評     価  

 
       
File No. 2826  
       
製作年 / 公開日   2016年 / 2018年07月13日  
       
製  作  国   スペイン / アメリカ  
       
監      督   ミゲル・アンヘル・ビバス  
       
上 映 時 間   89分  
       
公開時コピー         

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   レイチェル・ニコルズ [as サラ・クラーク]
ローラ・ハリング [as 女]
アンドレア・ティヴェイダー [as アリス・ドノヴァン]
ステイニー・コペット [as ヒューゴ・ガルシア]
デヴィッド・シェヴァース [as ブライアン]
マーテン・スワーン [as マシュー・フィールズ]
 
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あ ら す じ    間も無く子どもが生まれる幸せな夫婦。しかし、妻・サラ・クラークが運転中、不運な事故に巻き込まれる。車同士の正面衝突でサラは重傷を負い、夫は帰らぬ人となった。お腹の子どもは奇跡的に無事だったが、サラには補聴器がなくては音が聞こえない障害が残ってしまった。
 失意の中、子どもの誕生だけを人生の支えに日々を過ごしているサラ。クリスマス・イヴの日、検診に行くと主治医から「予定日から少し遅れているが心配ない」と伝えられ安堵する。そして、その夜。眠りにつこうとすると扉をノックする音が聞こえる。ドアスコープをのぞくと顔は見えないが、人影がある。その人物は、車が壊れたため電話をしたいと訴えてくるのだ。声からして女性だが、サラはどこか不審な空気を感じ取り、「主人は寝ているからドアは開けられない」と伝えると「なぜ嘘をつくの?死んだのよ。」と言い、ドアを開けようとしてくる。サラが強い言葉ではねのけると、女は姿を消した。心配になったため警察を呼び、事情聴取を受ける。
 外は激しい雷雨が降り注ぐ。不安を残しつつもサラは再び眠りについていた。雷とともに浮かび上がる人影。部屋には正体不明の女が侵入していたのだ。女はサラに薬を嗅がせ、より深い眠りにつかせる。そして注射を打つと手を洗い、何かを始めようとしている。女が洗面所から戻ってきたところで、サラは目を覚ます。女を必死に振り払い、命からがらバスルームに逃げ込む。しかし、この状況で急な陣痛が始まる。女が彼女に投与したのは陣痛促進剤オキシトシンだったのだ。
 身重のため脱出は不可能だった。正体不明、目的不明の狂気に満ちた女。外は雷雨。助けはこない。サラの長い一夜はまだ始まったばかりだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    2008年に公開されたフランス映画『屋敷女』の英語版リメイク作。『屋敷女』に対して今回の邦題『インサイド』があまりに陳腐に思えたのだが、実は『屋敷女』の原題“A l'interieur”が「内部の」という意味だったと、自分が書いたこのサイトの『屋敷女』のコメントを読み返して思い出した(恥)。
 10年も昔に遡るが今でも記憶に残っているのは、キャパ20名程度という極小劇場のライズXで観たこと、とにかくスプラッタ映画だとしか言いようがなかったこと、そしてラストが悲劇的な終わり方だったこと(悲劇的というだけで、具体的にどういう終わり方をしたかは覚えていないが)。ただ、作品自体が醸し出すおどろおどろした陰惨さというか陰湿さではオリジナルの方が上で、本作はいい意味でも悪い意味でもオブラートにくるまれたような印象を受ける。
 改めて観て観ると、オブラートに包まれた分冷静に観察してしまって、突っ込み所満載だということがわかった。身重で陣痛がきているのも忘れさせるような主人公の活発な動作、耳が不自由であることのハンデを全く感じさせないこと、警官2人(特に一人目の男性)が素人のオバサンにああも簡単に殺されてしまうことなど、ね。そして、常套手段とも言える、いきなり音響でビックリさせられるのには、もう慣れてしまった感がある。
 ただ、ラストの結末ではオリジナル版との違いが、はわずかながらも救いになっている。“女”は自分の命を捨ててまでも赤ん坊を救おうとするなんて・・・・・そこまでに大量の殺人を犯してきたことに見合うのか、甚だ疑問ではあるけど。