評     価  

 
       
File No. 2602  
       
製作年 / 公開日   2017年 / 2017年05月12日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   M・ナイト・シャマラン  
       
上 映 時 間   117分  
       
公開時コピー   誘拐された女子高生3人VS誘拐した男23人格
恐怖は<分裂(スプリット)>する
 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
キ ャ ス ト   ジェームズ・マカヴォイ [as ケビン]
アニヤ・テイラー=ジョイ [as ケイシー]
ベティ・バックリー [as Dr.カレン・フレッチャー]
ジェシカ・スーラ [as マルシア]
ヘイリー・ルー・リチャードソン [as クレア]
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
あ ら す じ    女子高生ケイシーは、級友クレアのバースデー・パーティーに招かれ、その帰り、クレアの親友マルシアと共に家まで車で送ってもらう。だが突如見知らぬ男が車に乗り込み、3人は眠らされ、拉致されてしまう。
 目覚めるとそこは殺風景な密室。やがてドアを開けて入ってきた男は神経質な雰囲気を漂わせていた。このままでは命が危ない。どうすれば脱出できるのかと3人が頭をひねっていた矢先、扉の向こうからさっきの男と女性の声が聞こえる。「助けて!」と叫ぶ少女たち。しかし姿を現したのは、女性の洋服を着て、女性のような口調で話す先ほどの男だった。
 「大丈夫、彼はあなたたちに手を出したりしないわ」絶句する少女たちに、今度は屈託なく「僕、9歳だよ」と男は話かける。実は彼ケビンは23もの人格を持っており、DID<解離性同一性障害>で精神医学を専門とする女医Dr.カレン・フレッチャーのセラピーを受けていたのだった。
 密室で3人の女子高生 VS 23人の人格の熾烈な攻防が繰り広げられる中、男に更に新たな“24人目”の人格が生まれようとしていた・・・・・。
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
たぴおか的コメント    「今度こそ面白いのでは?」なんて期待を抱かせ続け、そしてその期待を裏切り続けてきたM・ナイト・シャマラン作品だが、今回もその例に漏れなかったようだ。やはり、『シックス・センス』のイメージは完全に捨てきらないと、この監督の作品は楽しめないようだ。もっとも、前作『ヴィジット』(ありゃ、酷いにもほどがあった)ほど酷い作品じゃなかったが、それも作品の内容よりもジェームズ・マカヴォイの怪演に依るところが大きい。そもそも今思えば、主演が彼じゃなければ劇場で観ることはなかったような気がする。
 23人格はいいけれど、実際に発現する人格はその中の4〜5名程度じゃ期待外れは否めない。二重人格だって充分に衝撃的なんだから、23なんていうトンデモない人格数を設定したことが完全に裏目に出て、かえって興ざめだ。また、準主人公的な役割のケイシーだが、時折挿入される彼女の過去の記憶もマカヴォイ演じる多重人格男との対決に絡んでこないんじゃ意味ないだろう。
 これだけ観る前に期待させておいて、見事なまでにその期待を裏切ってくれるシャマラン映画。改めてその原因を考えてみるに、ことごとく登場人物の奇妙な行動に理由あるいは目的が見当たらないことに気がついた。今回のケビンは、何の目的があって少女3人を誘拐したのか。前作『ヴィジット』では、老夫婦は子供たちに対してどういう目的であんな行動をとったのか。その点が明快になって初めて、彼らの言動に恐ろしさを感じるというものだ。
 ラストにワンカットだけブルース・ウィリスが登場して思わせぶりなセリフをつぶやくが、それがエンド・クレジット終了後の「急告」で明らかになる。まるでMARVEL作品のようなやり方で次回作への興味を惹こうとする努力も、空しく感じるだけだった。