評     価  

 
       
File No. 2741  
       
製作年 / 公開日   2017年 / 2018年02月17日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   白石 和彌  
       
上 映 時 間   110分  
       
公開時コピー   拝啓、愛しのサニー様。あなたを拉致します。  

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   北原 里英 [as 藤井赤理]
ピエール瀧 [as 柏原勲]
リリー・フランキー [as 小田武]
門脇 麦 [as ネット上に現れた二人目のサニー]
駿河 太郎 [as 田辺康博]
音尾 琢真 [as 春樹先輩]
山崎 銀之丞
カトウ シンスケ
奥村 佳恵
大津 尋葵
加部 亜門
松永 拓野
蔵下 穂波
蒼波 純
 
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あ ら す じ    冬の新潟のとある町。仕事も私生活も振るわない中学校教師・藤井赤理は、24歳の誕生日を迎えたその日、何者かに拉致される。犯人は柏原勲小田武という2人組の男で、赤理を雪深い廃屋へと連れ去り監禁する。小田は嬉々としてビデオカメラを回し、柏原は「ずっと会いたかったよ、サニー・・・・・。」と、赤理のことをそう呼んだ。
 “サニー”とは、14年前に世間を騒がせた「小学生による同級生殺害事件」の犯人の通称で、当時11歳だった小学生女児が、同級生をカッターナイフで切りつけて殺害したというものだった。事件発覚後、マスコミが使用した被害者のクラス写真から、加害者の顔が割り出されてしまい、そのいたいけで目を惹くルックスから「犯罪史上、最も可愛い殺人犯」とたちまちネットなどで神格化され、狂信的な信者をも生み出したのだった。
 出回った写真では、右手が三本指、左手が二本指でピースサインを作という独特の決めポーズが話題を集める。信者たちの間では「32(サンビー)ポーズ」と名付けられ、加害女児自身も“サニー”と呼ばれるようになったのだ。奇しくもこの“サニー”が起こした事件から14年目の夜に、赤理は2人の男によって拉致監禁されたのだ。
 “サニー”の熱狂的な信者の柏原と小田は、赤理を自分たち好みのドレスに着替えさせ、赤理の写真や動画をネット上の「サニーたんを愛する専門板www」にアップする。赤理は正気を失っていきながらも、陸の孤島と化した豪雪地帯の監禁小屋から脱出を試みるのだが・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    この映画、キャストがあの『凶悪』のピエール瀧&リリー・フランキーというだけで、観る前から怪しげな臭いがプンプンと漂ってくる。さらに、共演に門脇麦とあっては、ますます怪しすぎる(笑)。ただ、大まかな展開としては、ピエール瀧分する柏原とリリー・フランキーが演じる小田という2人の変質者(失礼!)が北原里英が演じる主人公の藤井赤理がいかにして2人の手を逃れるかという、よくある脱出劇だと思っていたため、軽い気持ちで劇場に臨んだのだが。
 前半は確かにその通りの展開を見せる。柏原と小田がもっと変態行為にエスカレートしていくのでは?、と半分ハラハラ半分期待しながら観ていたのだが、どうやら2人はサニーの崇拝者で、彼らにとってサニーはコピーにもある通り“愛しのサニー様”で、あがめ奉る存在らしく、そこまで過激な行為には至らない(半分ホッとしたが、半分残念^-^;)。まぁ、AKB→NGT出身のアイドルとしては、体当たり演技と評価できるんじゃないかな。ところが、後半にガラッと展開が変わり、そこからは不覚にもグイグイとサニー・ワールドに引き込まれてしまった。
 後半の北原里英の、神懸かり的な豹変ぶりが凄まじく、まるでSMの女王様のように虐げられてきた柏原と小田を制圧するのは、観てる者に一種の爽快感をもたらす。そして、上映時間の半分を過ぎた辺りでも、もうひとりの重要人物・門脇麦が未だに登場しないから、先の展開が全く予測不能なのだ。まぁ、ラストは少々はしょり過ぎた感もあって、赤理がドローンに掴まって空から脱出する下りに至っては、もう完全にコメディとしか言いようがない。
 ちょっとネタバレになるが、ピエール瀧が意外な場面で早々と退場してしまったのは少し残念ではあったかな。ちなみに、登場人物がお役御免になるたびに、「○○○○(名前) 享年○○歳」と字幕が入るのは面白いね。