評     価  

 
       
File No. 2868  
       
製作年 / 公開日   2018年 / 2018年10月05日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   長谷川 康夫  
       
上 映 時 間   114分  
       
公開時コピー   たかが10年の片想い  

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   山田 裕貴 [as 水島浩介]
齋藤 飛鳥 [as 早瀬真愛]
松本 穂香 [as 小松原詩子]
佐久本 宝 [as 大野陽平]
國島 直希 [as 町田健人]
中田 圭祐 [as 秋山寿音]
遊佐 亮介 [as 杉村一樹]
 
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あ ら す じ    地方都市の高校に通う水島浩介は、クラスの仲間たちとバカなことばかりしながら、お気楽な高校生活を楽しんでいた。ある日、浩介の度を越した悪ふざけによって授業が中断してしまう。激怒した教師が浩介のお目付け役として任命したのが優等生の早瀬真愛だった。
 クラス一の優等生で真面目で堅い真愛を疎ましく思う浩介だったが、彼と4人の仲間たちにとって中学時代からの憧れの存在だった真愛に浩介の胸はざわつきはじめていた・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    村上虹郎主演『二度めの夏、二度と会えない君』の石田六郎役がなぜか強く印象に残っていて(特に印象的だったのが“目”)、以来注目してきた山田裕貴の主演作。ここ最近の学園ものといえば、やたらレディコミを原作にした現実にはあり得ない設定の作品がほとんどで、いい加減食傷気味だったから、この作品のように「自分も昔あんなことがあったなぁ」と思い起こさせるような、堅実というか地に足がついたというか、そんな作品は大歓迎だった。
 とにかく観ていて随所に懐かしさを感じて、ついつい自分の高校時代に照らし合わせてしまう、そんな感覚は、例えばつい前日に観たばかりの『あのコの、トリコ。』や、その前で言えば『3D彼女』では絶対に味わうことのできないものだ。だから、山田裕貴演じる水島浩介も、どこにでもいそうな、ちょっとヤンチャなありふれた高校生だ。そして、共演の齋藤飛鳥がまたいい。決してモデル系の飛び抜けた美人(もしもそんなタイプの女優を起用したら、作品全体がぶち壊しになりかねない)ではなく、これまた「そう言えば、むかしクラスにあんな子がいたなぁ」と懐古に浸れるような身近な可愛らしさが、この作品にはぴったりだ(後から乃木坂の一員だと知って、「あぁ、またかよぉ・・・・。」と少しばかりテンションが下がったけど)。
 だから、観る人によっては平々凡々で退屈な作品だと思うかもしれない。けれども、平凡な日常の繰り返しの中に起きる小さな出来事の積み重ねによって、主人公の言葉を借りるならば、彼らの想いの“ベクトル”の向きや大きさが決められていく。そして、その想いはこれまた些細なきっかけで膨れあがったり、逆に壊れたりもする。そんな微妙に揺れ動くハイティーンたちの心の情景が、今ただ眩しく感じるばかりだ。
 そんな、「戻れるものならもう一度あの頃に戻りたい」と思わせる、思い返せば懐かしくも恥ずかしい、10代の一時期を切り取って見せてくれたこの作品に感謝!余談になるけど、この作品にはスマホはもちろんのこと、携帯電話すら登場しない。これもまた、自分の高校時代に容易に照らし合わせることができる一因になっているかもしれないね。