評     価  

 
       
File No. 2939  
       
製作年 / 公開日   2018年 / 2019年02月01日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ジェイソン・ライトマン  
       
上 映 時 間   113分  
       
公開時コピー         

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   ヒュー・ジャックマン [as ゲイリー・ハート]
ヴェラ・ファーミガ [as オレイサ・“リー”・ハート]
J・K・シモンズ [as ビル・ディクソン]
アルフレッド・モリナ [as ベン・ブラッドリー]
サラ・パクストン [as ドナ・ライス・ヒューズ]
ママドゥ・アティエ [as A・J・パーカー]
マーク・オブライエン [as ビリー・ショアー]
モリー・イフラム [as アイリーン・ケリー]
クリス・コイ [as ケヴィン・スウィーニー]
アレックス・カルポスキー [as マイク・ストラットン]
ジョシュ・ブレナー [as ダグ・ウィルソン]
トミー・デューイ [as ジョン・エマーソン]
ケイトリン・デイヴァー [as アンドレア・ハート]
オリヴァー・クーパー [as ジョー・トリッピィ]
ジェナ・カネル [as ジニー・テルザノ]
 
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あ ら す じ    1984年。民主党大会の大統領予備選挙にコロラド州より選出されたゲイリー・ハートは、ジョン・F・ケネディの再来とまで謳われながら、モンディール候補に僅差で敗れてしまう。そして4年後の1988年、今回こそ必ず勝つと強く決意して、ハートは再び出馬を表明する。
 民主党候補者の中でフロントランナー(= 最有力候補)となったある日、マイアミ・ヘラルド紙の編集部に、へーとの不倫疑惑を告げる匿名の電話が入る。不倫の相手は、マイアミでデートシーンを目撃されていたドナ・ライス・ヒューズだった。ハート陣営の参謀ビル・ディクソンは会見を開くよう勧めるが、以前からプライバシーが政治に持ち込まれることを非難してきたハートは沈黙を守るのだった。
 けれども、マスコミは一層加熱し、追及の手が妻のリーや娘アンドレアにまで容赦なく襲いかかる。ただただ「すまなかった」と詫びることしかできないハートに、リーは離婚を切り出す。こうして、フロントランナーとなって3週間後、ハートはついに断腸の思いで選挙活動から退くことを決意するのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    1984年と1988年の2度にわたって、民主党から合衆国大統領候補に名乗りを上げたゲイリー・ハートを描いた実話。ちなみに、84年はドナルド・レーガン、88年はジョージ・H・W・ブッシュが、それぞれ大統領になっているが、いずれも共和党出身であり、民主党はことごとく敗れている。そんな敗れた民主党の、さらに予備選で敗れた人物など、アメリカの政界に興味など無かった当時の私が知るはずもない。だから、そんな人物を描いた作品は、アメリカ国民ならともかく、名前すら知らない日本人に見せてどうする?という、作品に対する反感に近い抵抗があるにはあった。もしもゲイリー・ハートを演じたのがヒュー・ジャックマンではなく他の俳優だったら、劇場鑑賞をパスしていたかもしれない。
 劇中でのヒュー・ジャックマンの見た目通り、爽やかで優秀な若手議員だったと思われるゲイリー・ハート、彼がもしも代表選を経て大統領になっていたら、アメリカはおそらく大きく変わっていただろう。そして、今のアメリカにこそトランプのような図体だけはデカいが中身は小市民に過ぎない政治家ではなく、ゲイリー・ハートのような若いカリスマ性を持った優秀なリーダーが絶対に要必要だ。そんな、J・F・ケネディの再来とまで言われた、フロントランナー=“最有力候補”であったはずの彼だが、二度とも大統領選に臨むことなく終わっている。一度ならず二度も、なのだ。
 本人が言っていたとおり、政治家の評価はその政策であり施政能力であって、プライベートな部分は正直関係ないだろう。けれども、日本でもそうなのだが、とかく女性問題はネタにされやすく、ことマスコミにとっては我先にとばかり食いついてくる恰好の餌なのだ。「英雄色を好む」という言葉があるが、スキャンダルが武勇伝として人物像に箔をつけたのは遠い昔の話で、現在では失脚へと誘うことはあれ、決してプラス要素にはならない。
 大統領に立候補しようというほどの人物にしては、あまりに脇が甘すぎるとは思う。ただ、この1988年のゲイリー・ハート立候補辞退が、それ以降に女性問題が取り沙汰されるようになったきっかけとなったようで、やむを得なかったのかもしれない。ただ、マスコミの質問に対するゲイリー・ハートの受け答えが実に歯切れが悪く、肝心な部分は黙したままに立候補を辞退するとは不倫の事実を肯定しているのと同じことで、どっちみち肯定するなら潔く事実を認めて身を退く方が、マスコミやひいては国民に与える印象も雲泥の差だったのではないだろうか。それとも、大統領選から身を退く以上は、自分に対する印象がどうなろうが彼にとってはもうどうでもよかったということか。
 余談だが、アルフレッド・モリナが演じたワシントン・ポスト紙のベン・ブラッドリーは、『ペンタゴン・ペーパーズ』でトム・ハンクスが演じたのと同一人物のようだ。