評     価  

 
       
File No. 2413  
       
製作年 / 公開日   2015年 / 2016年06月04日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   三木 康一郎  
       
上 映 時 間   112分  
       
公開時コピー   名前しか知らない、
あなたを
好きになっても
いいですか?
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   岩田 剛典 [as 日下部樹]
高畑 充希 [as 河野さやか]
阿部 丈二 [as 竹沢陽平]
今井 華 [as 野上ユリエ]
谷澤 恵里香 [as 玉井千秋]
相島 一之 [as 警察官]
酒井 敏也 [as 来店客]
木下 隆行 [as 内覧客]
ダンカン [as 山崎誠]
大和田 伸也 [as 登来柳明]
宮崎 美子 [as 河野典子]
 
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あ ら す じ    東京で不動産会社に勤務するOLの河野さやかは、2月のある寒い夜、コンビニからの帰り道にアパートの前で動けなくなっている見ず知らずの青年に出会う。「よかったら、自分を拾ってくれないか」と頼む青年を家にあげたさやかは、彼にカップラーメンを食べさせてシャワーを貸すのだった。
 翌朝さやかが目を覚ますと、キッチンにはあり合わせの材料で彼が造った朝食が並べられていた。自炊や手作りの料理とは無縁の生活を送っていたさやかは、手作りの朝食の美味しさ、温かさに思わず涙を流し、「行くところがないならうちにいなよ」と行ってしまう。こうして、見知らぬ青年との同居生活が始まった。
 彼は自分の名前をとだけ名乗り、苗字は教えてくれなかったが、さやかが“ただの雑草”としか思っていなかった野草の名前を優しく教えてくれた。そして、半年の間居させてもらってもいいかという樹の頼みを、戸惑いながらもさやかは受け入れるのだった。
 休日には、さやかは樹と一緒に河原や土手に行き、樹は“野草狩り”をした草花で美味しい料理を次々と作ってくれる。そんな樹との共同生活は、いつも驚きと新鮮さに満ちあふれていて、さやかは樹にどんどん惹かれていき、樹を好きだと思う気持ちが積もっていくのだった。それでも、この日常が壊れないように、“ただの同居人”としての距離を保っていたさやかだったが、その気持ちはある日溢れ出してしまい、ついに樹に告白してしまう。しかしそんな気持ちは樹も同じだった。
 お互いへの愛情を確認し合った2人だったが、その幸せは長くは続かなかった。期限だった半年後に、樹が忽然と姿を消してしまったのだ。元の生活に戻っただけ、そう自分に無理矢理言い聞かせるさやかだったが、樹がいない喪失感は大きかった。時が経ち、ようやく樹がいない生活を受け入れ始めたさやかは、ある日宅配便で差出人欄に“日下部樹”と書かれた荷物を受け取るのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    この作品を最初に知った時の感想は、「また三代目かぁ・・・・・」(後で知ったが、彼は三代目だけじゃなくEXILEのメンバーでもあるようだけど)。このところの映画といえば、男性はジャニーズでなければEXILE絡み、女性はAKB絡みというのがあまりに多くて、正直食傷気味だったから。だから、この作品も主演女優が高畑充希じゃなくて、例えばAKBのメンバーだったりしたら、間違いなく劇場へは行かなかっただろう。
 原作は有川浩の著書なのだが、『阪急電車』や『レインツリー』にこの作品と、まさに「有川原作にハズレ無し」と言っても過言じゃない。なんて思っていた私だが、有川浩が『ありかわひろし』じゃなく『ありかわひろ』であって、しかも完璧に男性だと思い込んでいたのだが実は女性だったという事実を、今回Wikiで検索して初めて知った(恥)。原作を読んでいれば、その文体から男性なのか女性なのか見当がついたかもしれないが、映画で知るだけだったから(言い訳)。
 今まで何作品も高畑充希の出演作を観てきて、演技は抜群に上手いことはわかっていた。そんな彼女だからこそ、樹との共同生活で気持ちが満たされていくさやかや、樹を失って心にぽっかりと穴があいたような喪失感にさいなまれるさやかの気持ちが、ストレートに伝わってきて、観ている私まで心が痛くなってくる。その結果、この作品にも星を9個もつけたわけで、下手な女優が演じていたら作品を台無しにしかねない。それにしても、これまでは美人というよりはファニーフェイス系だと思っていた彼女だが、これほどの美形だったとは・・・・・どうやらこの週末は、サラ・ガドンといい高畑充希といい、映画の中では美人に縁があるようだ(現実では全くの無縁の週末だったんだけどね(;_;))。
 冗談はさておいて、この作品の原作となる小説は、有川作品の中でもとびきりの“ベタ甘”らしいのだが、人間にはバイオリズムって奴があって、今の私には中途半端な甘さではダメ、これくらい“ベタ甘”なのが非常に心地いい。まさに恋愛ストーリーの王道を行くような作品で、こういう作品はハッピーエンドじゃなきゃいけない、という私の願望に見事応えてくれるのも嬉しい。
 EXILEだからというだけで食わず嫌いだった、ちょっと韓流の俳優のイメージがちらつく岩田剛典も、演技は悪くない。同居させてあげるだけで、家事全般をやってくれるうえに、底抜けに優しいなんて・・・・・あんな男性と同居人していたら、好きにならない女性はいないだろうな。