評     価  

 
       
File No. 2297  
       
製作年 / 公開日   2015年 / 2015年10月23日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   M・ナイト・シャマラン  
       
上 映 時 間   94分  
       
公開時コピー  
あなたは絶対に、“その約束”を破ることになる
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   オクタヴィア・デヨング [as ベッカ]
エド・オクセンボウルド [as タイラー]
ディアナ・ダナガン [as 祖母]
ピーター・マクロビー [as 祖父]
キャスリン・ハーン [as ママ]
 
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あ ら す じ    ママと3人で暮らすベッカタイラーの姉弟は、休暇を利用して祖父母が暮らすペンシルバニア州メイソンビルで都会の喧騒から離れて、田舎での楽しい1週間を過ごす予定だった。
 優しい祖父と料理上手な祖母に温かく迎え入れられ、母親の実家へと到着した2人。だが祖父母に出会えた喜びも束の間、就寝時、完璧な時間を過ごすためにと奇妙な“3つの約束”が伝えられる。
 第一の約束:楽しい時間を過ごすこと。第二の約束:好きなものは遠慮なく食べること。第三の約束:夜9時半以降は部屋から絶対に出ないこと。しかし、夜9時半を過ぎた頃に、2人は異様な気配で目が覚める。そして、部屋の外から聞こえるただ事ではないその物音に恐怖を覚えた彼らは、絶対に開けてはいけないと言われた部屋のドアを開けてしまう・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    「M・ナイト・シャマラン監督が8年ぶりにスリラーへと原点回帰」か何か知らないけど、このところのシャマラン監督作品は確かに、まるで暗中模索するかのように試行錯誤を繰り返しているように、素人の私から見ても感じられる。だからこの作品も、私にとっては中途半端はあり得なくて、大当たりか大ハズレのどちらかしかないだろうと覚悟を決めて劇場へ。結果、見事予想通りの惨憺たる内容だった。まったくこの監督、たまにはこちらの期待を裏切って、予想外の傑作を生み出したりすることはないのだろうか?・・・・・ないだろうな。
 ベッカとタイラーの姉・弟が、初めて訪れる祖父母との生活を映画に収める、というコンセプトから、フェイク・ドキュメンタリーになっているのだが、おかげで前半は他愛ない1日の繰り返しを見せられて退屈で仕方ない。そもそもなぜフェイク・ドキュメンタリー方式を採ったのか、その必要性は大いに疑問だ。そして、登場する俳優たちは全員が無名ときた。こうなるともはや、単なる話題性作りにしか思えない。そして、さらに言わせてもらうならば、『シックス・センス』という名作を生み出したのは単なるマグレだったのだろうとさえ思う。こんな作品を作くらいなら、放置状態になっている『エアベンダー』の続編を制作したらどうなんだ?とも思うけど、今さら続編が作られたところで、劇場はおろかDVDですら観る気は失せているけど。
 どこかのサイトで、「ホラー映画は大抵観てきたが、この作品ほど怖いと思った作品はない」なんてコメントが載せられていたが、おそらくはライターが渋々太鼓持ちのようなコメントを書かされたのだろう。こんな陳腐な作品で怖いと思えるなんて、よほど映画を観ない人間でしかなく、ましてやこれが面白いなんて思える人間がこの世にいるなんて思えない。確かに、気色悪いとは思う。祖母が夜中に全裸で徘徊したり(あの全裸シーンだけは観たくなかった)、祖父が糞尿にまみれたオムツをなぜか納屋に後生大事に保管したり。そして、この作品で最も恐ろしいと感じたシーンは、その糞尿にまみれた祖父のオムツで、タイラーが顔面をこすられるシーンだった。あれだけは、全身に鳥肌が立つほど嘘偽りなく怖い(笑)。ただ、それら全ての謎に満ちた祖父母の行動を、すべて精神異常で片付けてしまう安直さにはほとほとあきれ果てる。人の言動には、その裏付けとしてある意図が潜んでいてこそ恐ろしいのであって、精神異常者の行き当たりばったりの行動は、確かに先は読めないが、何ら怖さは感じない。
 というわけで、M・ナイト・シャマラン監督作を観るのは、ほぼ間違いなくこれが最後になりそうだ。なんとも後味の悪い最後ではあったが、それもシャマラン監督ならではかもしれない。