評     価  

 
       
File No. 2896  
       
製作年 / 公開日   2018年 / 2018年11月16日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   堤 幸彦  
       
上 映 時 間   120分  
       
公開時コピー   娘を殺したのは、
私でしょうか。
    
この愛の結末に涙が止まらない
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   篠原 涼子 [as 播磨薫子]
西島 秀俊 [as 播磨和昌]
坂口 健太郎 [as 星野祐也]
川栄 李奈 [as 川嶋真緒]
山口 紗弥加 [as 美晴]
田中 哲司 [as 進藤]
斉木 しげる
大倉 孝二
駿河 太郎
ミスターちん
遠藤 雄弥
利重 剛
稲垣 来泉 [as 播磨瑞穂]
斎藤 汰鷹 [as 播磨生人]
荒川 梨杏 [as 若葉]
荒木 飛羽 田中 泯
松坂 慶子 [as 千鶴子]
 
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あ ら す じ    長女・瑞穂、長男・生人の2人の子どもを持つ播磨薫子とその夫・播磨和昌は現在別居中で、瑞穂の小学校受験が終わったら離婚することになっていた。
 そんなある日、瑞穂の受験の際の面接のリハーサル中、和昌の携帯に連絡が入る。瑞穂ががプールで溺れたとの連絡で、2人は瑞穂の搬送先の病院に急行する。担当脳外科医の進藤によると、瑞穂が救助された時点で既に心停止に陥っていたものの、その後心臓は動き始めたが、血流が停止していた時間が長かったために脳の損傷が大きく、意識不明の状態で回復の見込みはないという。
 進藤から延命措置をとるか、あるいは脳死判定を経た後臓器提供をするかの選択を迫られた薫子と和昌は、ある決断を下すが、そのことが次第に運命の歯車を狂わせていくのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    今までに映画化された作品がそれほど面白いとは思えなかった東野圭吾の小説が原作であることから、この週末に公開される作品で鑑賞を一番後回しにしていたのだが、予想に反した秀作だった。原作は読んでいないが、映画として今年公開された作品ではトップクラスに入ると思う。
 脳死を扱った作品は少なくないが、その中でも出色の出来だと思う。脳死=人の死、この定義はすでに浸透しているとは言え、もしも我が子が脳死という状況に直面したら、我が子の身体から臓器を切り取って・・・・・とは理性ではわかっていても、感情はそうはいかないだろう。やはり「心臓が動いている=生きているのに、なぜ?」となるのが親の常じゃないだろうか。かく言う私も、この作品を観ていて、奇跡的に瑞穂が意識を取り戻すんじゃないか?なんて、淡い期待を抱いてしまっていた。もっとも、そんな展開になれば、瑞穂が元気になれば嬉しいことこの上ないのだが、一方では作品自体が台無しになりかねないし、評価もかなり下げざるを得なかっただろうけど。
 親と娘、夫婦、姉弟、上司と部下、そして恋人同士と様々な人間関係が巧みに織り込まれていて、そのいずれもが決しておざなりにされることなく丁寧に描かれているという印象が強く、堤監督の手腕が秀でていることを改めて知らされた気がする。そして、観る者それぞれが自分の境遇に照らし合わせることができるから、クライマックスシーンではともかくとして、その他のシーンでは人それぞれ感銘を受けるシーンは異なってくるだろう。
 『アンフェア』シリーズでは特に演技が上手いとは思えなかった篠原涼子だが、本当にいい女優になったものだと改めて思い知らされた。薫子の鬼気迫るまでの愛情が感じられ、これで冷静にいられるヤツなどいないだろう。事実、娘の脳死を理屈では納得していた西島秀俊演じる夫・和昌ですら、必死になって薫子を制したのは、妻が殺人犯になることを恐れたからだけではないはず。まだ心臓が動いている娘の心臓を止めることが「死」だという感情が上回った結果に他ならないだろう。
 余談だが、原作ではともかく、この作品ではラストシーンは蛇足のように思えた。