評     価  

 
       
File No. 2901  
       
製作年 / 公開日   2018年 / 2018年11月23日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   山本 剛義  
       
上 映 時 間   80分  
       
公開時コピー   家族は、面倒くさい幸せだ。  

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   岡田 将生 [as 小林拓也]
成海 璃子 [as 明日香]
金子 大地 [as 柴田]
佐藤 寛太 [as 渡辺]
水田 信二 [as 坂本]
渡辺 憲吉 [as 鈴木]
財前 直見 [as 小林愛子]
時任 三郎 [as 小林徹]
 
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あ ら す じ    リンゴ農園を営む父・小林徹優と父を支える母・愛子の優しい両親、そしてその一人息子・小林拓也。陸上競技で神童と呼ばれた少年期だったが、怪我のために陸上を諦め、上京して大学生活の傍らのバンド活動を始め、大学は退学してしまっていた。上手く行きかけてはつまづくことを繰り返す自分に苛立ち孤立していく拓也は、田舎でりんごを愛し育てることに全てを注ぐ父親をいつしか疎ましく思うようになっていた。
 そんな拓也が、3年振りに実家に帰省する。母愛子から、父が入院したとの知らせを受けたためだった。彼を待ち受けていた幼なじみの明日香の運転する車で実家へ向かう途中、何事もなかったように林檎農園で働く父を目撃した拓也は、そのまま駅へと引き返そうとするが、明日香はそんな拓也を強引に連れ帰るのだった。
 徹の入院は単なる検査入院だった。「何もない田舎で同じことを繰り返しているつまらない人間だ!」八つ当たりをする息子を何も言わず笑顔で受けとめる父親・徹。相変わらずの父子関係。 けれども、あることをきっかけに、拓也はわがわままで身勝手な自分を黙って支えていてくれた家族、注がれていた愛情に気づかされるのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    久々の成海璃子出演作なのだが、主演が岡田将生とあって躊躇していた(これを“接近・回避の葛藤”という)作品。劇場鑑賞の決め手になったのは、80分という尺の短さだった。どうやら、あの鉄拳のパラパラ漫画が原作らしく、そう言えば2014年の『振り子』もやはり原作が同じで99分と尺が短め、しかも小西真奈美は観たいが中村獅童が好きじゃなく・・・・・という、この作品と全く同じシチュエーションであったことを(どーでもいいけど)思い出した。
 『家族のはなし』というタイトルの通り、岡田将生演じる拓也と、時任三郎・財前直見が演じる両親のお話で、どうやら鉄拳はこの手のストーリーが得意のようだ。時任三郎が演じる父親・徹は端的に言えばお人好しなまでの優しい父親で、今まで息子を叱ったことがあるのか、疑問に思えるほど。そして、そんな父親の元で育った拓也は、親の愛情などは一切顧みない、自己中なワガママキャラとして設定されているようで、そんな嫌なヤツを演じさせると岡田将生は上手い・・・・・のか、もしかしたら地のまんまだったりして(笑)。『伊藤君A to E』の伊藤といいこの作品の卓也といい、こういうワガママ野郎が、演技とは言え私は大嫌いなのだ。そして、それが岡田将生を好きになれない理由なのかも知れない。
 共演の成海璃子だが、もう彼女を知ってからずいぶんと月日が流れて、彼女もいい歳だろうと思ったら、まだ26歳だった。そりゃそうだ、彼女を初めて観た時、まだ14歳の少女だったのだから。以来、彼女の出演作は欠かさずに観てきたつもりだったが、喫煙しているところをスクープされてから、以前のような気持ちが醒めてしまったのは事実。んなわけで、この作品中にも拓也に対して「受動喫煙反対!」と言うセリフがあるのだが、「だったら能動喫煙はいいのか?」なんてツッコミたくなってしまった。
 それはともかく、「親の心子知らず」という言葉の通り、拓也は父親に対し「何も知らないくせに」と反発するのだが、それが実は何も知らなかったのは自分だとわかった時、痛烈に後悔する羽目に陥るのだが、岡田将生が好きじゃない私にとっては、そんな彼を観るのが痛快で仕方なかった。いや、それ以前に、バンドの契約を更新しない旨を伝えられて、こういう野郎は、一度痛い眼に遭うべきだと思って観ていた私には、それが実に爽快だった。その反面、息子の暴言を無言で受け止めて、それでも息子を責めるどころか、敢えて総てを語ろうとはせず、ただ寂しそうな微笑を浮かべるだけの父親には、思わず涙腺が緩むものがあった。