評     価  

 
       
File No. 2839  
       
製作年 / 公開日   2018年 / 2018年08月10日  
       
製  作  国   イギリス  
       
監      督   ドミニク・クック  
       
上 映 時 間   110分  
       
公開時コピー   一生忘れられない恋だった  

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   シアーシャ・ローナン [as フローレンス・ポンティング]
ビリー・ハウル [as エドワード・メイヒュー]
アンヌ=マリー・ダフ [as マージョリー・メイヒュー]
エイドリアン・スカーボロー [as ライオネル・、メイヒュー]
エミリー・ワトソン [as ヴァイオレット・ポンティング]
サミュエル・ウェスト [as ジェフリー・ポンティング]
 
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あ ら す じ    1962年、夏。カルテットの一員となり、大きな舞台でコンサートを開くことを夢見ていた、美しく野心的なバイオリニストのフローレンス・ポンティング。歴史学者になることを目指しながら自由に暮らしていたエドワード・メイヒュー。まるで接点のなかった2人はある日偶然出会い、一目で恋に落ちる。
 とはいえ、実業家として成功した厳格な父親と過保護な母親を持つ裕福な家庭で育ったフローレンスと、学校の教師を務める父親と脳に損傷を負った母親を抱えるエドワードは対照的な家庭環境だった。すべてが異なる2人にとっては、さまざまな困難が立ちはだかると思われていたが、フローレンスとエドワードはそれらを乗り越えるほどの深い愛情で結ばれていった。
 そしてついに、フローレンスとエドワードは人生をともに歩んでいくことを決意する。結婚式を無事に終え、2人が新婚旅行として向かったのは、美しい自然に囲まれたドーセット州のチェジル・ビーチだった。幸せに満ち溢れた時間を過ごすはずだった。ところが、味気ないホテルに到着すると、2人は堅苦しい空気に包まれてしまう。ホテルの部屋で食事を楽しもうとするものの、初夜を迎える緊張と興奮から、会話は思うように進まず、雰囲気も気まずくなるばかりだった。
 そして、いよいよそのときが訪れるが、喜びを抑えきれずに焦るエドワードと不安な様子のフローレンスは、どこかちぐはぐで、うまく噛み合わないまま。ついに結ばれるかと思われたが、なぜかフローレンスはエドワードを拒絶してしまう。フローレンスはホテルを飛び出し、チェジル・ビーチへと逃げていくのだった。エドワードは後を追いかけるものの、2人は激しい口論となり、お互い思ってもいない言葉を口にしてしまう。
 愛しているからこそ生じてしまった“ ボタンの掛け違い”。フローレンスとエドワードにとって、生涯忘れることのできない初夜は、今後の2人の人生を大きく左右する分かれ道となってしまったのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    実はシアーシャ・ローナンって女優、演技は下手じゃないとは思うがどうも好きになれない。初めて彼女を観た『ラブリー・ボーン』の時はまだしも、それ以降彼女の出演作で面白いと思えたのは『ザ・ホスト 美しき侵略者』のみ。だから、「今回こそはもしかしたら面白いのか?」なんて淡い期待をして裏切られることの繰り返しだ。がおまけに、ルックスも年齢を重ねるごとに(これはあくまで私個人の好みの問題なのだが)美人からも可愛らしさからもどんどんかけ離れてきている気がする。なぜ彼女を主演に起用する作品がこれほど作られるのか、理由が全く理解できない。んなわけで、この作品も全く期待することなく劇場へ臨んだのだが・・・・・予想をさらに下回るつまらなさには絶句すると同時に、劇場で観たことを後悔する羽目になった。
 コピーには“一生忘れられない恋”なんてあるけど、これが説得力ゼロ。あんな陳腐な理由で別れる男女なんているのか?と原作者の精神構造を疑いたくなる。性的な経験不足の男女が結婚したら・・・・・ああなるのか?新婚初夜でのエドワードの失態は、彼にとってどれほどショックだったかは、同じ男性として理解できなくもない。しかし、その失態を理由に彼を拒絶してホテルから飛び出すフローの気持ちは、男性の私には全く理解不能だし、あんな真似をされた男性は取り付く島もない。これがフローの犯した過ちで、いくらショックを受けていたたまれなかったとしても、彼女にあんな言葉を返したのがエドワードの犯した過ちだ。これはもう、性的経験が乏しいなんて以前の問題で、2人に足りなかったのは性的な経験なんかじゃなく、フローとエドワードの愛情の絆は極めて浅かったのだとしか思えない。そう、2人は性的な未成熟さに加えて精神的にもガキで、“一生忘れられない恋”も実はコドモの恋愛ごっこに等しいものだったってことだ。
 そんなこんなで、観終えた後味もヒジョーに悪い作品だった。また、現在の時の流れを主流にもってきて、随所に過去を織り交ぜるという構成も、2人の愛情が浅薄だったと思わせてしまう一因になっていて、いかがなものかと思う。