評     価  

 
       
File No. 2899  
       
製作年 / 公開日   2018年 / 2018年11月23日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   デヴィッド・イェーツ  
       
上 映 時 間   134分  
       
公開時コピー  
史上最強の敵に、試される仲間の絆
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   エディ・レッドメイン [as ニュート・スキャマンダー]
キャサリン・ウォーターストン [as ティナ・ゴールドスタイン]
ダン・フォグラー [as ジェイコブ・コワルスキー]
アリソン・スドル [as クイニー・ゴールドスタイン]
エズラ・ミラー [as クリーデンス・ベアボーン]
ゾーイ・クラヴィッツ [as リタ・レストレンジ]
カラム・ターナー [as テセウス・スキャマンダー]
クローディア・キム [as ナギニ]
ウィリアム・ナディラム [as ユスフ・カーマ]
ケヴィン・ガスリー [as アバナシー]
ジュード・ロウ [as アルバス・ダンブルドア]
ジョニー・デップ [as グリンデンバルド]
 
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あ ら す じ    捕らえられたはずのグリンデルバルドが、アメリカからヨーロッパへの欧州への移送の最中に逃亡してしまう。同じ頃、ニュート・スキャマンダーはロンドンで恩師アルバス・ダンブルドアと再会し、クリーデンス・ベアボーンやグリンデルバルドの追跡を余儀なくされる。
 そんな彼の元へ、米国からクイニー・ゴールドスタインが恋人でノー・マジのジェイコブ・コワルスキーを伴って現れる。そして、クイニーの姉のティナ・ゴールドスタインがいないのをいぶかしがるニュートに対しクイニーは、ニュートが結婚するという記事に怒って、今は別の男性と付き合っていると告げるのだった。
 クイニーは非魔法族と結婚できない魔法社会に不満を抱いており、それが発端でジェイコブと喧嘩になり、クイニーはパリにいるティナの元へ去ってしまう。ニュートはクリーデンスを追うティナを探しに、ジェイコブはティナの元に行ったクイニーを追って、パリへ密出国するのだった。パリではティナが、クリーデンスの出自の鍵を握るユスフ・カーマを追跡するが、逆に捕らえられてしまう。
 ニュートの兄・テセウス・スキャマンダーら英国魔法省の闇祓いたちは、ホグワーツ魔法魔術学校で教鞭を取るダンブルドアの元を訪問しグリンデルバルドと戦うよう協力を要請するが、なぜかダンブルドアはこれを固辞する。一方、ニュートとティナはフランス魔法省内で混乱の中再会し、結婚するのはニュートではなく、兄のテセウスであることを説いて誤解を解く。そして、クリーデンスの出自の謎がテセウスの婚約者・リタ・レストレンジのレストレンジ家の墓地にあることを知った2人は、墓地へと向かうのだった。
 時を同じくして、グリンデルバルドは信奉者たちを集めて集会を開く。非魔法族の存在は肯定しつつ、非魔法族が引き起こす戦乱の恐怖を煽り、言葉巧みに「魔法族の正統な権利の拡大」を訴える。そしてグリンデルバルドは青い炎で輪を作り、彼に忠誠を誓う者たちを次々と招き入れる。その中には、クリーデンスやクイニーも含まれていた。そして、ついにパリを破壊させんばかりの勢いのグリンデンバルド、とニュートも含めた魔法省のエージェントとの間で、戦いが勃発する・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    作者のJ・K・ローリングが自ら脚本を担当する、『ファンタビ』のシリーズ2作目。前作をもう一度DVDで観たうえで、やむなく本作を劇場で再鑑賞して、コメントも全面改訂することとなった。二度目の鑑賞は仕事を終えた後の睡魔と戦わなければならないかもしれない鑑賞だったが、幸い直前に前作を復習したためにストーリーもちゃんと繋がって、睡魔に襲われることもなく無事終了。
 タイトルには“黒い魔法使い”とあるが、むしろ“黒”じゃなくて“白い魔法使い”じゃないのか?なんて突っ込みたくもなる、まるで『ダ・ヴィンチ・コード』のシラスのような真っ白の、ジョニー・デップ扮するグリンデルバルド。冗談はさておいて、前作では魔法保安局長官・グレイブスを装っていたという設定のため、出演の大半をコリン・ファレルに譲って、ラストでほんのワンシーンのみの登場だった彼が、今回は大暴れする内容になっている。
 この作品だけを観ると、そのアプローチ方法には多少の問題があるにせよ、グリンデンバルドが主張している内容は至極正当であるように受け取れる。そのために、『ハリポタ』のヴォルデモートと同列の、“黒い”と呼ばれるほどに悪辣な魔法使いなのかという疑問を感じてしまう。が、騙されてはいけない、圧制者は最初から真の姿を大衆に対して露わにすることはないのだ。あのアドルフ・ヒトラーも出発点からユダヤ人大虐殺を掲げていたわけではなく、むしろ真っ当で人々を惹き付けるような理想論を掲げていたのだろう。だからこそ、あれほどの信奉者を獲得し、第三帝国を築き上げるまでに至ったのだ。今後の展開で次第に彼の化けの皮が剥がされていき、その“黒い魔法使い”ぶりが遺憾なく発揮されるであろう展開に期待(?)したい。
 おそらくはヒトラーもそうであっただろう、グリンデルバルドの大勢を前にした演説の圧倒的な説得力には、ほとほと感服するしかない。これはジョニー・デップが持つカリスマ性のなせる業で、彼がグリンデルバルド役に抜擢された理由も、少なからずこの辺りに期待してのことだろう。
 彼が演説の際に、大衆を前にして披露したビジョンには背筋に悪寒が走る。将来起きるであろう戦争のビジョンや、果ては原爆のきのこ雲まで・・・・・とは言っても、これらは既に現実に起きている史実なのだから、彼の見せるビジョンが実現するのは当たり前で、何ら驚くには値しないことなのだけど。
 この作品のラストには、なぜグリンデルバルドがあれほどまでにクリーデンスに拘ったのか、その理由が明かされる。だが、一つ言えることは、彼にとってはクリーデンスは両刃の剣ではないのか、ということ。今後の立ち位置によっては、自らを滅ぼす最大の脅威ともなりかねないクリーデンスにも注目だ。