評     価  

 
       
File No. 2223  
       
製作年 / 公開日   2015年 / 2015年05月23日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   堤 幸彦  
       
上 映 時 間   110分  
       
公開時コピー   最後の5分
全てが覆る。
あなたは必ず
2回観る。
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   松田 翔太 [as 鈴木]
前田 敦子 [as 成岡繭子]
木村 文乃 [as 石丸美弥子]
三浦 貴大 [as 海藤]
前野 朋哉 [as 梵ちゃん]
森岡 龍
矢野 聖人
藤原 季節
吉谷 彩子 [as 優子]
松浦 雅 [as ナツコ]
八重樫 琴美 [as 和美]
大西 礼芳 [as ジュンコ]
佐藤 玲 [as まどか]
山西 惇 [as 桑島課長]
木梨 憲武 [as 静岡支店部長]
手塚 理美 [as 石丸詩穗]
片岡 鶴太郎 [as 石丸広輝]
 
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あ ら す じ   【Side-A】
 1980年代後半、バブル最盛期の静岡。就職活動中の大学生・鈴木は、友人に誘われて気乗りのしない合コンに初めて参加する。そしてそこで、歯科助手をしているという成岡繭子と運命的な出会いを果たす。奥手で恋愛経験がなかった鈴木は、マユと出会って変わっていく。流行のヘアスタイル、お洒落な服装と、マユに釣り合う男性になろうと自分を磨く鈴木だったが・・・・・。
【Side-B】
 そんな2人だけの甘い時間も束の間、東京の大手の内定を蹴って地元静岡で就職した鈴木は、東京の本社への出向が決まり、静岡にマユを置いて上京することになる。それでも鈴木は毎日のようにマユと電話で話し、週末には車で東京と静岡を往復する日々を送る。けれども、東京本社の同僚・石丸美弥子との出会いによって、次第に心が揺れ始める・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    1980年代のバブル絶頂期を舞台にした作品で、当時の風俗がうかがわれて、その点がまずは気に入った。BGMがその頃流行った曲ばかりで、森川由加里の「SHOW ME」、1986 OMEGATRIBEの「君は1000%」、CCBの「Lucky Chanceをもう一度」、松崎しげるの「愛のメモリー」、太田裕美の「木綿のハンカチーフ」、研ナオコの「夏をあきらめて」、中村雅俊の「心の色」、そして寺尾聰の「ルビーの指環」など、ほぼ歌詞を見なくてもフルコーラス歌えるような楽曲が多く、私の世代の人間にとっては当時を懐かしく思い出させる曲ばかりだ。
 また、当時爆発的に売れて社会現象にもなったNIKEのエア・ジョーダン、今のようにシルバーの地に萌葱色じゃなく全体が萌葱色に塗装された山手線の車両、当時ヤンキー車の代表格のような、スープラにモデルチェンジする直前のセリカXX(ダブルX)、高級パーソナリティ・カーの象徴的存在だったGZ20型の2代目ソアラが見られたり、カーオーディオがカセットテープだったりと、細部にまでこだわって作られているのには好感が持てる。
 肝心の内容に関しては、何を書いてもネタバレになってしまいそうなのが困る(笑)。ただひとつヒントを言うならば、オフィシャルサイトのキャストに書かれた松田翔太の役名に注目(もちろん、このサイトでも同じ書き方をしているけど)。前田敦ちゃんは成岡繭子、木村文乃が石丸美弥子とフルネームなのに、彼だけがなぜ「鈴木」だけしか書かれていないのか。これ以上はもう無理、後は劇場で観てご確認を。
 映画の冒頭でも、「お願い」として「本作には大きな“秘密”が隠されているから、明かさないように」なんて断り書きがされるように、この作品には大きな陥穽が仕掛けられている。ただ、そんなトリックをを抜きにして観ても、純粋に鈴木と繭子、そして美弥子の3人の恋愛ドラマとして充分に鑑賞に堪える内容だ。今まで敦ちゃんが出演する作品は何本か観てきたが、この作品ほど彼女が可愛くて愛らしく見えた作品はない。そして、対する木村文乃は、『ビリギャル』での有村架純が「欠点が見つからない可愛さ」とするなら、「欠点が見当たらない美人」だ。その2人が、松田翔太演じる鈴木が静岡に残した彼女と、東京で出会う大人の洗練された女性を演じるというキャスティングが絶妙。私としては、その2人の競演が観られただけでも、結構満足できる内容だった。
 自立した女性の美弥子に、手を差し伸べて守ってあげたくなる繭子。見た目とは裏腹に、得てして繭子のような純粋で一途に見える女性にかぎって、実は裏で二股をかけていて・・・・・なんてことはままあるもので(あ、これって若干ネタバレ?)、むしろ恋愛慣れしているように見える美弥子の方が、恋愛に対して真面目だったりするかもしれない。鈴木が繭子を大切にしなければと思いながらも、どうしようもなく美弥子に惹かれていく気持ちがよくわかる(残念ながら、その種の実経験はないけど)。
 作品は“198X年X月”といった具合に時系列で描かれているのだが、まんまと作品のコピーに乗せられた私は、その時系列の整合性を確かめてみたくなり、もう一度劇場で観ることになりそうだ。