評     価  

 
       
File No. 2850  
       
製作年 / 公開日   2018年 / 2018年09月07日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   佐藤 祐市  
       
上 映 時 間   112分  
       
公開時コピー   私は
あなたに
なりたいの
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   土屋 太鳳 [as 丹沢ニナ]
芳根 京子 [as 淵累]
横山 裕 [as 烏合零太]
筒井 真理子 [as 淵峰世]
生田 智子 [as 丹沢紡美]
村井 國夫 [as 富士原佳雄]
檀 れい [as 淵透世]
浅野 忠信 [as 羽生田釿互]
 
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あ ら す じ    幼い頃に顔に大きな傷を負い、そのために自分の醜い容姿に劣等感を抱いてきた淵累。彼女は今は亡き伝説の女優・淵透世を母に持ち、母親譲りの天才的な演技力を持ちながらも、常に顔の傷からくる劣等感に苛まれて、周囲からも孤立して生きてきた。そんな累に母が遺した1本の口紅、それはキスした相手の顔を奪い取ることができる不思議な力を持っていた。
 ある日累の前に、母を知る元舞台演出家の羽生田釿互が現れる。そして、累は羽生田の紹介で、圧倒的な“美”を持つ女・丹沢ニナと出会う。ニナはその美しい容姿に恵まれながらも、ある理由から舞台女優として花開かずにいたのだった。
 母親譲りの天才的な演技力を持つ累と、恵まれた美しさを持つニナ。運命に導かれるように出会い、美貌と才能というお互いの欲望が一致した2人は、口紅の力を使って顔を入れ替える決断をする。重ねの演技力とニナの美しさを兼ね備えた完璧な女優の丹沢ニナは一躍脚光を浴び始め、2人の欲求は満たされていくかのように見えた。しかし、累とニナの2人がともに恋に落ちた新進気鋭の演出家・烏合零太が手がける大作舞台への出演が決まり、それぞれの欲望と嫉妬心が抑えられなくなっていくのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    土屋太鳳と芳根京子のW主演作・・・・・のはずなのだが、実質は土屋太鳳の圧倒的な独壇場と言っていい。ニナの顔を持つ累が女優としてのし上がっていく有様を柱にした作品になっていて、その間累の顔を持つニナは眠っているのだから、当然と言えば当然か。
 2人のキャリアからすれば当然土屋太鳳の方が上だし、ルックスもどちらがより“美人”としてカメラ映えするかと言われれば、やはり顔の作りがおとなし目な芳根京子よりも派手な作りの土屋太鳳に軍配が上がるかも知れない。でも、それはある意味当たり前すぎて面白味に欠けるのでは?敢えて2人に逆のキャラを演じさせた方が面白い作品になったのでは?なんて素人考えが湧いてきた。土屋太鳳が累を演じれば、もっと腹の底に積み重ねられたドス黒いまでの劣等感がひしひしと伝わってくる演技をみせてくれたんじゃないかな。その点、芳根京子はただオドオドと怯えているだけで、他人の脚をすくってでものし上がろうという積年の恨みのような劣等感の反動からくる強い意志が希薄だった気がする。
 とにかく、この作品で見せた土屋太鳳の鬼気迫るような演技力には、さすがにせず時に鳥肌が立つほどの興奮を覚えた。特に劇中劇の『サロメ』を観たら、本当に彼女が主演する『サロメ』の舞台を観てみたい衝動に駆られる。一方の芳根京子はと言えば、ニナの顔になった時にもただ虚勢を張っているいつもの累のキャラを拭い切れていない気がして、「あれ?これって顔を変えたニナ?それとも累?」と戸惑うことが何度かあった。