評     価  

 
       
File No. 2137  
       
製作年 / 公開日   2013年 / 2014年12月06日  
       
製  作  国   韓  国  
       
監      督   キム・ギドク  
       
上 映 時 間   83分  
       
公開時コピー   人間の業が、廻(めぐ)る。  

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
キ ャ ス ト   チョ・ジェヒョン [as 父]
ソ・ヨンジュ [as 息子]
イ・ウヌ [as 母/女]
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
あ ら す じ    息子の3人が暮らす上流家庭。家族としての関係は冷え切っていた。ある日、近くの商店で働くと夫の不貞に気づき、嫉妬に狂った妻は、夫の性器を切り取ろうとする。しかしあえなく失敗し、その矛先は息子に向けられる。
 妻はそのまま家を出ていき、夫と息子は取り残される。性器を切り取られてしまった息子は絶頂に達することを知らずに生きていくのか。なくしたことで虐められ、生きて行く自信をもなくした息子。罪悪感に苛まれる父はそれでも絶頂に達することができる“ある方法”を発見する。それを息子に教えることで、再び関係を築いていく。だが、そこに家を出ていた妻が戻り、家族はさらなる破滅への道をたどり始める・・・・・。
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
たぴおか的コメント    日本語吹替版でもないのに、字幕が一切ない韓流映画を初めて観た。なぜ字幕がないのか?理由は簡単、作品中にセリフが一切ないためだ。鬼才キム・ギドク監督作とあって、少なからず期待を抱いていたのだが、なんとも残念な作品だった。
 確かに、セリフは一切なくても、俳優たちの喜怒哀楽の演技だけでちゃんと通じることは通じる。でも、セリフがある方が、当然より細かな情報伝達が可能なわけで、トーキー映画の時代のように映像に音を充てる技術が無かった頃ならいざ知らず、現在でそうする意味があるのかどうかははなはだ疑問だ。今後への試金石になるのかどうか知らないが、キム・ギドクも焼きが回ったんじゃないかと勘ぐりたくもなる。
 妻役と夫の浮気相手の女性役が同じ女優の一人二役だったというのは驚きだ。もちろんメイクのせいもあるだろうが、妻は40代、浮気相手の女性はせいぜい30歳前後にしか見えないのだ。そして、実質的には彼女イ・ウヌがこの作品の主役に思える。ファックシーンあり、レイプシーンありと、文字通り体当たりの演技を見せてくれている。そして、彼女のこの作品での演技を観ると、キム・ギドク作品を敬遠する韓流女優が少なくないというのもわかる気がする。
 夫の浮気への腹いせに局部を切り取ってしまおうとはまるで阿部定のような妻だが、目的を達成できなかったからといって、その怒りの矛先を息子に向けるというのは理解不能だ。何の落ち度もない息子にとって、その仕打ちはとんだとばっちりもいいとこだ。息子もそこで自殺を考えてもよさそうなものだが、彼が死んでしまっては作品がそこで終わってしまう(笑)。というわけで、健気に生きていくのだが、そこから繰り広げられる彼の日常は、思わず目を覆いたくなるようなシーンが満載だ。レイプ半として逮捕された息子が釈放された理由に至っては、本来なら嬉しいはずの釈放が彼にとっては生き恥を晒す以外の何物でもない。何とも皮肉な話だ。