評     価  

 
       
File No. 2519  
       
製作年 / 公開日   2016年 / 2016年11月25日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   下山 天  
       
上 映 時 間   107分  
       
公開時コピー   欲しかったのは、愛。  

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
キ ャ ス ト   広瀬 アリス [as エル]
古川 雄輝 [as オヴェス]
高橋 メアリージュン [as アンナ]
平岡 祐太 [as 劇団青年]
前川 泰之 [as オーナー]
成田 凌 [as パン店の主人]
弥尋 [as 元銀行員]
古畑 星夏 [as リノ]
Mikako [as マリー]
堰沢 結衣
田口 翔大
森本 のぶ
松下 結衣子
古山 憲太郎
樋渡 真司
稲葉 凌一
三島 ゆたか
田中 要次 [as 叔父]
高橋 ひとみ [as 叔母]
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
あ ら す じ    “色のない街”でうまれ、両親に愛情を注がれて幸せに育った少女・エル。ところが、両親の突然の事故死により、叔父叔母あ 夫婦に引き取られた彼女の人生は一変してしまう。
 悲しみに打ちひしがれる幼いエルを得意の絵で元気づけたのは、幼馴染みの絵描きの少年オヴェスだった。エルとオヴェスは互いを励まし合いながら生きてきたが、成人したエルは“ある選択”を迫られ、突然故郷から去ったために2人は離ればなれになってしまう。
 誰かを信じては裏切られ、また誰かを信じては傷つけられ、襲いかかる運命に翻弄されながら波乱の人生を懸命に生きたエル。そして遠井故郷からエルを想い続けたオヴェス。2人の人生は、再び交わることはあるのだろうか・・・・?
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
たぴおか的コメント     レイトショー料金の適用がなく、夜20時以降でも1,800円を払わなければならない特別上映だという、謎の(?)作品。だただた広瀬アリス見たさだけに渋々通常料金を払う羽目になったのだが、1,800円払っても決して「損をした」とは思わせない作品だったと思う。
 原作は、愛に生きたひとりの女性エルの波瀾万丈の人生を歌ったロックアーティスト、Acid Black Cherryの同名コンセプト・アルバムという変わり種で、VFXを多用したファンタジックな世界観がなんとも幻想的だ。ちなみに、作品はロケではなくオールセットで撮影されたとのこと。舞台が日本じゃなく、異国情緒まんさいなのも、作品の雰囲気に一役買っている。
 “薄幸の美少女”のエルを演じた広瀬アリスがこの作品のほぼすべてと言ってよく、彼女次第では作品をぶち壊す可能性もあったわけだ。それだけほぼ全編出突っ張りで、彼女のファンにはたまらない作品だろう・・・・・なんて他人事のように言っている私自身が、彼女の魅力を満喫できて痺れるような満足感に浸ることができた。
 ただ、その満足感というのがいささか自虐的にも思えるわけで、一体どこまでエルの人生を堕とせば気が済むのか?とさえ言いたくなるほど、少しの幸せの後には必ずそれを遥かに上回る不幸が彼女の身に訪れるのだ。不幸と言えば、エルに降りかかる不幸ばかりがクローズアップされそうだが、一方のオヴェスはと言えば、長い年月エルだけを想い続け、孤独に耐えて壮大な“画”を描き続ける、そんな彼自身はおそらく不幸な人生ではなかったのだろうが、観ている側としてはそのあまりの報われない人生に胸を締め付けられる。ラストシーンではそんなエルとオヴェスが共に報われ、ある意味ハッピーエンドだったとしても。