ニコラス・ケイジが脳障害に冒された、退役間近のCIAエージェントを演じている、大作の合間の小休止のような作品。白髪(銀髪?)のニコラス・ケイジが、実年齢よりも10歳以上老けて見える。原題“DYING OF THE LIGHT”は「死に行く光」とでも訳すればいいのだろうか。そしてその「光」とはおそらくニコラス・ケイジ演じる主人公エヴァン・レイクの存在なんだろうけど、私が観た感じ彼は“Light”というよりはむしろ“Dark”なキャラクターだ。
邦題の『ラスト・リベンジ』=「最後の復讐」というのが、珍しく原題よりも内容を言い当てている。「テロは絶対に許さない」という気持ちもないわけじゃなかっただろうが、本心は22年前に自分を拷問にかけたバニールに対する強い私怨が彼を支え続けてきたのだろう。だから、22年振りにバニールに対面した際には、バニールもまた死に行く病だと知って何もせずに立ち去ったものの、相棒がバニールの部下に撃たれると、ついつい見境を失って暴走してしまったのだ。あ、それともあれも病気のせいなのかな?
それにしても、ただでさえ復讐という決して爽快ではないテーマなのに、それをさらに重苦しくしているのが出演者の年齢層の高さだ(笑)。唯一救いになっているのが、エヴァンの部下ミルトンを演じたアントン・イェルチンの存在だけというのは少し寂しい。これで若い美形の女優が登場していれば、少しは雰囲気も軽くなっただろうけど、物語の設定上それは無理な相談だろう。