評     価  

 
       
File No. 2262  
       
製作年 / 公開日   2014年 / 2015年08月22日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ダン・ギルロイ  
       
上 映 時 間   118分  
       
公開時コピー   他人(ヒト)の<破滅>の瞬間に、
カメラを持って現れる
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   ジェイク・ギレンホール [as ルイス・ブルーム]
レネ・ルッソ [as ニーナ・ロミナ]
リズ・アーメッド [as リック]
ビル・パクストン [as ジョー・ロダー]
アン・キューザック [as リンダ]
ケヴィン・ラーム [as フランク・クルーズ]
エリック・ラング
ジョニー・コイン
マイケル・ハイアット
マイケル・パパジョン
 
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あ ら す じ    ロサンゼルスに暮らす孤独な中年男ルイス・ブルーム。野心はあるものの定職にも就かず、コソ泥をしてはその日暮らしのしがない日々を送っていた。そんなある日、偶然遭遇した事故現場で、ビデオカメラ片手に夢中で撮影する男たちを目撃する。彼らはニュース映像専門のパパラッチ、通称“ナイトクローラー”。事件、事故の現場にいち早く駆けつけ、誰よりもショッキングな映像をカメラに収め、それをテレビ局に高く売りつけるのを生業とする連中だった。
 そんなことが商売になると知り、さっそくビデオカメラと無線傍受器を手に入れると、見よう見まねで事件や事故が起こるや素早く現場に駆け付け、現場の様子や被害者をカメラに収めていった。彼が撮った映像が高く売れる一方、テレビ局側の要求もエスカレートしていく。ルーはより過激なものを求め、一線を超えていく・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    ジェイク・ギレンホールを主役に据えた、パパラッチをモチーフに描いた作品なのだが、正直これがパパラッチの現実だとすれば、報道の自由なんて言葉の枠を遙かに逸脱していて、モラルや良識をわきまえているぞ、などと声高に叫ぶ向きにとっては、不快この上ない作品だろう。
 人が観て最も不愉快に感じる映像・画像は、ポルノ等の猥褻映像・画像じゃなく、死体の映像・画像らしい。だから、昔は日本でも犯人射殺のシーンがニュースで流されたりしていたが、現在は規制されていてニュースはもちろん、新聞や雑誌にも掲載できない。ところが、さすがは自由の国・アメリカ、瀕死の重傷を負った人や、射殺された人の映像がニュースでOAされるのには驚き半分、呆れ半分といったところだ。
 そんな映像を収集するジェイク演じるルイス・ブルームという男、彼の狂気に憑かれたような異様な上昇志向、腹黒さが凄まじい。おそらくは犯人に撃たれる可能性を充分に知りながら、いや、むしろ撃たれることを半ば期待しながら、自分の部下に危険な撮影を強いる。そして、彼が撃たれた一部始終をもカメラに収めるとは、トンデモない卑劣漢なのだ。
 そんな彼が撮影した映像を買い取ってスクープとして報道するマスコミもまた恐ろしい。彼らには一律倫理的な観念が欠落しているとしか思えない。ただ、彼らがなぜそんな映像をニュースで流そうとするのか、それは視聴者が求めるからで、だからルイスたちパパラッチの仕事は儲かるし、決してなくなることはないのだ。まさに、報道が辿り着く末期的世界を映像にして提供してくれるのがこの作品なのだ。