評     価  

 
       
File No. 2854  
       
製作年 / 公開日   2018年 / 2018年09月14日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   月川 翔  
       
上 映 時 間   105分  
       
公開時コピー   私は曲げない。
    
少女の名前は響。「天才」とは彼女のための言葉。
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   平手 友梨奈 [as 鮎喰響]
北川 景子 [as 花井ふみ]
アヤカ・ウィルソン [as 祖父江凛夏]
高嶋 政伸 [as 神田正則]
柳楽 優弥 [as 田中康平]
北村 有起哉 [as 鬼島仁]
野間口 徹 [as 矢野浩明]
小松 和重 [as 藤野弘]
黒田 大輔 [as 大坪正人]
板垣 瑞生 [as 椿涼太郎]
吉田 栄作 [as 祖父江秋人]
小栗 旬 [as 山本春平]
 
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あ ら す じ    スマートフォンやSNSの普及により、活字離れは急速に進み、出版不況にあえぐ出版業界。その中にあって、小論社は自社の月刊誌・木蓮に掲載する新人賞の応募を募っていた。ある日、Webからという投稿条件にもかかわらず、原稿が郵送されてくる。中に目も通されることないままにゴミにされそうだったその作品『お伽の庭』が目に留まり、何気なく読んでみた編集者の花井ふみは、その作者・“鮎喰響”が間違いなく天才だと確信する。
 15歳の高校1年生の響は、幼馴染みの椿涼太郎と共に高校の文芸部に入部し、部長の祖父江凛夏と知り合う。凛夏は人気作家・祖父江秋人の娘であり、彼女自身も木蓮の新人賞に自作の小説を応募していたのだった。
 人気作家の実娘のデビュー作が受賞候補とあって話題を呼んだ木蓮・新人賞は、凛夏の作品をものともせず、響の処女作『お伽の庭』が選ばれる。ところが受賞発表の席で、響は自分と同時に新人賞を受賞した作家・田中康平に侮辱されたことに腹を立て、衆人環視の中彼をパイプ椅子で殴打して怪我を負わせてしまう。以後、響の『お伽の庭』はますます注目を浴びる一方で、響の常識外れの言動によるスキャンダルはマスコミの格好の餌となっていく。
 やがて『お伽の庭』は、その年の芥川賞と直木賞の同時ノミネートという快挙を成し遂げるが・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    「主演の平手友梨奈って可愛くない」、これがこの作品の予告編を観た時の第一印象で、そのために作品自体を劇場で観ようという意欲も今ひとつだったのだが、こういう作品に限って予想外に面白かったりする。原作を読んだことはないが、おそらくは大勢が言っているように、平手友梨奈の響はハマリ役なのだろう。確かに、この役はいくら演技達者だとしても普通の美少女、例えば広瀬すずが演じても上手くはいかなかっただろう。例えば、川栄李奈辺りに演じさせていれば、ちょっと意地悪そうな平手とは違う響が出来上がっていて、それはそれで面白いかもしれなかったけど。
 響が天才でその言動が理論上はことごとく正論であることは確かだが、だからと言って先輩作家の鬼島や同じ若手作家の田中、記者の矢野に対する過度の暴力(鬼島には顔面に蹴り、田中には折りたたみの椅子で殴打、矢野には跳び蹴り)が許されるはずはなく、その点ではある程度リアリティを度外視したお伽噺感は拭えない。さらには、「殺す」と冗談で脅す文芸部の先輩の指を折り、その償いだとして校舎の屋上から飛び降りるたり・・・・・痛みを知り恐怖感を持ち合わせた人間であれば、それらのもたらす結果を考えれば、そんな暴挙を眉一つ動かさずに実行できるのは人間じゃない、と言っても過言じゃない。
 この作品で気に入ったのは主人公の響の存在以外にも他の要因があって、その一つは響を演じる平手以外にはAKBグループのメンバーやジャニーズ、EXILEグループのメンバーがひとりもいないこと。『パコと魔法の絵本』以来久しぶりのアヤカ・ウィルソンと柳楽優弥の2人が良かったし、主役クラスの北川景子と小栗旬(この2人、『キミスイ』でも共演してたな)で脇を固めたのも正解だろう。野間口徹や北村有起哉といった脇役も個性的なキャラを作り上げていて正解。ちょっと不満が残るとすれば、個人的にあまり好きじゃない吉田栄作が、凛夏の父で流行作家の祖父江秋人という重要なキャラクターを担っていることくらいかな。