評 価
File No.
2902
製作年 / 公開日
2018年 / 2018年11月30日
製 作 国
アメリカ
監 督
ラッセ・ハレストレム
上 映 時 間
100分
公開時コピー
『美女と野獣』のディズニーが“くるみ割り人形”をついに映画化!
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最初に観たメディア
Theater
Television
Video
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キ ャ ス ト
キーラ・ナイトレイ
[as シュガー・プラム(お菓子の国の摂政)]
マッケンジー・フォイ
[as クララ・シュタールバウム]
トム・スウィート
[as フリッツ・シュタールバウム]
エリー・バンバー
[as ルイーズ・シュタールバウム]
マシュー・マクファイディン
[as Mr.シュタールバウム]
エウヘニオ・デルベス
[as ホーソーン(花の国の摂政)]
リチャード・E・グラント
[as シヴァー(雪の国の摂政)]
ジャック・ホワイトホール
[as ハーレクイン]
ジェイデン・フォウォラ=ナイト
[as ダスティン・フィリップ大尉(くるみ割り人形)]
ミスティ・コープランド
[as バレリーナ・プリンセス]
マックス・ウエストウェル
[as 花の騎士]
アーロン・スミス
[as 雪の騎士]
セルゲイ・ポルーニン
[as お菓子の騎士]
ヘレン・ミレン
[as マザー・ジンジャー]
モーガン・フリーマン
[as ドロッセルマイヤー]
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あ ら す じ
愛する母を亡くし、心を閉ざした
クララ・シュタールバウム
がクリスマス・イヴにもらったもの、それは「あなたに必要なものは総てこの中にある」という母からのメッセージが添えられた、鍵のかかった卵形の入れ物だった。母が遺した言葉の意味を知るために、クララは鍵を探し始める。その晩に開かれた、名付け親である
ドロッセルマイヤー
のクリスマス・パーティで、彼からのプレゼントを受け取るための糸を辿ったクララは、いつの間にか不思議な世界へ足を踏み入れていた。
クララが迷い込んだのは、息をのむほど美しく幻想的な世界だった。色とりどりの花と緑で覆われた“花の国”、キャンディやマシュマロでできた“お菓子の国”、雪と氷がクリスタルのように輝く“雪の国”、そして謎に包まれた“第4の国”からなる、“秘密の王国”。そこではプリンセスと呼ばれて戸惑うクララだったが、やがてこの世界を創り上げたのが亡き母であることを知る。だが、
マザー・ジンジャー
が支配する“第4の国”が反乱を起こし、王国は滅亡の危機に瀕していることを
シュガー・プラム
から告げられ、王国を救うよう懇願されるのだった。
母が愛した王国を救えるのは自分しかいない。心優しいくるみ割り人形の
キャプテン・フィリップ
を従えて、“第4の国”へと旅立つクララ。それは、この美しい世界に隠された“真実”を探す、驚くべき冒険の始まりだった・・・・・。
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たぴおか的コメント
私が小学生にもならない遥か昔、親戚から『くるみ割り人形』の絵本をもらった記憶がある。残念ながら内容はあまり覚えていなかったのだが、「あれ?こんなお話だったかな?」という疑問が。実はこの作品、タイトルが『くるみ割り人形と秘密の王国』とある通り、オリジナルのくるみ割り人形ではなく、もちろんくるみ割り人形は登場するものの、完全な別ストーリーとなっているようだ。ちなみに、調べてみたところオリジナルは・・・・・
クララはドロッセルマイヤーおじさんから、クリスマス・プレゼントにくるみ割り人形をもらう。ところが、兄のフリッツと取り合いになった挙げ句人形を壊してしまい、クララは一人で人形を看病する。すると、深夜にクララの身体が人形ほどに小さくなる。そして、どこからともなく現れたねずみの軍隊とおもちゃの兵隊とが戦争を始める。おもちゃの兵隊を率いるのはあのくるみ割り人形で、クララの助けもあっておもちゃの兵隊が勝利を収める。
くるみ割り人形は凜々しい王子に変身し、クララをお礼にお菓子の国へと誘う。お菓子の国の女王のもてなしで、夢のようなひとときを過ごすクララだったが、気がつくと家のクリスマスツリーの下で目を醒ます・・・・・
ってな内容だったようだ。
『くるみ割り人形』と言えば、チャイコフスキーのバレエ組曲「くるみ割り人形」があまりにも有名。中でもラストをくくる壮大な「花のワルツ」は、聴いたことが人はいないんじゃないだろうか。作品中でも、パーティでのダンスシーンにしっかりと使われていた。この曲を聴くと、イヤでも気分が盛り上がってくるんだよね。
とにかく映像が美しく、幻想的なファンタジーの世界に世界へ観る者を誘ってくれる。そして、それに輪をかけて実質的な主人公のクララを演じるマッケンジー・フォイが美しすぎる。もしかして、クレア・フォイの娘か?妹か?なんて思ったが、完全に無関係のようだ。こんなに綺麗な子は、一度観たら記憶に残るはずなのに、『インターステラー』や『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーンPart2』でお目にかかっていたとは、全く記憶にないのが悔やまれる。が、これで確実に記憶に焼き付けられたから、次にお目にかかるのが楽しみだ。
そんな彼女を観ているだけで退屈せず、このところ90分程度の尺に慣れきった私にも、100分が1時間ほどにしか思えないほどあっという間に過ぎ、我を忘れてファンタジーの世界の虜になった。ラッセ・ハレストレムは好きな監督なのだが、久しぶりに手足の先まで痺れるような満足感が得られたように思う。
最近見かけないなぁ、と気になっていたキーラ・ナイトレイを、久しぶりに観ることができたのも収穫のひとつだろう。あの普段とは全く違う台詞回しのおかげで、事前に彼女と知らなければ一体誰が演じているのか気づかなかったかも知れない。そんな久しぶりに観る彼女の顔が、気のせいかだんだんジュリアン・ムーアやヘレナ・ボナム・カーター系の顔になってきている気がして、その点だけは心配で仕方ない(笑)。
そんなキーラ・ナイトレイに加えて、オスカー俳優のモーガン・フリーマン、同じくオスカー女優のヘレン・ミレンが共演しているというのは、なかなか豪華なキャスティングだ。ちなみに、白人のクララの伯父であるドロッセルマイヤーを黒人のモーガン・フリーマンが演じるのはおかしい、とのコメントが掲示板で見受けられるが、この作品のドロッセルマイヤーはクララの単なる名付け親であって、血縁関係はないようだから何の問題もないだろう。
ここからは余談でしかもネタバレになりかねないので、例によって隠しておくから、読みたい方だけ自己責任でどうぞ。
この作品を観ていて、ふと既視感を感じてしまったのだが、その理由が『オズ はじまりの戦い』のせいであることには、すぐに気づいた。『オズ はじまりの戦い』ではジェームズ・フランコ扮する主人公オズが、レイチェル・ワイズ扮する良い魔法使いから悪い魔法使いを倒すよう頼まれる。ところが、その悪い魔法使いを演じるのがミシェル・ウィリアムズとわかった途端、「ミシェルがあのルックスで悪役はないだろう」と、あっさり180度方向転換してしまった私。実はオズと共に、善悪を逆に信じ込まされていたことに気づく仕掛けなのだ。
この作品では、シュガー・プラムの言葉もあって、ヘレン・ミレン演じるマザー・ジンジャーが悪者と認識させられるのだが、「彼女が本当に悪役なのか?」との疑問が拭えなかった。案の定、中盤を過ぎた辺りでやはり彼女が演じるマザー・ジンジャーは悪役ではなく、クララと協力する側のキャラクターだとわかり、逆にシュガー・プラムが悪役だとわかるという仕掛け(?)になっている。