評     価  

 
       
File No. 2393  
       
製作年 / 公開日   2016年 / 2016年05月07日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   瀬々 敬久  
       
上 映 時 間   121分  
       
公開時コピー   犯人は、まだ
昭和にいる。
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   佐藤 浩市 [as 三上義信]
綾野 剛 [as 諏訪]
榮倉 奈々 [as 美雲]
夏川 結衣 [as 三上美那子]
緒形 直人 [as 目崎正人]
窪田 正孝 [as 日吉浩一郎]
坂口 健太郎 [as 手嶋]
筒井 道隆 [as 柿沼]
鶴田 真由 [as 村串みずき]
赤井 英和 [as 望月]
菅田 俊 [as 漆原]
烏丸 せつこ [as 日吉雅恵]
小澤 征悦 [as 御倉]
金井 勇太 [as 蔵前]
芳根 京子 [as 三上あゆみ]
菅原 大吉 [as 石井]
柄本 佑 [as 落合]
椎名 桔平 [aあs 辻内欣司]
滝藤 賢一 [as 赤間]
奥田 瑛二 [as 荒木田]
仲村 トオル [as 二渡真治]
吉岡 秀隆 [as 幸田一樹]
瑛太 [as 秋川]
永瀬 正敏 [as 雨宮芳男]
三浦 友和 [as 松岡勝俊]
 
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あ ら す じ    わずか7日間でその幕を閉じた昭和64年。その間に管内で発生した少女誘拐殺人事件。今も未解決のその事件を県警内部では“ロクヨン”と呼んでいた。刑事部で長く活躍しロクヨンの捜査にも関わったベテラン刑事の三上義信。私生活では高校生の娘が家出失踪中という大きな問題に直面していた彼だったが、この春から警務部の広報室に異動となり、戸惑いつつも広報室の改革に意欲を見せていた。
 折しも県警ではロクヨンの時効まで1年と迫る中、警察庁長官の視察が計画される。そこで、長官と被害者の父親・雨宮芳男との面会を調整するよう命じられた三上だったが、なかなか雨宮の了承を得られず困惑する。そんな中、ある交通事故での匿名発表が記者クラブの猛烈な反発を招き、長官の視察が実現できるかも不透明な状況に陥ってしまう。
 自らもなかなか捜査情報を得られず、県警と記者クラブの板挟みで窮地立たされた上、刑事部と警務部、あるいは本庁と県警それぞれの思惑が複雑に絡み合った対立の渦にも巻き込まれていく三上は、それでも懸命に事態の収拾に奔走するのだったが・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    『半落ち』『クライマーズ・ハイ』の横山秀夫の手になる原作を、豪華キャストを起用して前後編の2部作で映画化した作品の前編。テーマが昭和だけに、昼間の回はさぞかしすいているだろうと思ったらとんでもない。一体何を期待してか知らないが、50代オーバーの世代が大挙して訪れており、ほぼ8割以上の席が埋まっていたという盛況ぶりには面食らった。とにかくやたらと登場人物が多すぎるのと、刑事部や警務部、あるいは刑事部長と本部長の違いなど、警察の組織がよくわかっていないために、人物相関が把握できずに混乱させられた。もしもこれからこの作品を劇場で観るならば、オフィシャルサイトの人物相関図を徹底的に頭にたたき込んで臨むべきだ。
 期待していたロクヨン解決のプロセスだが、実はこの作品ではほとんど触れられていない。やっとロクヨンを模倣したような事件が起きたと思ったら、そこから先は後編へ。どうやら、この前編はほんの導入部、起承転結で言えば「起」の部分に過ぎないようだ。だったら、一体何を描くのに2時間が費やされたかと言えば、警察内部の組織間あるいはキャリアとノンキャリア間の軋轢、そして未だにロクヨンという昭和の時代に囚われて抜け出せずにいる人たちの人間模様がメインになっている。そして、この手の警察内部を描いた作品を見せられるたびに、ますます警察が信用できなくなるのは私だけだろうか。
 予告編を観て印象に残っているシーンが2つあるのだが、ひとつは佐藤浩市演じる主人公・三上の「子供を失うってことがどういうことなのか、刑事はそんなこともわからないのか!?」と叫ぶシーン、もうひとつは三浦友和演じる松岡の「犯人を昭和へ引きずり戻す」というもの。実は、これ2つとも前編じゃなく後編のセリフだったのだ。てことは、やはり見せ場は後編で、前編は前座に過ぎないってことだろう。事実、盛り上がることなく淡々とストーリーは進んでいき、やっとロクヨンを模倣(?)した事件が発生して「いよいよ山場だ」なんて思ったところで、その先は後編に引き継がれてしまう。上映が終了して、帰り際に「これからっていう時に終わっちゃった」なんてぼやいてる客がいたけど、その気持ちよ〜くわかる気がする。とりあえずは、6月に公開される後編に期待しましょう、ってところかな。