ミア・ゴス [as P]
コニー・ニールセン [as ジョーの母]
ヒューゴ・スピアー [as H]
ジャン=マルク・バール [as 債務者]
ウド・キア [as ウェイター]
 
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あ ら す じ    寒さが身にしみるある冬の日、孤独な初老の男性セリグマンは、裏通りでジョーという女性が負傷して倒れているのを見つける。ジョーを部屋に連れ帰り手当てを施すセリグマン。回復したジョーに何があったのか尋ねると、彼女は驚くような性体験を重ねた自らの半生を赤裸々に語りはじめる。
 幼い頃から“性”に強い関心を持っていた彼女は、15歳の時に青年ジェロームを相手に初体験を済ませると、あとは欲望のおもむくままに男たちとの行きずりのセックスを重ねていく。ある時は、幼なじみのBとチョコレートを賭け、長距離列車の中でハントした男の数を競うジョー。
 そんな中、最初の相手ジェロームと思いがけない再会を果たすジョーだったが・・・・・。
 
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たぴおか的コメント   【おことわり】当初、この作品はVol1.とVol.2を別々に掲載しようと思っていました。けれども、他の作品の前編・後編のような構成と違い、この2作品は本来1つの作品であるため、私のサイトでも1と2をまとめることにしました。通しナンバーはVol.1で採番しておいた2097とVol.2で採番した2111を両方生かていますが、内容は2097も2111も同にしてあります。
 『ダンサー・イン・ザ・ダーク』『メランコリア』のラース・フォン・トリアー監督の手になる、全8章からなり総上映時間240分という長尺の作品。たまたま物好きな友人が、北米版の無修正DVDを購入していたので借りて観たが、もう唖然・愕然とするほかないね、こりゃ。「今世紀最大の問題作」なんてコピーも付けられているけど、それもあながち誇大広告なんかじゃない。
 ポルノか?否か?なんて議論も当然出てきそうだし、日本国内での上映は、当然ながら修正が加えられるわけだが、あれほどぼかしだらけとなると、この作品の本質を損ねるんじゃないか?なんて映画ファンのクレームも聞こえてきそうだ。ただ、これは国内ではぼかされている箇所をモロに観てしまったから言えるのかもしれないが、この作品に関しては修正が加えられている方がいいような気がする。
 そもそも映画は虚構の世界で、登場する俳優はいかに演技をして自分じゃない別の人間になりきれるか、その点が俳優の評価になるわけだ。リアリティを追求するのが悪いとは言わない。けど、そのあまりにすべて本当にヤっちゃうっていうのは、ちょっと違う気がするんだな。だったら、ギャラの高い俳優じゃなく、ポルノ女優と男優をキャスティングした方がいいんじゃないだろうか。。
 それほどキワドイ作品ではあるが、不思議とそれほど猥褻感を催さないのは、全編を通してシニカルな笑いの要素がこめられているためだろうか。ジョーが2人の黒人とのプレイに臨むシーンなどはあまりに滑稽で、さすがに場内でもこらえきれずに笑い出す観客が少なくなかった。
 『恋愛睡眠のすすめ』でお目にかかって以来、どうも好きになれないシャルロット・ゲンズブールが主演なのだが、この作品を観ても彼女の好感度が上がるようなことはなく、むしろその逆かもしれない。彼女の演じた主人公・ジョーだが、若い頃のジョーを演じたステイシー・マーティンとの落差があまりに大き過ぎる。ラース・フォン・トリアー監督作では、2009年の『アンチクライスト』でも彼女が主演を務めているが、監督に気に入られているのだろうか。
 ジョーとジェロームのキャスティングにも不満が残る。若い頃のジョーがステイシー・マーティン(22歳)で、対するジェロームがシャイア・ラブーフ(27歳)なのはいいが、シャルロット・ゲンズブール(42歳)に対してもシャイア・ラブーフ(27歳)となると、2人の年齢が逆転してしまっている。シャイア・ラブーフのまま引っ張りたい気持ちはわかるが、Vol.2の後半になってやっとゲンズブールよりも年上のジェローム登場とは、時既に遅しだ。