評     価  

 
       
File No. 2384  
       
製作年 / 公開日   2015年 / 2016年04月22日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   アレハンドロ・G・イニャリトゥ  
       
上 映 時 間   156分  
       
公開時コピー   復讐の先に、何があるのか。  

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   レオナルド・ディカプリオ [as ヒュー・グラス]
トム・ハーディ [as ジョン・フィッツジェラルド]
ドーナル・グリーソン [as ヘンリー隊長]
ウィル・ポールター [as ジム・ブリジャー]
フォレスト・グッドラッグ [as ホーク]
ドウェイン・ハワード
アーサー・レッドクラウド
グレイス・ドーヴ
ポール・アンダーソン
ルーカス・ハース
ブレンダン・フレッチャー
クリストッフェル・ヨーネル
ジョシュア・バーグ
ロバート・モロニー
 
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あ ら す じ    1823年、アメリカ北西部。ヘンリー隊長をリーダーとし、ガイド役を務めるベテラン・ハンターのヒュー・グラスとその息子ホーク、グラスを慕う若者ジム・ブリジャー、そしてグラスに敵意を抱く荒くれハンターのジョン・フィッツジェラルドらが一団をなして狩猟の旅を続けていた。
 ある日、一行は先住民の襲撃を受け、多くの犠牲者を出してしまう。混乱の中、グラスたち生き残った者たちは船を捨て陸路で逃走するが、グラスがハイイログマに襲われ、瀕死の重傷を負ってしまう。ヘンリー隊長は旅の負担になるとグラスを諦め、ブリジャーとフィッツジェラルドに彼の最期を看取り丁重に埋葬するよう命じるのだった。
 ところが、フィッツジェラルドはグラスを生き埋めにして出発すると言いだし、これを阻止しようとしたホークがグラスの目の前で刺し殺されてしまう。激しい怒りと絶望を力に変えたグラスは、奇跡的に死の淵から蘇る。裏切り者フィッツジェラルドの追跡を開始したグラスは、敵対する部族の襲撃を交わしながら、ひたすら極寒の荒野を進んでいく・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    レオナルド・ディカプリオがついに念願のオスカー主演男優賞を受賞したのに加え、監督賞、撮影賞の3冠に輝いた作品。主演女優賞のブリー・ラーソンは正直「?」マークが付いたが、男優賞はレオ様の圧倒的な勝利と言っていいんじゃないかな。壮大な自然の描写と、その中で繰り広げられるサバイバルからは、ディカプリオ演じる主人公グラスの生への凄まじい執念が伝わってきて、観る者を圧倒する。特に、グラスがグリズリーに襲われるシーンに至っては、その惨たらしさに目を覆いたくなったほど。加えて、人工的な照明を一切使用せずに自然光にこだわった映像の臨場感が半端じゃない。とはいうものの、素直にこれを「面白い」と言えるかどうかは、評価が分かれるんじゃないだろうか。
 個人的には、「面白い」よりもまずは「苦しい」「痛い」といった言葉が真っ先に思い浮かぶ。極寒の地でのロケはただでさえ過酷なのに、川に流されるシーンもあり、いくら衣装の下にウエットスーツを着ていたとしても、観ているだけで背筋が凍りそうだ。事実、ロケが辛すぎて辞めるスタッフが続出したとかしないとか・・・・・。
 レオの演技も、今まで観た彼のどの作品よりも凄まじく鬼気迫る熱演だった。そして、忘れちゃいけないのは敵対するフィッツジェラルドを演じたトム・ハーディで、彼の演技はレオも絶賛しているようだ。そのトム・ハーディに関しては、イニャリトゥ監督の要求があまりに度を超していたために、激怒したトムが監督の首を絞めたなんていうエピソードがあったとかなかったとか。今でこそ笑い話で片付けられるものの、撮影時には冗談では済まされない状況まで俳優陣は追い込まれていたのだろう。
 ここまで好意的なコメントばかりをを書いてきたが、全面的に肯定できる作品ではない。作品全体を一言でまとめるならば、残念ながら「重厚な映像を携えた浅薄な作品」と言わざるを得ない。あれだけの長尺を費やしながら、「人間」の描写に欠けているのだ。そして、あれほどの生への執念をもって繰り広げたサバイバルの行き着く先が、あのグダグダな復讐バトルだとは・・・・・ラストで思い切り奈落に突き落とされたような気がしたのは、私だけじゃないはず。